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元海外在住夫婦のお買い物日記
革製品の豆知識
高品質でお手頃な革製品
-> 革製品選びの豆知識
1.革製品選びの豆知識
ここでは、革製品選びに役立つ豆知識を紹介します。
まずは、イメージ戦略に騙されないようにという事で、これから。
革製品は、「ミシン縫い」か「手縫い」など、機械の有無の違いはありますが、基本的にすべて手作りです。
「手作り」を強調するお店がありますが、「優秀な職人さんが、すべて手作業で作っている」なら別ですが、あまり意味はありません。
あえて革製品の製造パターンを分けると2つに分けられると思います。
・1人の職人さんがすべての工程を担当。
・工程ごとに分担する。
前者の方が、気分的には良さそうに思いますよね。
しかし、実際には職人さんの腕次第と言うことになります。
後者の方が、製品毎のバラつきが少なく、ハズレを引く確立が減るかもしれません。
では、これはどうですか?
・2人の職人で運営されている小さな革工房
・50人の職人を抱える工場
これも、前者の方が聞えが良いですよね。
しかし、そこに大きな意味は無かったりします。
前者が、後者に製造委託していたらどうですか?
革製品では、きちんと職人さんがいる会社でも、別の工房に製造委託することは良くあります。
また、デザイン、企画のみ行い製造は委託する会社もあります。
しかし、委託しているから悪いとも言えませんし、良いとも言えません。
要は、妄想で勝手に価値を見出してはいけないと言うことですね。
2.通販で革製品を買う場合の注意
通販で注意すべき点は、キズや染めムラなどのアタリ、ハズレの問題です。
製造や流通過程で、誤って付いてしまったキズなら不良品と言えますが、革製品の場合、何しろ材料が生き物です。
下の写真は牛革ですが、血筋(血管の痕)なのかキズなのか、線が見えますよね。これは、牛に元々あった模様です。
生き物ですから、どうしてもケガや虫刺されで出来たキズや血管の痕、シワがあります。しかし、キズやシワがある部分をすべて捨てていてはコストが高くなりますので、普通は妥協して使います。
加工や縫製にしても、職人者の技術差でバラつきが出てしまいます。
つまり、どうしても製品にアタリ、ハズレが生まれます。
店頭で購入するなら、在庫からアタリを選ぶことも可能ですが、通販の場合は完全にお店任せです。
実は、工業製品と違って、品質にバラつきが生まれやすい革製品は、通販で売る事も買う事も簡単ではない部類に入ると思います。
(一流のブランド品なら、品質が高いレベルで一定していますが・・・。)
これを認識して、きちんと選別した上で売っているお店もあれば、そうでないお店もあります。(後者が大半でしょうが、良心的なお店なら、酷い物は売るのを避けます。)
また、気に入らないものが届いたからと言って一々、交換していては、通販の場合は、店頭と異なり手間が掛かるのでお互い嫌な思いをしてしまいます。
正直、そこそこ高い物を買っても、そこそこの仕事の物です。
仕上げは、大抵値段相応です。
仕上げの細部に拘るより、革の品質の良し悪しを重視した方が良いようにも思います。
3.革について
革は、使われる動物の種類、部位やなめし方、加工方法によって随分風合いが異なります。
スムース革でも、良く見れば、平らではありません。
一見、綺麗に見えるものは厚化粧だったりするので要注意です。
高級な革だからと言って、丈夫とは限りませんし、色落ちや変色を起こしやすい革もあります。
革の場合は、
高級 = 買った時の状態が長く続く
ではないので要注意。
よく研究して好みのものを探しましょう。
また、使われている革のサイズにも要注意です。綺麗部分だけをを大きく切り出そうと思うと、どうしても捨てる部分が多くなり、コストが高くなります。
