サトゥの死ぬまでシネマ。

サトゥの死ぬまでシネマ。

第10話。

第10話「ミッドナイト・アンド・デイ・ドリーム」

ホームルームまであと、3分。俺は職員室に向かった。まずやっておかねばならない仕事がある。全部無視でもよかったが仕事をスムーズに行うためには今日起こることを先回りしておかなければいけない。

職員室に入ると担任と目が合った。ロッカーの整理をしている。
例の捨てられるヤツだな。と思いつつ。

「先生、もうすぐホームルームじゃないすか。なにしてんすか」
「それは俺のセリフだよ。田所」
「いやあ、俺になにか頼みごとでもあんのかなあと思ったもんで」
「おっ。よくわかったな。コレ」
と封筒を渡す。

「ハイ」
「おう。それをな・・・」
「地府星大学にでしょ。えっと紺染教授に」

キョトンとする先生を後に俺は教室に向かった。

教室に入り席につくと同時に先生が入ってきた。
後ろの席のリンジが小声で話しかけてきた。

「トォルちゃん。どうしたんだよ。カナーリギリギリじゃん」
「まあな。いろいろと」
「ふーん」
「でどうよ。最近ハリコちゃんは?」
「あん?ああ、オンミョウジ先輩とメルアド交換したんだと」
「マジでか!んじゃオンミョウジのバイクの後ろに乗る日も近いなあ」
「バイク?」
「ああ、あいつバイク乗ってんだよ。バイクなんか詳しくねえけどなんか赤いやつ」

赤いバイク。ばあちゃんを轢いたのも。
しかしフドウアキラの言うことは怪しいし、俺は昨日のリンジとの会話との違和感を再び思い出していた。

「まさか」

「ん?どうした?」

「いや、なんでもない」

まさか。俺は一瞬ではあるがこれからとんでもないことが起きようとしている予感がした。後ろの席のリンジをチラ見する。

まさか親友を疑うことになろうとは。
お前にも協力してもらおうと思ったけど、オーケイ。そういうことならひとりで行動だ。

そしてもうひとつある疑惑が思い浮かんだ。
俺は携帯を取り出した。妹にメールを送る。
もし狙われるとしたら妹の可能性が高い。と直感したのだ。
俺がミナミヨウコを救おうとすればするほど。

昼休み。俺は2年生のクラスに向かおうとしていた。廊下にでると、ルコがいた。

「ねえ」
「な、なに?」

やはりギコチない。

「トオル君の好きな人ってミナミヨウコさん?」
「好きなひと?」
ああ、そうだった。俺は完全にフラれるのが怖くてそんな嘘をついたんだった。
「違うよ。なんで?」
「今日朝、一緒にいたって聞いたから」

誰に?と聞こうとして視線に入ってきた男がいた。フドウアキラだ。
俺とルコの会話が終わるのを待っているようだ。
まさか。

「フドウに聞いたのか」
「うん」
「まさかお前の好きなヤツって」
「・・・じゃあね」

ルカは彼のもとに小走りに走っていった。フドウアキラと目が合う。軽く会釈をしたがその目は笑っていた。

クッソ。

そして俺はフドウアキラと教室にいるリンジがわずかにアイコンタクトをとったのを見逃さなかった。

おそらく、ミナミヨウコの本来の死をもたらしたヤツと、運命を確実にしようとするヤツは同一人物だ。

とにかくなんとかしなくてはいかない。
俺は目的の教室へと向かった。センマルリョウのクラスへ。

教室を覗き込む。えっと・・・もうひとつの今日の記憶を頼りに彼を探す。
見つけるまえに知り合いと目が合う。数少ない後輩の知り合いの一人山下だ。

「あっタドコロ先輩どうしたんしんすか」
「ちょっと、センマルリョウってヤツに用事があってね。呼んでくれないか」
「イイっすよ。おーいセンマル」

背中を向けて友達2人と談笑していた男が振り返る。
なるほど、昼休み一緒にロッカーを運んだ男子生徒だ。あの時はなにも会話しなかったが・・・。まさかこんな形で再会するとは。

山下が手招きして彼を呼んでくれた。
「タドコロ先輩がなんか話あるって」山下は友達のトコロへ行ってしまった。

「なんすか?」

センマルリョウの顔は明らかに疑っていた。無理もない。向こうにとっては初対面だ。

「ここじゃあ、なんだから、ちょっといいかい」
「俺、なんかしたんすかねえ。けっこう慎ましく学校生活送ってるつもりなんすけど」
「ミナミヨウコのことで・・・」

ミナミヨウコの名が出た途端、彼の目が嘲笑の目に変わった。

「なあんだ。あんたもその類かあ。たまにいるんすよねえ。ミナミヨウコと仲良くなりたくて、幼なじみの俺んトコくる輩が」
「そういんじゃない。彼女の命が危ないんだ、とにかく場所を変えよう」
「はぁ?命?なに言ってんすか」
「とにかく、じゃあ、写真については?何か知ってるか?」

