とうとう更新! 愛・地球博!


2005年9月23日

準備期間から新幹線で看板ばかりみていたのだった。
声に出してみて初めて愛・地(球)と愛知をかけた「だじゃれ」だと気づいたものだった。
半年の会期を終えとうとう閉幕となると、当初興味を持っていたマンモスや東芝の時計が見られなかろうと、どうしてもいきたくなる。

実はそもそも、そう目玉的な要素を感じなかった万博だったのだ。
だから中途半端な距離にあるし、誘われたら行こうか、くらいの位置づけだったのだが、
マークや公式キャラクターを目にするに付け、
マークの深緑色のシンプルな隙のなさ、
公式キャラクター・モリゾーの大人の目つきが気に入ってきた。
そうやって、色やデザインが行動の原動力となってしまうのである。

というわけで朝、水に蜂蜜を溶かしたものだけを持って鈍行に乗った。
ペットボトル禁止と聞いているので、自転車についている水筒を使う。

enter曇り空だけど、爽快なエントランス。報道の通り、ゲートはカバン開封チェックのため相当もたつく。人が空いた11時着で正解だ。金属探知器あるからいいじゃん!せっかく自動改札がはやいのに!


さて名古屋についてもそこから会場はかなり遠く、それが意外であった。
やはり人が多く、歩きづらいほどではないが主力パビリオンにはいるのは全く無理の状態だ。
そこで、待ち時間0のパビリオンだけをみてあとは散歩することに決めた。入ったパビリオンはパネルで国の資源や環境対策、観光地などを紹介し、後半は特産品の売店であることが多かった。もちろん見たいものを見るのが一番いいのだが、そうでなくてもたくさん人がいて楽しそうに歩いているのをみると、それだけで来た感じがしてのんびりと楽しいものである。


外国に滞在する友人の多くがいる、北中南米の国々のパビリオンがある一角に来た。不勉強なもので名前を聞いたことがあってもその他のことを知らない。最初はカナダだ。この頃、文化や産業がとなりのアメリカとかなり違うようだと感じ始めたところで、アメリカ人の友人も移住するとまで言い始めたので、もっとも注目する国なのであった。といっても長蛇の列でメインの場所には入れない。脇の空いた別口から入ると水牛のような動物の剥製に迎えられ、観光地を紹介するコンピュータ端末が並ぶ一角である。コンピュータ上で観光し、風景写真を自分宛メールで送ることができ、逆にカナダ人宛てにメッセージを送れる、地味ながらも工夫が凝らされた展示だ。


canadaカナダ。待ち列前ではバイリンガルの人が漫才?をやっている。
スピーカーを通した声は聞き取りにくいので、立ち止まれず。

次の中米共同館は各国の海岸の砂を展示してあり実際に触ることができた。友人の滞在するニカラグアは、砂が隣国に比べ真っ白で粒が硬く、きらきらしている。彼女の国がリゾート地のような海岸を持っていると知り、嬉しくなった。
パナマでは9ヶ月が雨期だということ、運河の水位を調整するためには大きな淡水の人口池を備えていて、海水でなかったことにビックリした。他に、土地に特徴的な植物が実際にパビリオン内に植えられていた。コーヒーの木や、空気中の水分を吸って大きくなる植物だ。
グアテマラでは背の高い木のしたでコーヒーを栽培し、それが品質の良い豆を得る工夫なのだと知った。売店のコーヒー豆は日本で売られる「グアテマラ」よりずっとおいしいのではないかと思わず買いそうになった・・・。
これで3つの国は少し知識が増えたぞ。パビリオンってありがたいではないか。


さて朝から何も食べていないのでそろそろバッテリー切れである。メキシコ館で唐揚げを食べ、でもそれがむしろ呼び水となって本格的にお腹が減ってしまったので、動くのは休止して日陰でトルコ料理を食べる。ポケット状のパンに肉とタマネギを挟んだ物だ。リゾート価格のスナックも楽しい。