下の写真では、ポケットが付いています。ちなみにポケットの中は、革ではなく生地(シャンタン)が貼ってあります。
このポケット、一見、合理的ですが、実際にはサイズも小さく、革がコードバンなので硬くて使い難いのです。
この手のポケットは、財布、小銭入れ、名刺入れ等で見られますが、重なり部分を考えると、一枚革の場合より、革のトータル面積は広くなりますが、1枚あたりの革の面積は小さくなり、材料の革を効率的に利用できます。
ポケットの必然性の無いもの、ポケットとして使い難いものは、コスト重視で設けられたポケットの可能性が高いので要注意ですね。
ポケット以外にも、必然性のない革の継ぎ目は、コストとの兼ね合いなので要注意です。
それから、シボなど表面に特徴のある革などは、革の部位によって見た目に違いが生じます。見た目を揃えようと思うとコストが高くなってしまいますので、比較的低価格なものでは妥協しがちな部分ですね。
商品ごとにシボの出方が違っていたり、同じ商品でも部位によってシボの出方が違っている事は良くあります。
安く革本来の風合いを楽しみたいなら、多少のアラは、我慢する必要もあります。
◆タンニンなめしの(成牛革)ヌメ革
成牛の皮を植物タンニンでなめした銀付きスムース革です。
上段の2つの革は、所謂「ヌメ革」では無く、狭義の「ヌメ革」。
無染色で表面の加工も殆ど施されていないため、傷や汚れが付き易く、光で容易に変色も起こします。そのため、革小物の内装に使われることが多いですが、あえて外装に使った商品もあります。
上段左の写真は、財布の内装に使われているヌメ。元も肌色でしたが、エイジング(2年使用)によりキツネ色に変化しています。左下のシミは水によるものです。
上段右の写真は、小銭入れの外装に使われているヌメです。天日で変色させてから使いました。天日で変色されると汚れやキズに強くなり、光沢も出ます。
下段左のヌメ革も、一応、無染色のヌメ革ですが、不自然な匂いがあるのでオイルを含ませたのではないかと思います。生成りを詠っていても、この手のものが多い。肌目も粗い。
◆クロムなめしのカーフ(仔牛革)
写真の革は、表面に顔料を含む塗料を塗ってるようで、見た目は綺麗に仕上がっており、光沢があります。
カーフは、表面が柔らかいので、使っている間にキズが付いてしまっています。
顔料は、元々持つ表面のキズを隠す効果がありますが、厚化粧は、革の風合いを損ねてしまいますので注意。
◆タンニンなめしの(成牛)ショルダー革 オイルレザー
写真は「ブッテーロ」。オイルを含ませたオイルレザーです。
肌目は、適度に粗く、素朴な印象で、しっとりしています。
染料による染色ですが、ブッテーロは発色が綺麗です。
◆タンニンなめしの(成牛)ショルダー革 オイルレザー シュリンク加工
成牛の皮を植物タンニンでなめした銀付きオイルレザーです。
シボのある立体的な印象が特徴です。
比較的シワが多いショルダー部分が材料に使われていますが、更にシュリンク加工を施すことでシボが強調されています。
色はオレンジです。本当は、もっと鮮やかなオレンジなのですが、色が上手く再現できていません。
良く見るとパーツによりシボの出方が違います。勿論、揃える事は可能でしょうが、コスト的に難しかったのだと思います。
◆ブライドルレザー(馬具用 蝋引き成牛革)
成牛皮を植物タンニンでなめし、蜜蝋を擦り込んだもの。
元々は、馬具用に使われていたが、最近は鞄や小物にも使われることが多い。
馬具用の転用と言うより、鞄、小物用になめしたブライドルレザーだと思われます。
表面に浮き出た蜜蝋(ブルーム)が無ければ、普通の牛革と見た目は変わりません。
写真上段左は、ホワイトハウスコックの製品で使われているもの。
上段右は、「
クレイトン社
」でなめされたもの。
下段は、万双で使用しているブライドレザー。少しブルーム浮いています。
◆クロムなめしのカーフ(仔牛革) 型押し
クロムなめしの仔牛革に細かい型押しが施されています。
