★モイラの名画座★

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2007.08.02
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日米安保闘争真っ只中、その安保闘争をまんま映画の題材にいただいちゃった 「日本の夜と霧」
しかし‥‥松竹は 公開からわずか4日で、上映を打ち切りに
烈火の如く怒った 大島渚監督 は、松竹に辞表をたたきつけるわけですが‥‥
この作品はその後 、「知的」とか「教養」とかいうキーワードに弱い
インテリ気取りの人々から熱烈な支持を受け、「日本映画界の隠れた秀作」と見直されました。



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この当時は二番手だったけど、今は押しも押されぬ名優 津川雅彦
戦前の美人女優桑野通子のご令嬢・ 桑野みゆき
非インテリを演じてもインテリ臭がどこか消せない東大卒の 渡辺文雄
アクの強さが売り物の、性格の悪い男を演じたら天下一の名バイプレイヤー・ 佐藤慶
同じくアクが強いけど、実は京大英文科卒のインテリ・ 戸浦六宏
誰でも一度は国語の教科書でお世話になった文豪芥川龍之介の御曹司・ 芥川比呂志
そして監督夫人・ 小山明子 ‥‥!

‥‥とまあ、キャスティングは高学歴やサラブレッドのオンパレードで、そうそうたるものですが、
内容はまったくの 弁論大会! しかも早口で、聞き取りにくく、途中でセリフをトチったりもしてるありさま!
結婚式に突然乗り込んできた闘争中の学生と、元学生で今は平穏なサラリーマンとその奥さんたちとの、唾を飛ばさんばかりの会話(ディベート?)だけで、
安保闘争がいかなるものだったのかを問いかける
そもそも、佐藤慶、戸浦六宏が学生を演じること自体、年齢的にムリムリです。
佐藤氏、戸浦氏の詰襟の学生服姿に、モイラは必死で笑いをこらえていました。

別にディベート劇でもいいんですよ。でもそれならそれで、
弁論大会風アジテーションなんか一切排して、
安保闘争の「あ」の字も知らない(モイラもです)人たちにも納得の行く気のきいたセリフを多用するとか、
映像の要である絵(背景は無論のこと、小道具にも)に力を入れるとか、
もうちょっとやり方があったでしょう。
松竹が打ち切りにしたの、わかりますね。理由は思想云々よりも、中身でしょう。
キャスティングを大島組でかためてしまったこと、
テーマと理屈ばかりが先行したのが、敗因の大元だと思います。

まあ好き勝手なことばかり書きましたけど、この作品、
「どうにもならない駄作!」と、切り捨てることもできないんですよね。
なぜか‥‥?
邦画ではこれまでタブー扱いされてきた 思想 (それも思い切り左側)というものに、
真っ向から取り組んだ大島監督の気骨は、あっぱれだと思うからです。

★なんだかんだ言っても、大島渚はすごい!★




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 御法度 / ビートたけし





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最終更新日  2007.08.02 21:27:25
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遂に出た!Σ( ̄口 ̄;;  
オルフェ125  さん
この作品は重要です!
本作と「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」そして
果ては「マックス・モン・アムール」に至る
大島渚思想の出発点なのですから!
(2007.08.03 00:02:15)

Re:大島流弁論大会映画★「日本の夜と霧」('60年 松竹)(08/02)  
高橋銀針  さん
ゴダールの映画が好きです。
たくさん、哲学、政治が出てきます。
日本だと、会話にどろどろしたものがまとわりつき、かろやかに政治を語れない感じがします。

この映画は知らないのですが、この映画のきわどい立場と価値を見つけ出すモイラさんがすごいと思いました。 (2007.08.03 00:06:12)

Re:大島流弁論大会映画★「日本の夜と霧」('60年 松竹)(08/02)  
のちに銀座の名画座で見ました。
この頃、大島渚って不思議な作品の連発でしたね。
でも「これなら俺でも映画は撮れる!」と思わせるんですね。
大島作品に励まされて?映画の道に入った人も多いのではないでしょうか。 (2007.08.03 06:57:54)

Re:遂に出た!Σ( ̄口 ̄;;(08/02)  
モイラ2007  さん
オルフェ125さん、おはようございます♪

>この作品は重要です!
>本作と「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」そして
>果ては「マックス・モン・アムール」に至る
>大島渚思想の出発点なのですから!
-----
「マックス・モン・アムール」‥‥大島流獣姦映画ですね。
これはもうまったくついていけない世界です。
モイラ的には「愛コリ」は駄作、
「戦メリ」はテーマが不明確だけど、
たけしやトム・コンティが熱演しているので、まあ佳作‥というところです。
(2007.08.03 09:57:13)

