不安とプライドと自己嫌悪

不安とプライドと自己嫌悪

番外・幼少期


母以外の人が抱っこすると、もれなく泣いて泣いて大騒ぎだったらしい。
父さえも、なかなか手が出せなかったというから相当だ。

それから、
「アリさんが怖いからお外出ない!!」
と言い張るような、何か偏狭な趣味の持ち主でもあったらしい。
それが2・3歳ぐらいの話。
わたしは今でも、「ムシ」の類が必要以上に苦手である。
(かえるもとかげも触れるけど、セミ・バッタからテントウムシに至るまで、ムシはだめだ)

幼稚園の頃の日記を見ると
「きょうはなかなかった」
と、たびたび書いてある。
ってことは書いてない日は毎日泣いていたのか・・
この辺になると自分の記憶もあるようになって、そういえば泣いていた気もする。
毎日何かが悲しかったり悔しかったりしたものだ。
みんなでやる「おゆうぎ」がなぜか嫌で嫌で仕方なくて、泣いて抵抗するので、わたしだけ免除されていた記憶がある。

ある日みんなが運動場で「おゆうぎ」中、わたしは一人「おゆうぎしつ」に転がってふてくされていた。
ひょいと頭を上げてみると、みんなすごく楽しそうに、踊りと体操の中間、みたいな運動を一斉にやっていた。
そこに参加していない自分に疑問はなかったし、寂しくはなかったけれど、純粋にその体操に興味が湧いた。
それで、こっそりと真似をしてみた。
・・とたんに後ろから声をかけられた。先生に。
「あらあらあらあら。やりたいなら一緒にみんなとやればいいのに~。行きましょう、お外に」
違う! 体操がしたいだけ、それだけなんだってば!
みんなと一緒になんて、それが嫌だからここに転がっているんじゃん!
その言葉は口から出ずに、心の中でこだました。
わたしは先生に何も言えず、ただしくしくと泣き出した。
扱いにくい子供である。



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