≪☆女神☆の広場≫

≪第十七話≫

＜親子＞

東京に帰ってからと言うもの

これから札幌に居を構える為の

仕事の切り替えの支度と準備とかで

毎日が忙殺されて

彼との音信が段々途絶えてきている事に

気付いて無かった

そんな或る日

離れて暮らす父が久し振りに訪ねて来て

私に縁談を勧めにきた

勿論私には札幌に彼が居る

父には失明の事は隠して

今までの経緯などを話して聞かせた

父も取り敢えず納得して

其の日は帰る事にした

私は折角だから父の車に乗せて貰い

買い物に行こうと上着だけ着替えようと

脱いだ時

父は驚きの眼差しを私に向けた

どうしたのかと尋ねると

父は私がかなり特に下腹部が太った事に気付き

私は始めて父に言われて分かった

そう言えば

札幌から東京に帰ってからと言うもの

毎月遣って来るべきお月様が

ずっと来てなかった事にも気付いた

確かに生出しを何度も繰り返していた訳だし

子供を身篭って当たり前かもしれない

そんな訳で今度父と一緒に札幌に行く事に決めた

それから買い物から戻り

彼に久し振りに電話した所

留守電になっており話が出来ず

翌日もまた次の日も繋がらない

其処で彼の母親が入院する病院へ電話して

彼の事を聞いたら

気分直しに暫く旅に出たとの事

何故私には言ってくれないのかと

また携帯も繋がらない謎は解決出来ない

不安が胸を締め付ける

とにかく彼の母親に会って

彼の子供を宿した事とかを言わなくてはと思い

父を伴って札幌に行く事にしました

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

札幌の空港

覆い切れない不安を抱え

彼の母親が入院する病院を目指し

タクシーに乗り込んだ

やっと病院に辿り着き

父と共に病室へ向かった

これが２２年振りの親子対面になるとは

知る由も無く

で３人揃って初めて顔合わせ

対面するなり

彼の母親と私の父が揃って同じ様に驚いていた

そして其の後

父はこの世の終わりを告げるかの様な

苦愁に満ちた顔面蒼白状態に陥ってた

私は２人の表情に不安と同時に

彼の事が急に心配になってきた

暫く沈黙状態が続き

みんなはそれぞれの思惑を抱え

焦点が定まらない

茫然自失状態であった

始めに我に返ったのは母親であった

そして母への罪滅ぼしの意味も有って

話し始めたのは父からであった

此処で今までの可笑しいと思ってた事が

全て判明する事になった

此処にいる彼の母親は

実は私の母親でも有ったのです

２２年前に別れた母親

寂しい時に想像してた本当の母親

私は眩暈がして

その場に倒れ込んで軽い失神状態になり

意識が回復するまで病院のベッドに横たわった

意識が完全に消えるまでのほんの数秒

一瞬彼を見た様な幻覚に襲われた

意識が無い状態でも夢は見るものか

意識が戻るまでずっと

彼と過ごした楽しかった日々の夢を見ていた

出来る事ならば

此の儘夢から醒めず

ずっと寝て居たかった

Zzzzzz・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

私が眠っている間

一体父と母とはどんな会話がされたのか

２人は２２年振りの再会をどう受け止めたか

私には知る由も無かった

ただただ深い眠りに落ちていた

・・・・・・・・・

意識が戻った後

運命の悪戯に翻弄される私の地獄

如何なる物に為るか？

永遠に開かれる事が無い扉に向かって進んで行く

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