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2007.08.01

陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」

(9)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

昭和ゴジラシリーズ第７作「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」 ('66年　東宝）は、
他のゴジラシリーズと、些か趣を異にします。

ゴジラ・エビラ・モスラ#南海の大決闘

どう違うのかというと‥‥
一つ、ゴジラが出現すると、必ずと言っていいほど登場する自衛隊がまったく姿を見せない。
二つ、悪を蹴散らすヒーロー（人間側）が犯罪者。
三つ、日本列島に怪獣が上陸しない。
四つ、これまで正義の科学者役として登場していた平田昭彦が、その端正な風貌からして、あまり似合わない悪役を演じている。
五つ、音楽（佐藤勝）が、当時流行りだったエレキ･ギターのノリノリのリズムを多用している。

南海で遭難した猟師の兄が生きているというイタコのお告げを聞いた少年が、
ひょんなことから、お気楽でちょっとプチブル入った大学生二人と知り合い、
ほんの軽い気持ちで停泊中のヨットに乗り込んだはいいものの、先客にいたのは、逃亡中の金庫破りの常習犯（宝田明）。
そんな４人が太平洋をヨットで漂流するはめになり、うちあげられた所が、
南海の孤島レッチ島。
一見無人島と思われたその島には、何やら秘密基地のようなものがあり、
軍服を着て銃を持った連中が、モスラを守護神とするインファント島の住民を拉致、監禁していた‥‥！
その怪しい組織「赤イ竹」に、追い回される４人の男と、逃げ出したインファント島の娘ダヨ（水野久美）。
このあたりの逃亡劇は、ハリウッドの海賊映画を彷彿とさせましたね。
宝田明、犯罪者のくせにかなりいい奴で、一同が苦境に陥るたびに、咄嗟の機転で突破口を見出します。

名前通りエビの化け物のようなエビラは、右前足には船をも真っ二つにしてしまう巨大で鋭利なハサミ、
左前足には人間二人を串刺しにしてしまう槍のような針が武器。
陸では怖いものなしのゴジラも、エビラに海中に引きずり込まれ、
ハサミと針を振るわれるのですから、かなり苦戦しています。
荒れ狂う大波にもまれながらの陸の王者と海の魔獣の闘いは、壮絶そのもの！
かたやモスラは、最後のほうで、やっとインファント島の人々の「眠りから覚めよ」の祈りによって出動し、
レスキュー隊の役割を果たすだけ。
どうせならゴジラと一緒にエビラと闘ってほしかったけど、
成虫モスラは泳げないし、ゴジラのように口から炎を吐くこともできない、
武器と言えば、突風を起こす羽ばたきと、目潰しの銀粉だけだから、まあしょうがないですか‥‥
あと不満なのは、平田昭彦、田崎潤の悪党二人の最期。
平和の島の人々を拉致監禁して強制労働させ、挙句に核爆弾で島もろとも吹き飛ばしてやろうなんて企む極悪人どもなのですから、
乗ってる船がエビラに真っ二つにされるだけじゃ甘ーい！
二人ともエビラの針に串刺しにされちまえ！　と、思いました。

‥‥と、まあ、言いたい放題でしたが、全体的には大人の鑑賞にもたえうるエンタテイメントに仕上がっていましたね。

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最終更新日 2007.08.01 22:50:34
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■コメント

Re:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

オルフェ125 さん

これ、小学生の時、観ました。
エビラ、弱すぎと感じて、少しガッカリした記憶があります。

それはそうと、ネットオークションでは
エビラに関してこのような伝説があります。

http://plaza.rakuten.co.jp/orfe125/diary/200706120003/

リンクを辿ってみてください。
(⌒▽⌒；) オッドロキー！です。

(2007.08.01 23:32:04)

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失礼･･･(→o←)ゞｱﾁｬｰ！

オルフェ125 さん

ごめんなさい。既にリンクが切れていました。

当時のエビラのプラモ（しかも部品不足で動きもせず、言えばゴミ同然のもの）が
なんと４６万円で落札されたのです！
このモデルは非常に希少価値が高いらしく、
この出品以前にも４０万円の値が付いた伝説があります。

その価値は私には全く理解できませんが。。。
(2007.08.01 23:36:08)

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Re:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

虹之助さん

このあたりから大幅に予算が削られて、ミニチュアを組むこともエキストラを雇うこともできなくなったようです。
ということで、ゴジラは日本の都市を破壊することができず、苦肉の策で南海の孤島で戦うことになるわけです。
こうなってしまうと、重厚な伊福部音楽はもはや不釣合いなので、流行りのエレキサウンドでかえって正解なんでしょうね。
怪獣映画のひとつの分岐点となった作品でしょう。 (2007.08.02 00:04:02)

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Re[1]:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

モイラ2007 さん

オルフェ125さん、こんにちは♪

＞これ、小学生の時、観ました。
＞エビラ、弱すぎと感じて、少しガッカリした記憶があります。
＞
＞それはそうと、ネットオークションでは
＞エビラに関してこのような伝説があります。
＞
＞http://plaza.rakuten.co.jp/orfe125/diary/200706120003/
＞
＞リンクを辿ってみてください。
＞(⌒▽⌒；) オッドロキー！です。
-----
エビラは巨大ハサミと針をとられたら、
ただの巨大エビにすぎませんね。
それに水のあるところにしか、棲息できないという
大きな弱点がありますから、
やっぱりゴジラの敵ではないのでしょう。 (2007.08.02 11:16:13)

