ニャんコロ屋敷

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思い出話 さようなら てっちゃん





亀さんにはあまり話したくない話だ。
生きとし生けるものを飼っていると どうしても避けられないことがある。
別れは急に訪れた・・。
急だったからよかったのかも知れない。
てっちゃんこと小鉄は 今から約20年ほど前に 亀さんの弟が奈良県の斑鳩からもらってきた。
亀さんはその数ヵ月前に愛犬を亡くしたばかりで その亡くした犬に対する愛情が深すぎて 二度と犬は飼うまいと決めていた。
そんな時だった 小鉄がやってきたのは。
亀さんは小鉄に亡くした犬のような深い愛情をかけないようにしょうと決心しそのようにした。
小鉄もその亀さんの心情に敏感に反応して 亀さんにそれほど懐かなかった
しかし、長年一緒に居ると家族になる 掛替えのない。
小鉄と亀さんの関係もそうだった。
小鉄は気性の激しい犬でほんとに手を焼いた 近所で誰でも見さかえ無しに吠えるものだから ”うるさい怖い犬”で通っていた。
気性が激しいためか 小鉄は心無い人からいじめを受けていた。
叩かれたり 石をぶつけられたり・・・・
小鉄は一時期 完全に人間不信になり 益々吠えるようになった。
亀さん家族も小鉄をいじめる人に注意はしたものの  すればするほど逆に、小鉄に危害を加える回数が増えていった。
あの頃の 小鉄は本当に悲惨だった。
亀さん家族は一時期 小鉄を処分することも考えた。
しかし、 あのような人間のために小鉄を処分するなど出来るはずがなかった。
小鉄は 小鉄の命は尊いものなのです。それを、人の勝手でどうこうしてよいはずがないのです。
私たち家族は小鉄を守るために 何が出来るかを考え 思いつくことを何でも行うことにしました。
最後の手段で11歳の小鉄に虚勢手術を受けさせました。
こうして 亀さん家族はひとつの山を登りこしました。
それから 2年後 亀さん宅は建替え工事のため しばらくこの場所を離れ動物OKの賃貸マンションを探すのに苦労をして 元の我が家へ帰り着きました。
亀さんのとうさんは小鉄のための場所を用意してくれました。
小鉄が少しでも心静かに老後をおくれ、そして人にいじめられないようにと
ここに 戻ってきてからの小鉄は平安な日々をおくりました。
顔も穏やかになり やさしい犬になりました。
そして、目が見えなくなり、耳が聞こえなくなり・・・衰えていきました。
そして、4月の20歳の誕生日をまたず永眠しました。
安らかな死でした。
私たち人間もいずれ世を去る日が訪れることでしょう。 しかし、たとえ 何があったとしても いつも最善をつくすこと立ち向かう勇気を持つことを忘れないようにしたいものです。
私は小鉄を通して様々なことを学ばせていただきました。
てっちゃんありがとう。 そして、さようなら・・・。










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