がらくた小説館

ドライブ

今日は彼女と車でドライブすることになった。

はっきり行って俺は運転に自信がない。車線を変えるだけであたふたするし 、信号を曲がる時に、後ろに車がいるだけで、もうテンパってしまう。そしてそのことばかりに気持ちがいってしまうため、忘れものが酷い。

今日は一時間も前に準備に取り掛かり、何度もチェックをしたので大丈夫だろう。相変わらずぎこちない運転だが、助手席で彼女が寝ている姿を見ると、まずまずなのではないかと思う。

その時ふとあることを思い出した。まさかとは思うが不安は募るばかり...。そこで俺は悪いとは思ったが、横で寝ている彼女を起こすことにした。そして寝起きで不機嫌そうに目をこする彼女に「まさか忘れてないよね?」と聞いた。

「何を?」と彼女。

「免許だよ」

「持ってきてるわよ」

「いや、それならいいよ。寝てくれ」

「私運転しないわよ」

「わかってるよ俺がするから」               

その後彼女は再び助手席で眠りにつき、俺は意気揚々と運転を続けた。本当に良かった。彼女が免許を忘れていなくて。

俺は免許を持っていないのだ。だから彼女がそれを忘れていたとしたら、もうどうしようもなかったのだ。しかしこれで気持ちよくドライブが出来る。

空はどこまでも青く、澄み渡っていた。




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