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Re[1]:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

モイラ2007 さん

虹之助さん、こんにちは、コメントありがとうございます！

＞このあたりから大幅に予算が削られて、ミニチュアを組むこともエキストラを雇うこともできなくなったようです。
＞ということで、ゴジラは日本の都市を破壊することができず、苦肉の策で南海の孤島で戦うことになるわけです。
＞こうなってしまうと、重厚な伊福部音楽はもはや不釣合いなので、流行りのエレキサウンドでかえって正解なんでしょうね。
＞怪獣映画のひとつの分岐点となった作品でしょう。
-----
怪獣映画‥というよりは、日本映画の分岐点だった時代ですよね。
テレビの台頭で映画の興行収入が激減。
日活も大映もこのあと深刻な経営危機に襲われるわけですから。

苦肉の策にしては、結構上質に作られていましたね。
でも赤イ竹の戦闘機がゴジラを襲うシーンで、エレキサウンドを使うのは、
ちょっとマヌケなような気もしました。 (2007.08.02 11:26:01)

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最初は「東宝チャンピオンまつり」のリバイバルで観ました。

ITOYA さん

こんにちは。
ただのエビとはいえ、新怪獣！割り切ってみれば、一対一の決闘も勇ましい。
ただ一瞬とはいえ、ビッグネームのモスラも競演！子供としては素直に楽しめました。
（ただ、ペアバンビって誰？）

このころはもう日本上陸、都市破壊というのもパターン化していて、この前の「怪獣大戦争」で宇宙人がらみもやってしまったので、
あとは、ミニチュアの予算も少なくてすむ、南海の孤島だ！ということで、怪獣島、冒険ものになっていきましたね。
本作で踊るインファント島民も少なく、そのステージのセットも狭くて、予算事情を感じてしまいます･･･。
次の「ゴジラの息子」も島で、「怪獣総進撃」では怪獣島（ここで都市破壊復活して怪獣は終了･･･のつもりだった）、
「オール怪獣大進撃」も怪獣島、しかも夢の中！と続きます。

後に知ったところでは、当初の企画は「ロビンソン･クルーソー作戦キングコング対エビラ」で、脚本もキングコングを前提に書かれたそうです。
ゴジラとダヨとのカラミは、コングと女性というお約束だったのですね。（「しあわせだなぁ」と鼻も掻く･･･）
なるほど、だからモスラは付け足しの感じだったのかと納得できます。
眼帯の悪役などの設定も、コングの感じ。
それでも大エビとコングの対決もなんか微妙･･･。
直接、観て確認していないのですが、ラストシーンのレッチ島が爆発するカットは、クレージーキャッツの「大冒険」の流用だそうです。
また長くなってすみません（＞_＜）
(2007.08.02 14:23:56)

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Re:最初は「東宝チャンピオンまつり」のリバイバルで観ました。(08/01)

モイラ2007 さん

ITOYAさん、こんにちは♪

＞このころはもう日本上陸、都市破壊というのもパターン化していて、この前の「怪獣大戦争」で宇宙人がらみもやってしまったので、
＞あとは、ミニチュアの予算も少なくてすむ、南海の孤島だ！ということで、怪獣島、冒険ものになっていきましたね。
＞本作で踊るインファント島民も少なく、そのステージのセットも狭くて、予算事情を感じてしまいます･･･。

まったくですね。小杉酋長も出てこないし、寂しかったです。

＞次の「ゴジラの息子」も島で、「怪獣総進撃」では怪獣島（ここで都市破壊復活して怪獣は終了･･･のつもりだった）、
＞「オール怪獣大進撃」も怪獣島、しかも夢の中！と続きます。
＞
＞後に知ったところでは、当初の企画は「ロビンソン･クルーソー作戦キングコング対エビラ」で、脚本もキングコングを前提に書かれたそうです。
＞ゴジラとダヨとのカラミは、コングと女性というお約束だったのですね。（「しあわせだなぁ」と鼻も掻く･･･）
＞なるほど、だからモスラは付け足しの感じだったのかと納得できます。
＞眼帯の悪役などの設定も、コングの感じ。
＞それでも大エビとコングの対決もなんか微妙･･･。
＞直接、観て確認していないのですが、ラストシーンのレッチ島が爆発するカットは、クレージーキャッツの「大冒険」の流用だそうです。

「怪獣大戦争」あたりから流用をするようになりましたね。
でも台所事情が厳しい中、なんとか予算枠内で上質のエンタテイメントを創ろうとする姿勢は、すばらしいものです。

(2007.08.02 15:58:12)

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Re:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

chappie the gogo! さん

おお、結構今までのものとは細かな違いがあるんですね。観てないから興味津々です。
やっぱ東宝特撮、いいですね。
(2007.08.02 21:20:08)

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Re[1]:陸の王者危うし！★「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」(08/01)

モイラ2007 さん

chappie the gogo!さん、こんばんは♪

＞おお、結構今までのものとは細かな違いがあるんですね。観てないから興味津々です。
＞やっぱ東宝特撮、いいですね。
-----
毛色の違う怪獣映画というものも、また良いものですよ。但し、シナリオがしっかりしていれば‥という前提つきで。
一度ご覧になることを、おすすめします♪ (2007.08.02 21:33:03)

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