次に入ったパビリオンが特に気に入ったアンデス共同館。二度目に訪れた時は民俗音楽の生演奏で盛り上がっており、もしかして気に入った理由は、BGMで流れていた民俗音楽のリズムか音色にあるのだろうか。
生き物が写ったパネルをみながら螺旋状に少しずつ坂を登って、上に上がると環境への取り組みを紹介してくれる。かれらは友好の象徴である赤い貝を絶滅から保護しつつ、友好を深めようとしている。
売店でアルパカ100%の織物や衣服を売っている。はじめて触ったが羊毛とは全く異なり、手触りが力強くて暖かい。とても欲しいが価格も「本物」。それで、脇に売っている毛糸の指人形で我慢することにした。


andes毛糸の指人形。友人の出産祝いにどうかな?
おまけしてもらって余分に買えたので自分用にも残った。
色とりどり、表情がコワイ。日本にはないインパクト。

中央アジア共同館、イラン館などでやはり織物をみると、強い色彩で緻密な柄が織り込まれているところはアンデスと似通って感じる一方、感触が大きく異なる。原材料や用途の違いなのだろうが、原材料、土地の気温やかぜの強さ、湿度など、なにも知らないので考えがそこでストップしてしまい、どうにももどかしい。
イラン館で初めてみたペルシャ絨毯は本当に高価で、2000万もするものが展示してあり、ビックリ。日本に敷いて最適とは思えないが、実物はとても美しい。さらに感心したのは博覧会用にキャラクターとロゴを織り込んだ巨大な絨毯がエントランスにかかっていたこと。写真がなくて残念だが3畳くらいあると思うわれるこの絨毯は、織るのに年単位でかかるのだろう唖然としていたところ、AICHI(愛知)がAIOHIと誤植=誤織されているのに気づき、担当者の悶絶を想像してしまった。


india


インド館が見えてきた。迷わず入る。お香の香が充満して別世界である。テーマは菩提樹。あ、どこでもボダイと言うのね、日本語ではなかったのか梵語なのかな。まんなかに大きな菩提樹のジオラマがあり、パビリオン内が木の下だという設定だ。エントランスにマリーゴールドの花が数珠繋ぎになったものがかかっている。歓迎の意を表する装飾だそうだ。これには参った。日本で歓迎の意を表するのにそこまでするだろうか。というより思いつく風土にない。
マレーシア館。イスラム教ってどんな宗教?と思って入った。パンフレットで素人に丁度良い説明が書いてあって、教義はアラーは唯一の神であること、マホメットはアラーの使いだと言うことの2つきりで、教えのなかの生活の知恵(?)のようなものがシンプルで実際的なようだ。



万博は環境への配慮というふれこみの通り、パビリオン内はおおむね冷房が弱い。暑い中歩き疲れた状態では強めの冷気が恋しくなるが、どうどうと思い切りよく弱冷房にしているので「しょうがない、これも日本の夏だ」と割り切れるものだ。

mistグローバル・ループと呼ばれる歩道には所々に屋根と、ミストとなった水が噴き出す装置が付けられていて、打ち水の効果をねらっている。ミスト装置は南の国にはすでにあるようだが、これを万博だけの工夫として終わらせず、広めれば大きな環境対策になるはずだ。


場内にはほかにミネラル水の吸水器や心室除細動器も備えられていて、環境のみならず健康にも配慮しているようだ。が、水切れ、心臓発作など、命の心配をしなければならない会場って、どうなんだろう。
とはいえ入場者にはリピーターがたくさん見受けられ、それが大きな特徴のようだ。かれらはキャラクターの絵が付いたTシャツを着込み、公式グッズの帽子やスタンプを押す手帳、マスコット人形などを多数携えて万博気分を盛り上げている。パビリオンのハンコがたくさんおした手帳をみると、私も少しうらやましい。そこここのハンコを手持ちの地図に押して遊ぶ。


さあ夕方に近づいてきた。一万歩くらい歩いてそこそこ疲れてきた。かき氷を食べて芝生に座り、エキスポビジョンを眺めるともなく眺め、夕方からのイベントで徐々に入場者が増えてきたところで、イベントはみないで帰っちゃいましょう。過去に名古屋で終電を乗り逃し、50kmくらいの距離をタクシーで移動した経験があるので、明るいうちに撤収する計画だったのだ。リニアモーターカーのリニモに乗れればそれでいい。

linimoリニモ。ごく普通の値段で乗れてごく普通の動きをする。そうでなくては日常の乗り物にはなれません。横浜博では数分乗るのに数百円かかったものが、万博の「見せ物」がとうとう「普通」に昇格した。


楽しかった小旅行もついに終わりを迎えた。
日に当たって疲れたので、帰りの全行程は座れて助かった。
名古屋から京都方面の列車は夕方は格段に接続が悪くなるので、少し贅沢に新幹線を間に挟んで心地よく帰る。
自宅に帰り着くなり、窓を開け放ち、昼間の風を思い出しながら夜まで昼寝の一日の終わりなのだった。








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