Tomorrow is Another Day

Tomorrow is Another Day

人口羊水注入



人工羊水注入



最初の頃は一番薄い生理用ナプキンで事足りていた羊水の漏れも、日を追うごとに量が増えて行った。しかし、待望の28週を迎える頃には羊水の量も増え、赤ちゃんが自由に胎内で動けるほどになっていた。そして私はどうにか28週目を迎える事が出来たのである。この頃には先生の顔にも少し安堵の表情が見えるようになり、気分的にはかなり楽になっていた。かれこれ入院して2ヶ月ほど経っていたが、私の気持ちの中では「もし、1000g 位の超未熟児で産まれてしまっても、ここの病院ならきっと大丈夫。」と言う信頼も生まれて来ていた。

30週になった時に「羊水注入」と言う治療を受けた。この頃には毎日かなりの量の羊水が漏れてはいたものの、赤ちゃんの心音も力強く、他の臓器にも異常が見られないと言う事であった。異常と言えば相変わらず羊水が少ない事だけであった。

前回の「羊水検査」とは違って今回は脊髄麻酔をしてからの治療であった。この麻酔は痛いと聞いていたので、痛みに弱い私としては非常に恐ろしかった。が、思った程の痛みもなく無事麻酔は終わったのだが、検査の間お腹に針を刺す感覚だけはちゃんと感じるので、麻酔が切れて痛みを感じ始めたらどうしよう、等と素人の悲しさで余計な心配をしていた。

検査の間超音波の画面を私も見れるようにしてくれたので、お腹の中の様子がなんとなく私にもわかった。「まるもさん、今羊水を入れてますけど、見えますかぁ?」と先生が私に尋ねた。私は「先生、見えますけど、下からも漏れてるみたいです。」と言った。

そうなのである。せっかく入れた羊水もその先から漏れてしまったのである。どうやら私の胎内ではある一定の「羊水許容量」みたいなモノがあって、それ以上になると外に出て行ってしまうようであった。ただ不思議な事に赤ちゃんの口元あたりにだけ羊水がいつも溜まっていたのである。結果的にはこれが幸いしたらしい。お腹の赤ちゃんは羊水を飲み込む事によって肺を成熟させて行くらしい。羊水が無いとそれが出来ないのだが、私の場合いつも羊水がほんの少しだけ赤ちゃんの口元にあったのだ。


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