型押しにより、カーフの本来の風合いは無くなりますが、傷付き難くなります。
一見、不規則に見える細かい型押しのお陰で上品に仕上がっています。
◆コードバン
馬のお尻にある繊維が緻密な層をタンニンなめししたコードバン。
エナメルのような独特の光沢があります。
通常、光沢を出すために、磨かれ、顔料で着色されますが、荒隠し的な厚化粧革には要注意です。一見綺麗に見えても、実際は表面の顔料の光沢かも。
革が硬いことと、コストの関係から、使用は外装のみの場合が多い。
一口にコードバンと言っても、顔料を表面に塗ったもの以外に、染色したもの、染色しオイルを含ませたもの、蜜蝋を引いたものなどがあり、バリエーションも多い。
染色したものは、水に弱く、表面を顔料でコーティングしたものは、多少、水に耐性があります。
丈夫なコードバンでも使っているうちにキズは付きますが、銀面が無いこともあり、それほど汚くはなりません。
上段左の写真のコードバンは、肌目が細かく上品な光沢があります。
上段右のものは、やや肌目が粗く、表面に凹凸が見られ、塗装もやや厚目。
下段左のコードバンは、一見、綺麗にまとまっていますが、非常に細かい凹凸があり、手触りもザラついた印象。
◆馬革
コードバンではありません。「馬革」です。写真は、厳密には「ポニー」ですが・・・。
(ポニーは小型の馬の総称。ポニーと言う種類が居る訳ではない。)
馬革は、耐久性に欠けるのですが、丈夫な背中の部分は革製品に使われることがあります。
写真の革は、素仕上げ。手触りが独特で手に吸い付く感じ。非常に柔らかで軽いです。
4.コバの処理
革の裁断面の処理の仕方によって、製品の随分印象が変わります。
財布などは、表、内装と複数の革を縫い上げるため、裁断面の処理は持った時の手触りや耐久性にも影響します。
◆切れ目 本磨き
革の裁断面をそのまま生かした処理の仕方で、革の断面を処理しやすいタンニンなめしの革によく用いられます。
そのままでは裁断面が滑らかでないので、フノリで磨き、蜜蝋で固めます->「本磨き」。顔料または染料による染色やコーティングを行うこともあります。
何度もこの工程を繰り返し、裁断面を綺麗に磨く必要があるため、手間が掛かる手法でもあり、比較的に高価なものや、革が硬く「へり返し」が難しいものに使われます。
中には、きちんと裁断面を磨かずに、塗料でコーティングしたような製品もありますが、このような物は、概してコーティング面が美しくありません。
コバが染色してある場合は、その色によっても印象が随分変わります。
なお、「切れ目」なら、コバがボロボロになっても磨き直すことで修理が可能です。
◆へり返し
外側の革を内装側の革に少し掛かるように返し、縫い上げた処理方法で、この手法の製品には薄作りの物が多い傾向があります。
裁断面が隠れるため、手触りも良くなります。
内装側に返す部分の革は薄く漉かれるため、耐久性に劣り、この部分の革が破れてしまうと(革の交換なしでは)修理ができない事が欠点です。
「へり返し」で処理されたコバの角に部分は「菊寄せ」と言って革を細かく折り畳んで縫い上げる処理がよく施されます。
10回以上丁寧にシワを寄せて「菊寄せ」した物もあれば、4、5回程度のものもあり、職人さんの腕の見せ所。
「へり返し 菊寄せ」は、「切れ目 本磨き」程、手間は掛かりませんが、比較的安い製品から高級品まで幅広く使われ、当然、職人さんの腕が見栄えを左右します。
「菊寄せ」せずに、角の革を折り畳んだり、余分な部分を切り取ってから、折り畳んで縫われることもあります。余分な革を裁断して、綺麗に縫製された物の角はシャープな感じになります。これは、ヨーロッパの革職人が好む手法です。
「へり返し」は、外側の革を内装側に被せて縫い上げるため、内装側に外側の革の裁断面が来てしまいますが、下の写真のように裁断面の革を内装と外装の間に折り畳んで、余分な革が外へ出ないようにする場合もあります。->「へり返し合わせ」
