Tomorrow is Another Day

Tomorrow is Another Day

個室から大部屋へ!



個室から大部屋へ!


大方の予想を裏切って幸いな事に私は33週目を迎えていた。通常の妊娠であればまだまだとんでもない早産の時期であるが、私の場合は「早産になっても仕方がない。」状態であったので、この頃はもうだいぶ気持ちが落ち着いて来ていた。

ある日診察が終わった後、「まだ、大丈夫ですね。じゃぁ、まるもさん、部屋を移りましょう。」と先生に言われた。私はまるまる3ヶ月の寝たきり妊婦生活からやっと開放され、個室から4人部屋へと移る事になったのである。

が、しかし...この寝たきりの3ヶ月の間にお腹はかなり大きくなっている。プラス、体の筋肉がかなり落ちてしまっているのか、ちゃんと歩きたくても歩けない。5mも歩くとお腹がキィーンと張ってくる。10mも歩くとゼイゼイと肩で息をしてしまう。これはもう情けないの一言であった。

個室での入院生活は退屈ではあったがある意味では外の世界から遮断されていたので同じ病棟内で何が起こっているのか全然わからなかったが、一歩個室から外に出るとまったく違う世界であった。4人部屋に移って2日目に、同室の方が出産された赤ちゃんが亡くなった。たった3日間の命。「お腹の中にいる限りは大丈夫でも、外に出ると生きて行けるかどうかわからない。」こんな状況の赤ちゃんがこんなにたくさんいるなんて、信じられなかった。そして、私のお腹の中の赤ちゃんもその1人だった。

大部屋と言っても4人部屋で幸いな事に同室になった他の妊婦さん達も皆な良い人たちで、私達はまるで毎日が修学旅行の様な気分だった。この病院には私の様に妊娠に異常がある人以外に、妊婦さん自身が心臓が悪かったり、なんらかの病気で普通の出産が出来ないと言う方達が入院していた。

私の場合は赤ちゃんがお腹の中にいる間は元気に育ってくれているが、生まれて来てからがわからないと言う状況だが、彼女達の場合は妊娠中も通院し、出産も体に負担がかからないようなお産をしなければならない。同室だった人たちの何人かはそう言った状況の妊婦さん達であった。大変なお産を終えて元気な赤ちゃんを抱いて退院して行った。

その度にもうひとり同室で、やはり私と同じく妊娠に異常のある妊婦さんと「私達はあんな風には退院できないんだろうね、きっと...」と話しをしたものだった。現実的にお産が近づいてくる。お腹の中では元気な赤ちゃんも肺が未成熟な為に自力で呼吸をする事はたぶん出来ないだろうと言われていた。「このままずーっとお腹の中にいてくれればいいのに...」等と非現実的な事を思ってたりもしていた。

「生まれた赤ちゃんを抱いて退院」。これはこの産科では「心臓病が持病のママだけ」が出来る事だった。

それでも私の場合は、出産後も同じスタッフのいるこの「周産期科」に赤ちゃんが入院する事になっていたが、胎児診断で赤ちゃんの心臓に異常があると診断された場合は、赤ちゃんは隣の「小児心臓外科」に入院する事になる。長い入院生活で信頼関係も出来た産科のスタッフと別れて、違う科のお世話になる事は、ママ達にとっては不安材料だった・


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