センマルリョウの顔色が変わった。
「あんた、それ誰から聞いた?」
「ちょっと小耳にはさんでな。なんの写真かはわからないが。君はその写真のせいで、彼女が危ない目にあっているのを知っているのかい?」
「オウケイ?わかったよ。先輩。場所を変えよう」

すぐそばで俺たちのやりとりを見守る女の子がいた。どこかでみたことがある。そうだ。ミス・フウリングスに出てたサルノシンコだ。間近で見るのは初めてだが、なかなかのカワイサだ。
「大丈夫か。P」
「P?変なあだ名だな」
「まっ。いろいろあってさ。大丈夫だよ、野ザル」

センマルリョウに促され廊下に出た。横にある階段を下りながら、センマルは話始めた。
「潜水艦事件、覚えてるか?」

余裕でタメ口かよ。と思いつつも俺は校内が騒然となった事件を思い出していた。

「潜水艦?ああ、あれか、二学期が始まると同時に、プールにドデカイ潜水艦が現れたってヤツ。確かアレでプールの改修工事が延びたんだっけ」
「あれ、やらかしたのは俺らなんだよ」
「まじかよ。スゲエことやらかしてくれたな」
「まっどうしても工事を延ばしたかったんだよ。で、そのときスクール水着仮面が出てきただろ?」
「ああ、俺は見てないけど、噂では聞いてるよ」
「俺たちは遊び心のツモリだったんだけど、それが仇になった。スクール水着仮面が着替えているところを隠し撮りされたんだよ」
「まさか・・・」
「そう、スクール水着仮面っていうのはミナミヨウコなんだよ」
「それが事件の全容か・・・」
「あんたいったい何者なんだ」
「俺は彼女が今日死ぬのを知っているんだ」
「はあ、あんた何言ってんだ?トゥルー・コーリングかよ」
その、トゥルー・コーリングなんだよ。と言いかけて。やめた。どうせ信じてもらえない。でも、お前は好きなんだろそのドラマ。
「とにかく、その写真で脅されてるんだな。ミナミヨウコは」
「ああ。でも俺たちにはどうしようもないんだよ。
「なんでだよ。脅してるヤツはフドウアキラってのは知ってるのか?」
「知ってるけど、なにか動こうとしても写真をばら撒く。なんだよ。俺たちは手が出せない」
「よし、わかった俺がなんとかしよう。でも協力してくれ、まず今日彼女を外出させないように説得してくれ。できれば、彼女の家の前で見張ってて欲しい」
「まあ、よくわかんないけど説得はしてみるよ・・・いったい何が起きるっていいうんだ?」
「とにかく彼女を地府星大学に行かせないでくれよ」
「全然話、みえないんすけど」

センマルリョウはひどく不機嫌そうに言った。

「なあ、頼む。とりあえず俺の言うことを信じてくれよ」
「はあ。あっそういや職員室に呼ばれているんで・・・もういいすか?」
はぁは、こっちだよ。やっぱり信じてもらえないか。職員室?

「そっか。これから職員室に行くんだろ。悪りいけど、ロッカーはひとりで運んでくれよ」
「えっどういうことすか?」
「まあ、行けばわかるよ」

俺はこの場を立ち去ることにした。今の俺の発言で彼が動くことに賭けたいトコロだが自分でも動かないと。
ミナミヨウコにもう一度接触する必要があるな。と、彼女のクラスは・・・。
俺は思わず身を隠した(ドコに?だって?ドコでもいいだろ)。
クソっフドウアキラだ。そばにはミナミヨウコ。なにやら紙を渡していた。
フドウアキラが立ち去ったのを確認してミナミヨウコに近づいた。

「どうも」
「また、あなた。いったいなんなの?」
彼女は怪訝そうな顔で言った。
「フドウアキラにまたフドウアキラに呼び出されたのか?」
「あんたには関係ないでしょ」
「まあ、待てよ。あの紙切れには地府星大学の2号館屋上に9時って書いてあったんだろ。ってなんでわざわざ紙切れなんだろな?」
彼女はやはり「2号館」という言葉に反応した。

「そんなの作者の都合でしょ」

おいおい。作者をイジれるのは主人公の特権だぜ。
ミナミヨウコは教室に戻っていった。やはりこれ以上は無理か。あとは時間が来るのを待つだけだ。敵があの場所で対決するのを望んでいるようだし。
その気になればとっくに彼女に危害を及ぼせるが、その気配がないからだ。
携帯が鳴る。メールだ。妹のハリコからだった。

「なんで、そういう事聞いたかわかんないけど、お兄ちゃんだから答えておくね。オンミョウジ先輩のメルアドは直接聞いてないよ。同じL4のフドウさんから聞いたの。それにしても長い10話だったね」

バーロ。最後の1行は余計だあよ。お前まで作者イジリかよ。しょうがねえだろ。あと2話で完結するつもりなんだから。


これで、確証は揃った。

「今日は外出するなよ」

俺は妹に返信した。

さあて。全面対決といきますか。

第11話
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