変則的な処理方法として、下の写真のように外装は「切れ目」、内装は内装と外装の間にに折り畳んで縫い上げるといった製品もあります。
下の写真は、使っているうちに「へり返し」部分が破れてしまった例です。
こうなると修理はできません。
◆念引き
処理されたコバの周辺に、(焼いた)コテで線を入れる事があり、これを「念引き」と言い、日本の職人さんだけに見られる高度な技法です。
2枚の革の接着性を高める効果と、線を引くことでデザイン上のアクセントになるという効果があります。
上段の写真、2つは、ヒーター付きのコテを使用しています。そのため、色の薄い革では焦げ目が目立ちます。
上段、左の写真の例では、ステッチの内側と外側に計2本の念引きが施されています。
◆せべり
一見「へり返し」に見えますが、外側の革を内装側に折って縫うのではなく、全く別の革を裁断面に被せて縫い上げる手法を言います。
工程が増えるので「へり返し」より手間が掛かります。
5.ステッチ(縫製)
「ミシン縫い」、「ハンドステッチ(手縫い)」の2種類がありますが、既製品は、まず「ミシン縫い」ですが、既製品でも「ミシン縫い」が難しい形状の製品や「ミシン縫い」が難しい部分に「ハンドステッチ」が使われる事があります。
「ハンドステッチ」を行う場合は、まず「菱目打ち」と言って縫い目を目打ちします。
また、「ハンドステッチ」の製品の多くは「サドルステッチ」と言う手法で縫製されており、「サドルステッチ」とは、1本の糸の両端にそれぞれ針を付け、表と裏から同時に波縫いして縫い合わせる手法です。(元々は、馬具職人が鞍の縫製に用いた。)
表と裏から8の字を描くように縫われているため丈夫で、ステッチの一部が切れたとしても、簡単にはバラバラになりません。
対して「ミシン縫い」は、上糸、下糸の2本の糸を使い、上糸と下糸が絡まってテンションを掛けていますので、一方が切れると、バラバラになり易いのですが、革製品の場合は、そう簡単にバラバラにはならないと思います。
一般的には、手間が掛かり、コスト的に高い「ハンドステッチ」の方が丈夫と考えられており、これはある意味正解ですが、何箇所かステッチが切れたら「ハンドステッチ」であろうが「ミシン縫い」であろうが修理に出すべきなので、耐久性の面では一般的に思われている程の違いは無いと言えると思います。
ちなみに「ミシン縫い」か「ハンドステッチ」かは、素人でもある程度判別できます。
「ミシン縫い」の場合は、下の写真のようにステッチの上が左へ傾きます。「ハンドステッチ」の場合は、右です。
ただし、「ミシン縫い」でも、「菱目打ち」し、特殊は針を使えば「手縫い」のように見せる事は可能です。
「ミシン縫い」と「ハンドステッチ」では、使う糸が異なり、(原則として)縫う時にヨリが戻らないように糸に掛けられたヨリの方向が違います。
これは、ルーペや虫眼鏡で見れば、簡単に判別できます。
下の写真では、左下から右上にヨリが走っているので、これは「ミシン糸」です。「手縫い糸」なら右下から左上の方向になります。
ただし、ミシン糸型のヨリでも、手縫い糸として使う事はできるので糸のヨリと縫製方法に関しては例外も多いです。
縫製をチェックする時は、カードポケットなど段差が出来る部分のチェックを忘れずに。「ミシン縫い」の場合は、概して荒くなりがちですが、「ミシン縫い」でも「菱目打ち」を行い、丁寧に仕上げる職人さんもいます。
使われる糸の材質は「ミシン縫い」の場合は、「ポリエステル系」、「ハンドステッチ」の場合は「麻糸」が一般的です。
「ハンドステッチ」では、より丈夫な「シニュー糸」が使われる場合もあります。
使われる糸の材質や色、太さによって随分印象が変わりますので、チェックしておきましょう。
6.マチ
名刺入れや札入れなどは、名刺やお札が沢山入るように「マチ(遊び)」が付けられる場合が多いですが、「マチ」にも種類があり、使い勝手を左右します。
◆笹マチ
