Tomorrow is Another Day

Tomorrow is Another Day

ただ祈る日々



ただ祈る日々



先生の説明を聞いていると、とにかく良い方へとしか考えたくなかったが、どうやら通常破水が起こると次にくるのは「お産が始まる」と言う事らしい。しかし、週数が少ない上に羊水が少ない状況の子供なので、もし産まれてしまえば普通の早産以上に難しい状況らしい、と言う事がわかって来た。

私は祈った。ただ、祈った。お腹が痛くなって陣痛が始まらないように祈った。しかし、人間と言うものは不思議なもので「痛くならないように。」と強く願うとかえって痛く感じてしまったりする。何度、ナースコールを押したであろう。しかし、その度に看護婦さん達はいやな顔ひとつせずに、赤ちゃんの心音を聞く機械を持って部屋に来てくれた。

どうにか1週間を乗り切った頃、今度は出血した。この時はとうとうお産が始まってしまったのかと思った。たしか、週末の夜だったと思う。ナースコールを押すと若い新人の看護婦さんが来てくれた。「当直の先生に診てもらいましょう。」と検査室に連れて行ってもらった。内診の結果、お産が始まっている気配はないが、出血の原因はわからないとの事だった。

とにかくまた最悪の状況では無い事だけはわかった。この時ばかりはさすがに看護婦さんの前で泣いてしまった。私よりもひとまわりも若い看護婦さん。患者に泣かれてしまっても、彼女としてもどうしてあげようもないだろう。わかってはいたが、どうにもこらえ切れなかった。私は「ごめんね。」といいながら泣いていた。



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