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2007.07.31

追悼　イングマール・ベルイマン★「秋のソナタ」

(6)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

「野いちご」「処女の泉」「叫びとささやき」など、
人間の深い業や人間同士の心の葛藤、神と人間との関係性などを好んで題材にした
北欧の巨匠イングマール・ベルイマン監督が、本日死去しました。89歳だったそうです。
欧州のみならず、世界の映画史に大きな一石を投じた巨星が、またひとつ消え、
モイラは残念でなりません‥‥
きょうは、ベルイマン監督を偲び、彼の初老期の大傑作
「秋のソナタ」（'78年　スウェーデン）をおとどけします。

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ノルウェイ北部の田舎で、牧師の夫と静かに暮らすエヴァ（リブ・ウルマン）は、
国際的ピアニストとして華やかな人生を歩いてきた母シャルロッテ（イングリッド・バーグマン）を、７年ぶりにわが家に迎えた。
60歳を過ぎてもなお華やかな雰囲気で、真紅のドレスに身を包んだシャルロッテ。
少女時代から、いつも演奏旅行に出かけ、奔放に恋をしていた母へ、嫉妬まじりの憤懣を抱きながらも、それを押し殺していたエヴァ。
エヴァは最初、懸命に笑顔を作ってシャルロッテを迎え入れ、シャルロッテも笑顔だったが、
脳性麻痺の妹娘ヘレナも招かれていると知るや、途端に不快な顔に‥‥
エヴァは母への怒りを爆発させ、酔った勢いで罵り始めるのだった‥‥

シャルロッテはバーグマンそのものでしたね。
母国での女優デビュー、ハリウッドでの大成功、
ロベルト･ロッセリーニ監督との不倫の果てに、夫と娘を棄ててイタリアへ‥‥
美貌と栄光のみならず、奔放さを持ち合わせた女は、とかく同性からバッシングの対象となりますが、
それが実の母親なら、なおのことバッシングはひどいものでしょう。
母親への憤懣を押し殺し、表面は笑顔で招き入れる娘、
娘への負い目を抱きながらも、「自分は女としてまだまだ現役よ！」とばかりに、
眼もさめるような真っ赤なドレスをまとう母。
ハリネズミが全身の針を逆立てながらも、仲良しごっこをするような女同士の心の葛藤。
しかもそれが実の母と娘なのですから、ショッキングです。
まるで鋭い猛禽類の爪で、胸のあたりの皮膚を剥かれるよう‥‥
「叫びとささやき」でも、姉妹間の嫉妬、憎悪が静かに淡々と、それゆえ不気味に描かれていましたが、
この作品は、かなりテンションが高いです。生々しいというか‥‥

追悼・ベルイマン監督

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最終更新日 2007.07.31 22:11:17
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■コメント

Re:追悼　イングマール・ベルイマン★「秋のソナタ」(07/31)

hasechan7291 さん

ベルイマン亡くなりましたね。「秋のソナタ」はたしか、バーグマンの最後の作品でしたねー。合掌。 (2007.08.01 01:52:01)

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Re:追悼　イングマール・ベルイマン★「秋のソナタ」(07/31)

ぶらぼーおやじさん

少年時代の僕にとってイングマル・ベルイマンは特別でした。
「叫びとささやき」をロードショウで観ましたが、ヘンに肩肘張って観に行ったような・・・

フェリー二もとうに亡くなり、ゴダールは元気だろうか。
(2007.08.01 08:03:22)

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哀悼・・・☆

WHO-KO さん

本当に残念です・・・☆
けれどベルイマンが残してくれた作品は、不滅・・・☆
これから私が年齢を重ね、まだ良く消化出来ていない作品や、大好きな「野いちご」なども、もっともっと深く共感出来る・・・その日が来るのが楽しみです・・・☆
ベルイマン・・・ありがとう・・・そして安らかに☆ (2007.08.01 08:11:55)

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Re[1]:追悼　イングマール・ベルイマン★「秋のソナタ」(07/31)

モイラ2007 さん

hasechan7291さん、こんばんは。

＞ベルイマン亡くなりましたね。「秋のソナタ」はたしか、バーグマンの最後の作品でしたねー。合掌。
-----
そうですね。
最後の作品が母国の巨匠の映画なのだから、
バーグマン自身も大いに満足だったんじゃないかと
思います。

(2007.08.01 18:00:15)

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Re[1]:追悼　イングマール・ベルイマン★「秋のソナタ」(07/31)

モイラ2007 さん

ぶらぼーおやじさん、こんばんは。

＞少年時代の僕にとってイングマル・ベルイマンは特別でした。
＞「叫びとささやき」をロードショウで観ましたが、ヘンに肩肘張って観に行ったような・・・
＞
モイラと逆ですね。
モイラはベルイマンについてほとんど何も知らぬまま、名画座で観ました。
赤を象徴的に使った独特の演出に、心ひかれたものです。

＞フェリー二もとうに亡くなり、ゴダールは元気だろうか。
-----
なんか、映画の黄金期を築いた巨匠たちが次々亡くなり（仕方がないことなのですが）
とても寂しく、哀しいです。
(2007.08.01 18:02:47)

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Re:哀悼・・・☆(07/31)

モイラ2007 さん

WHO-KOさん、こんばんは。

＞本当に残念です・・・☆
＞けれどベルイマンが残してくれた作品は、不滅・・・☆
＞これから私が年齢を重ね、まだ良く消化出来ていない作品や、大好きな「野いちご」なども、もっともっと深く共感出来る・・・その日が来るのが楽しみです・・・☆
＞ベルイマン・・・ありがとう・・・そして安らかに☆
-----
モイラもまったく同感です。
「素晴らしい作品をありがとう‥そして、安らかに‥」
天国でも秀作を撮ってほしいものです。
(2007.08.01 18:04:40)

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