「笹マチ」は、横から見ると「笹」の葉のような形をしています。。
下部に「マチ」が付いてませんが、一枚の革で外側を包むことが出来るので、持ったときの手触りも滑らかです。一枚革を使用しないで「笹マチ」にする事もあります。
◆通しマチ
「通しマチ」は下側にも「マチ」が付いています。
この「マチ」は、収納力の面で利点があります。沢山入れたい人は最適です。
手間は、「通しマチ」の方が掛かり、コストも高くなりますが、「ササマチ」は、革を大きく裁断する場合があるので、トータルの金額的にはケース・バイ・ケースでしょう。
◆風琴マチ
「手風琴(アコーディオン)」のジャバラ部分をモチーフにした「マチ」です。
◆函マチ
ボックス型の小銭入れでよく使われるマチです。
閉じた時にマチ自身が飛び出し防止の蓋になります。
7.型絞り(肉盛り)
水分を与えた革を型を使って立体的に整形する技法を「型絞り」と言います。
ハンドメイドの製品で使われる「手絞り」、量産向きの「機械絞り」がありますが、どちらも難しい技法で、現在では「絞り」が出来る職人さん自体少なくなっています。
革製品では、名刺入れのマチの代わりに使われたり、ペンケースのペンの収納部分の整形に使われます。
8.ライナー(裏地)
「ライナー(裏地)」は結構大事です。
普通、革製品は「ライナー(裏地)」から壊れてゆきます。
出来れば丈夫なものが良いですよね。(個人的には革が良い。)
「ライナー(裏地)」でコストを落としている場合もあるので要注意です。
財布などの革小物の場合は、仕切りやカードポケット裏側に使われている「ライナー(裏地)」は要チェックです。
通販で買う場合は、お店に確認した方が良いと思います。
革製品は、買った後にショックを受ける原因の1つが「ライナー(裏地)」だったりします。外側と違って、明らかに手抜きだったり・・・。
裏地には、下記のようなものが使われます。
・革
・合皮
・布
・表の革の裏(床)側を裏地として活用したもの。
下の写真の財布の札入れ部分です。
写真の財布は贅沢な造りで、表革(右端)の裏全体にヌメ革が貼られ、仕切り(中)、内装側(左端)にヌメの1枚革を使っています。
表革の裏などは、通常、裏地として布地が張られていてもおかしくありません。
仕切りなども目に付く上の方だけが革で、下は布地と言うパターンが多いです。
内装側も、1枚革を使うのではなく、左右のな内装を繋ぐために一部に革が使われると言うパターンが大半です。
下の左の写真は「カードポケット」の中です。
4段あるうちの、2段目のカードポケットで、少なくとも手前は「革」が使われる最下段と異なり、誤魔化しが効く部分です。
上部だけが「革」で作られており、下部は「布」です。
右の写真は名刺入れですが、裏地も革になっています。
裏地に「革」以外の材料が使われる事には、重量や厚さ、硬さを抑えるたり、物を出し入れし易くする意図もあり、積極的な理由で革以外の素材が使われているケースもありますが、最大の目的は「コスト削減」と見て間違いないと思います。
真面目に内装を作れば、もう1つ同じものを作れる程度の革を使うこともありますので、やはり、内装の良し悪しはコストと密接な関係にあります。
頑張って「革」を使っている製品でも、銀面なしの「床革」が内装に使われることもよくあります。
なお、一定の割合以上「革」が使われていれば「本革製」と表示して問題ありません。
9.心材
ボリュームを持たせたり、型崩れを防止するために、革と革の間や革と裏地の間に「心材」が使われることが良くあります。
心材に使われる素材は
・革(主に床革)
・紙
・ゴム
・スポンジ
・金属板
など様々です。
10.金具
ファスナーやホックなどの金具が使われる場合もありますが、金具の使い勝手や耐久性も結構重要です。
◆ファスナー
YKK
製・・・さすがYKK。革製品でも良く見かけます。革製品用とでもシェアは、かなり高いのではないでしょうか?
