35
maya
超えられぬ
川を前にし
赤とんぼ
おりくさん
「透き羽は自侭な動力秋茜」
36
maya
ばらとティと
あなたとわたし
夢うつつ
おりくさん
「花野にて君と語りし余韻かな」
37
maya
肌寒し
ボールペン伝う
温もりや
おりくさん
「ともがらの遠くに在りて夜寒かな」
「一言の友の温みや秋灯下」
38
maya
ポップコーン
弾ける香り
秋の昼
おりくさん
「ポップコーン鍋にはじけて天高し」
39
maya
小春日は
時を忘れて
ゆらりゆら
おりくさん
「小春日の句のやさしくて充ちたりぬ」
40
maya
窓すべて
秋の夕焼け
帰り道
おりくさん
「悉く白壁朱(あけ)に秋入日」
41
maya
麒麟草
先輩顔して
指揮をとり
おりくさん
「暮れなずむ花野は奏す室内楽」
42
maya
連歌して
温泉の湯気
菊の香
おりくさん
「芭蕉忌や出湯に湧くは連歌の妙」
43
maya
柿五つ
土産に持ちて
微笑みぬ
おりくさん
「 柿二つふところにして家路かな」
44
maya
子等笑い
親笑い出す
秋澄みて
おりくさん
「釣り欠伸つられ笑ひや春炬燵」
45
maya
秋雨に
涙色して
花開く
おりくさん
「晩秋雨されど一輪華やかに」
46
maya
マニキュアの
光る指先
小春かな
おりくさん
「マニキュアの指先踊る五月かな」
47
maya
銀杏舞う
足取り軽く
ぞうり音
おりくさん
「黄八丈にいちやう染まる御堂筋」
48
maya
空に満ち
池をも染めて
山紅葉
おりくさん
「踏み入れば空埋め尽くす照紅葉」
49
maya
長き夜や
思いふくらみ
俳句ねる
おりくさん
「蛇穴に入る熟々と俳句練る」
50
maya
銀杏舞う
乙女となりし
故郷に
おりくさん
「ふるさとは今も黄金の大銀杏」
51
maya
黄金の
銀杏葉となり
宙を舞う
おりくさん
「大銀杏黄金を撒くや狐来よ」
52
maya
秋雨に
身を寄せ合い
一つ傘
おりくさん
「時雨るるやこの傘一つこの夫と」
53
maya
茶の花や
純白ドレス
香りたち
おりくさん
「茶の花やお下げのままの友いずこ」
54
maya
白菜や
さくさくと切る
音たのし
おりくさん
「白菜切る母割烹着それが好き」
55
maya
薄野や
鯛泳ぐ店
昼御膳
おりくさん
「薄野を越えて鯛めしあり着きぬ」
56
maya
冬めきて
心に響く
友の声
おりくさん
「真実の証を胸に冬薔薇」
57
maya
月冴ゆる
未来を照らす
星探し
おりくさん
「凍て星や言葉の温み欲りゐたり」
58
maya
桜木や
赤く燃え尽き
秋の暮れ
おりくさん
「寒紅をさして鏡の化身とも」
59
maya
寒紅や
王女のごとく
愛らしく
おりくさん
「褪せぬ恋褪せぬくちびる寒の紅」
60
maya
山茶花や
笑い転げて
咲き乱れ
おりくさん
「山茶花のいみじく咲きて胸傷む」
60
maya
年の暮れ
ドリンク飲んで
ファイトだし
おりくさん
「お歳暮や人息れ満つ売場にて」
61
maya
海猫の
鳴く海寒し
恋悲し
おりくさん
「凍て海を越えて名画の悲恋もの」
62
maya
小春日や
ブーツの音も
軽やかに
おりくさん
「小春日のブーツきゅきゅきゅと愉しかり」
63
maya
雲流る
青い地球の
白き息
おりくさん
「同窓会深夜に及び息白し」
64
maya
息白し
手をにぎり締め
”さよなら”と
おりくさん
「地球さえ白き息吐く宇宙闇」
65
maya
黄金の田
流れる霧よ
ふるさとよ
おりくさん
「海行かば錦秋の山父母恋し」
66
maya
人参や
幸せ色に
頬染めて
おりくさん
「惣菜の人参花の気遣いかな」
67
maya
凍て空に
心包める
温かさ
おりくさん
「凍て星のあれが君かと仰ぎ見る」
68
maya
千代紙の
鶴にとなりて
空を翔ぶ
おりくさん
「折鶴の京の空へと翔け発ちぬ」
69
maya
ガラス靴
ダンスのステップ
凍てる足
おりくさん
「凍て靴に虹を見つけしシンデレラ」
70
maya
万華鏡
風に吹かれる
花錦
おりくさん
「花八ツ手そんな人生万華鏡」