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2011.05.07

嘘が招く破滅★「黒い画集　あるサラリーマンの証言」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

人間、なるべくなら嘘をつかずに生きたいものです。
とは言っても、保身、見栄等のために、つい口にするのが嘘というもの。
しかし、自らの保身のためについた嘘が、
一人の人間の人生を左右するほど重たいものに発展してしまったら‥‥

「黒い画集　あるサラリーマンの証言」です。

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中年サラリーマン石野（小林桂樹）は、妻と一男一女のいる円満な家庭を営んでいたが、
裏では部下の若い女性・千恵子（原知佐子）と不倫中だった。
ある夜、石野は新大久保の千恵子のアパートから帰る途中、
駅近くで近所に住む保険外交員・杉山とすれ違い、
つい習慣的に挨拶を交わしてしまった。
そして数日後、杉山は向島で起こった主婦殺害事件の容疑者として逮捕され、
アリバイとして、事件当夜は新大久保駅近くで石野に会ったと、主張するのだった。
苦悩する石野。あの夜、杉山と新大久保駅近くで会ったと言えば、不倫の事実が明るみになってしまう‥‥
石野は杉山に申し訳ないと思いつつも、事件当夜、彼には会っていないと嘘をつくのだった。
しかし、無実の人間を重罪に陥れる嘘の重圧が、石野を次第に追い詰め‥‥

ごく平凡な小市民が、ひょんなことからとてつもない大事件に巻き込まれ、苦悩するという筋立ては、まさに清張マジック。
その清張マジックを際立たせているのが、堀川弘通監督の表面的には少々ざらつきながらも念入りに計算された演出と、
橋本忍氏のこれまた緻密な構成による卓越したシナリオの力、
そして平凡な中年男の悲哀を上手に演じた小林桂樹の演技力でしょう。

この作品を観てつくづく思うのは、妻子ある中年サラリーマンって、
そんなに若い部下と不倫をしたがるものなのかということです。
人間、平々凡々に生きていると、ハンで押したような日常にうんざりして、冒険もしたくなるってわけでしょうか‥‥
しかし、冒険の代償はとてつもなく重いものだったというのが、本作品のテーマ。
ラストシーンは、観ていて本当に怖いです。

つまりは、「家庭を大事にするなら不倫なんかするな」ってことですね。
なんて書くと、なんか道徳映画の紹介みたいですが、
この作品の要は、主人公が嘘の重圧に苦しめられる心理サスペンスです。

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最終更新日 2011.05.07 21:43:56
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■コメント

Re:嘘が招く破滅★「黒い画集　あるサラリーマンの証言」(05/07)

タイサックスさん

藤子不二雄Ａ先生のブラック・ユーモアを思い出します。
松本清張の作品、読まなきゃなぁと思ってます。

復活おめでとうございます！！
無理せずにぼちぼちいきましょう。 (2011.05.08 21:08:52)

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Re[1]:嘘が招く破滅★「黒い画集　あるサラリーマンの証言」(05/07)

モイラ2007 さん

タイサックスさん、おひさしぶりです。

＞藤子不二雄Ａ先生のブラック・ユーモアを思い出します。

ブラック・ユーモアというのは作品名でしょうか？
モイラは漫画に詳しくないので‥‥

＞------------------------------------------------
＞
＞復活おめでとうございます！！
＞無理せずにぼちぼちいきましょう。
-----
ありがとうございます。むりせずぼちぼち行きますね。 (2011.05.08 21:15:29)

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Re[2]:嘘が招く破滅★「黒い画集　あるサラリーマンの証言」(05/07)

タイサックスさん

［作品名］ではなく［一連の作品群］的な意味合いの言葉です。

その一遍である『恐喝（ユスリ）有限会社』と云う作品では…会社の重役という名声を得て生活している妻子持ちのサラリーマンが、ソープランドで女と事に及んでいる最中の写真を盗撮され、恐喝され……。

全てが順調で、他人から見れば絵に描いた様に幸せだった生活が、
一瞬にして崩れ去る恐怖感を内包する物語が、どことなくこの作品と似ている、と勝手に思いました。

全く異質のものでしたらごめんなさいね。
フハー（笑）！ここまで書くのに２時間かかってます（苦笑）。
良い修行になりました。ありがとうございます！ (2011.05.10 23:45:52)

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Re[3]:嘘が招く破滅★「黒い画集　あるサラリーマンの証言」(05/07)

モイラ2007 さん

タイサックスさん、こんばんは♪

＞［作品名］ではなく［一連の作品群］的な意味合いの言葉です。
＞
＞その一遍である『恐喝（ユスリ）有限会社』と云う作品では…会社の重役という名声を得て生活している妻子持ちのサラリーマンが、ソープランドで女と事に及んでいる最中の写真を盗撮され、恐喝され……。
＞
＞全てが順調で、他人から見れば絵に描いた様に幸せだった生活が、
＞一瞬にして崩れ去る恐怖感を内包する物語が、どことなくこの作品と似ている、と勝手に思いました。
＞

まあ概要は似ていますね。
それにしてもすごいのが、主人公の心理描写の細かさ。
嘘の苦しさ、良心の呵責といったものが、がひしひしと伝わってくるのです。

＞フハー（笑）！ここまで書くのに２時間かかってます（苦笑）。
＞良い修行になりました。ありがとうございます！
-----
こちらこそ、熱の入ったコメントありがとうございます。 (2011.05.11 21:38:29)

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