猫の踊り場

猫の踊り場


 むかし、ある家で、手ぬぐいが毎晩1本ずつなくなるという、おかしなことが起こりました。
主人が、気をつけて見ていると、飼い猫のトラが、
手ぬぐいをくわえて逃げていきます。
主人は、「トラは、手ぬぐいを何にするのだろう」と、ふしぎに思っていました。

ある夜、村はずれを通りかかると、歌が聞こえてきました。
「こんな夜ふけに、こんなところで、だれが歌っているのだろう」
と思って、そっと見ると、たくさんの猫たちが、
手ぬぐいを姉さんかぶりにして、 おどっているではありませんか。

しばらくすると、猫がおどりながら、
「おい、今夜はトラがいないぞ」
「そうだ、トラがいないな。どうしたんだろう」
「トラがいないと笛がないから、調子が合わないな」
などと話しはじめました。

そこに一ぴきの猫がやってきて、
「今夜は、家で熱いおじやを出されて、舌をやけどしてしまったから、わるいけれど笛は吹けねえな」と、いいました。
主人がよく見ると、まぎれもないわが家のトラです。
びっくりして家にとんで帰った主人が、おかみさんに、
「今夜は、トラに熱いおじやを食べさせたか」と聞くと、
おかみさんは「はい、食べさせましたよ」と、いうのです。

やっぱりそうだったのかと思った主人は、
「手ぬぐいのなくなるなぞも、これで分かった」と
おかみさんにさっきの話をしました。

それから、猫たちが頭に手ぬぐいをかぶっておどっていた所を
「踊り場(おどりば)」と、よぶようになったということです。

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↑横浜の「踊り場」という地名の由来のお話です。
うちも手ぬぐいが無くなることが…もしや!?

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