riri
製・・・スイスのメーカー。有名ブランド等が採用しています。
LAMPO
・・・イタリアのLanfranchi社のブランド名。造形の良さから採用するメーカーも多い。
◆ホック(スナップ)
フィオッキ(FIOCCHI)
製・・・イタリアのメーカー。革製品では、よく見かけます。素材が柔らかく音が良いとの評判。
HATOHASI製・・・名前からすると日本のメーカーのように思いますが、詳細不明。これも良く見かけます。
SAEGUSA(サエグサ)
製・・・日本のメーカです。
フィオッキ製のホック。「FIOCCHI ITALY」の刻印が読み取れる。
11.お手入れ
鞄の類の大型の革物は持っていない事もあり、私の場合は、手入れらしい手入れはしません。
革小物の場合、使うことが一番のメンテナンスだと思っています。
使わないで置いておくとカビたりしますから。
汚れや(水分の)乾燥に気を払い、普段のお手入れは、硬めに絞った濡れタオルで軽く拭く程度で十分だと思います。
革用のクリームなど市販されていますが、リスクもあるので過酷な使用で無い限り使う必要はないのではないかと思います。
革自体に油分が含まれていますし、オイルレザーなどは十分な油を持っているはずです。
また、一口にオイルレザーと言っても、使われているオイルは植物性オイル、動物性オイル、鉱物油と様々で、オイルなら何でも良いと言うわけではないと思います。
この手の、お手入れクリームは、革の色を変化させる可能性もあるので、浅い色の革の場合は、特に注意が必要です。
しかし、浅い色での革で、水染みが気になる場合などは、使う価値があるかもしれません。多少、全体の色合いが変わるかもしれませんが、水染みが目立たなくなる可能性があります。
また、予め塗っておけば、汚れを防いだり、多少の防水効果を発揮するものもあるので、革に合う様なら使ったほうが長持ちするかもしれません。
お手入れクリーム等を使う場合は、材質にあったクリームを選択することが大切です。
・ラナパー・・・TVで有名ですね。蜜蝋と植物性のホホバオイルが主成分。
この商品のお買い物日記:
レザートリートメント「ラナパー」買ってみました
・ミンクオイル・・・動物性のミンクオイルが主成分。
・デリケートクリーム(モゥブレイ)・・・革の栄養クリーム 。
・ニート・フットオイル・・・ミネルバ・ボックス等のバケッタ製法のオイルレザーで使われる牛脚油100%。
・ブライドルレザー・フード(ホワイトハウス・コックス)・・・ホワイトハウス・コックスから出ている純正ブライドルレザー専用クリーム。
・馬毛ブラシ(ホワイトハウス・コックス)・・・ブライドルレザーのお手入れに。
12.エイジング
革に中には、使っているうちに光沢が増したり、色合いが深まったりするものがあります。
これをエイジングと言います。
興味が無い人から見れば、単に汚くなっただけとも言えなくもないのですが、革好きの多くが、このエイジングを楽しみしています。
比較的短期間で、大きな風合いの変化を見せる革は、タンニンなめしの物が多く、クロムなめしの革は、それ程風合いが変わりません。
そのためタンニンなめしの革は人気があります。
逆に、長期間、買ったときに状態で保ちたいなら、クロムなめしの革を選ぶべきでしょう。
とは言え、同じタンニンなめしの革でも、種類によってエイジングには差が出ます。色の変化が比較的起こり難いタンニンなめしの革もあるのです。
下の写真は、3年程使用した牛革の2つ折財布です。
大雨で濡らしてしまった事もあり、水脹れができ銀面が一部禿げていますが、ラナパーで誤魔化しています。綺麗ではありませんが、風合いは増しています。
下の写真は、1年ちょっと使用した牛ヌメ革の小銭入れです。
無染色の生成りヌメ革という事もあり、短期間で雰囲気が出ました。
元々は、肌色に近い色合いで光沢もなく、パサパサした感じでしたが、光沢も出て、色合いも増しています。まず、日光で焼いてから使い始めました。
これは、ホワイトハウスコックのブライドルレザー製パスケースです。
元々の色は「ニュートン」ですが、2年程の使用で多少色合いは変化しています。
使用、頻度が高いものではないのでこの程度ですが・・・。
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