Re[1]:大島流弁論大会映画★「日本の夜と霧」('60年 松竹)(08/02)  
モイラ2007  さん
高橋銀針さん、おはようございます。
>ゴダールの映画が好きです。
>たくさん、哲学、政治が出てきます。
>日本だと、会話にどろどろしたものがまとわりつき、かろやかに政治を語れない感じがします。

そうですね。どこか肩肘張ってしまい、
思想や政治を全面に押し出した作品は
大抵コケていますね。
もっともそういうテーマを扱った邦画のすべてを
観ているわけではありませんが。

>この映画は知らないのですが、この映画のきわどい立場と価値を見つけ出すモイラさんがすごいと思いました。
-----
なんか観終わって、ただぐたーッと疲れが残った映画でしたね。
安保やるなら、ほかにもっと切り口がなかったのかと思います。
(2007.08.03 10:00:33)

Re[1]:大島流弁論大会映画★「日本の夜と霧」('60年 松竹)(08/02)  
モイラ2007  さん
ぶらぼーおやじさん、おはようございます♪

>のちに銀座の名画座で見ました。
>この頃、大島渚って不思議な作品の連発でしたね。

そうでもないですね。
「青春残酷物語」「太陽の墓場」などは、
どぎつい描写も多かったけど、シナリオはしっかりしていて、エンタテイメントとしても楽しめました。
この「夜と霧」あたりからですよね。
大島監督が独自の世界に突っ走ってしまうのは‥‥

>でも「これなら俺でも映画は撮れる!」と思わせるんですね。
>大島作品に励まされて?映画の道に入った人も多いのではないでしょうか。
-----
「これなら俺にも撮れる」‥‥それが間違いのモトなんですよね。
大島監督はぶっとんだ映像創作も得意としますが、
もともとは松竹というメジャー製作会社で助監督として鍛えられ、
シナリオの力量を認められて監督デビューした人です。
(当時の助監督はきちんとしたシナリオが書けなければ、監督にはなれなかったわけで)
まともなシナリオも書けないただの映画小僧に、
「俺でも撮れる」と思わせたのは、ある種の功罪かもしれません。
ちょうど、つかこうへい氏の芝居を観た若者が、
「これなら俺にも芝居が作れる!」と思わせたのと似ていますね。

(2007.08.03 10:09:31)

Re[1]:遂に出た!Σ( ̄口 ̄;;(08/02)  
オルフェ125  さん
>「マックス・モン・アムール」‥‥大島流獣姦映画ですね。
>これはもうまったくついていけない世界です。

これは私も同意(笑)

>モイラ的には「愛コリ」は駄作、
>「戦メリ」はテーマが不明確だけど、
>たけしやトム・コンティが熱演しているので、まあ佳作‥というところです。

ここは意見が分かれますね。
ま、趣味の問題もありますが。(苦笑)

これまでに挙がった4作に共通するテーマは「本能」であろうと思います。
友人の結婚式(結婚という本能賛美の式典)をぶち壊しにするロクでもない思想かぶれどもたちを描いた「日本の夜と霧」
戦争へと向かう時代の流れに関係なく自分たちの本能を貪りあう「愛のコリーダ」
戦場、そして捕虜収容所という異常環境下に於いて歪んだ本能による愛を描いた「戦メリ」
更に進んで弱体化した人間の本能ではもはや飽き足りなくなりチンパンジーにそれを求める「マックス・・・」

大島監督は常に非難の矛先を「本能を害するもの=社会環境」へと向けているのだと私は解釈しています。
その意味で「日本の夜と霧」は、最もロクでもない奴等のロクでもなさを描けた作品ではなかったかと思うわけです。
(2007.08.03 22:22:14)

Re[2]:遂に出た!Σ( ̄口 ̄;;(08/02)  
モイラ2007  さん
オルフェ125さん、こんばんは♪

>これまでに挙がった4作に共通するテーマは「本能」であろうと思います。
>友人の結婚式(結婚という本能賛美の式典)をぶち壊しにするロクでもない思想かぶれどもたちを描いた「日本の夜と霧」
>戦争へと向かう時代の流れに関係なく自分たちの本能を貪りあう「愛のコリーダ」
>戦場、そして捕虜収容所という異常環境下に於いて歪んだ本能による愛を描いた「戦メリ」
>更に進んで弱体化した人間の本能ではもはや飽き足りなくなりチンパンジーにそれを求める「マックス・・・」

>大島監督は常に非難の矛先を「本能を害するもの=社会環境」へと向けているのだと私は解釈しています。
>その意味で「日本の夜と霧」は、最もロクでもない奴等のロクでもなさを描けた作品ではなかったかと思うわけです。
-----
なるほど、そういう見方もあるんですね。
勉強になりました。
(2007.08.04 19:27:25)

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