不安とプライドと自己嫌悪

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テーマ: 鬱病(2271)
カテゴリ: 鬱と戦う生活記
夜通し警察の人や新聞の人が外をうろうろしていた。
当然眠れず、おかげで車で帰省中の配偶者くんからの、
眠気防止電話にも良く出られた。

家の近所で、殺人事件。
なくなったのは幼馴染の子のお母さんだった。
お父さんもまだ重態だと言う。
家の周りはKEEP OUTの黄色いテープで封鎖されている。

夜、テレビは見ず、窓の外の人声だけを聞いていた。
事件の最初の方では、取り乱した声や騒ぎ声は聞こえなかった。

一際通るのが、警察の人の業務連絡の声。

しかし日付が変わってしばらくしたら、甲高い泣き声が聞こえた。
突き刺さるような、切り裂くような、鋭い泣き声。
仕事に出ていた娘さんの一人が到着したらしい。
泣きながら、警察の人に保護されて、パトカーに乗って出て行った。
たぶん病院へ行ったんだろう。
彼女の声がそのまま心に突き刺さった。
彼女が去った後はまた、低いトーンの囁き声と、警察のひとの交わす言葉だけ。

深夜2時を過ぎたあたりから、様子が変わった。
そもそも我が家の近所はお年寄りが多い。
騒ぎで眠れない、と言って、近所のお年寄りが続々と野次馬に出てきたのだ。


孫が6歳でねぇ。つい昨日まで、楽しそうに遊んどったがね」
「若い男が刺したらしいよ。怖いねぇ」
「しっかしこのピカピカ(パトカーのランプと思われる)が眩しくてちぃとも寝られーせん」
「ほんとにねぇ。犯人は娘さんの・・ほら、お仕事のねぇ。ああいうお仕事だでねぇ」
「やっぱり、どこでどう恨みをかうかわかれせんでねぇ」

そして、談笑する声。

その時点でわたしはハルシオンを追加服用した。
聞いていられない。
その時犯人はまだ逃走中だったのだから、怖い怖いと連呼するなら出てくるな!
「ああいうお仕事」?
そのせいだっていうの?
たしかにそこの家の女の子、わたしの幼馴染の妹さんは、水商売をしていた。
でもそれの何がいけないの?
揶揄されるようなことなの?
若いのに子供を生んで、しっかりした子に育てて、その子がもう小学生。
おしゃまさんで、かわいらしい子だった。
そんな立派な「母」になってたその子が、水商売のせいで、なんで後ろ指を差されなきゃいけないの?

嫌な気持ちで眠りについた。嫌な夢を立て続けに見た。
朝、いつものように5時に目が覚めた。
さすがに野次馬は去っていたけれど、警察の人と報道の人はまだ立っていた。
テレビをつけた。
未明に、犯人が捕まったと知った。


人は死ぬ。
ほうっておいても何十年か後には必ず死ぬ。
なのにどうして、人は人を殺すんだろう。
尼崎では100人以上の人が突然に命を奪われた。
そういう事故は、大小問わず、全国あちこちで起きている。
わたしだって過去に2回も車にはねられた。
いつ死んでもおかしくない。
なのにどうして、まだ死ぬ運命じゃない人の命を、人は奪うんだろう。

悲惨な事故も、近所の事件も、人の死ということでは重みは一緒だ。
それをわたしは思い知った。
亡くなった人の数で、事の大小は測れない。

身も蓋もない言い方をするならば、
「遠くの100人より近所のひとり」
ということなのかもしれない。
だから同じ重さで胸に迫ってくるのかもしれない。
でも。

罪もない人が、命を奪われる。天災、人災、そして事故に。
今ここで生きていることはとてつもない幸運?
それとも、そんな死に易い世の中の方が間違っているの?

でもほんの数百年前までは、町中に死体が転がっていてもそれほど驚いたものではなかった。
半世紀ほど前までは、国同士が世界的に殺し合いをしていた。
今でも世界のいたるところで戦争は続いている。

今この時代に生まれて、死にもせず生きている自分は、何ができるだろう?
苦しい、悲しい、そういう個人的な感情を越えたところにある何かに、
どこまで立ち向かえるんだろう。
立ち向かうことが正しいことなのかどうかさえ、わたしにはわからない。

自分にとって確かなのは、結局・・・腕を切る痛みぐらいのものなのかもしれない。

眠りたい。
ハルシオンとアモバンは、数時間の睡眠しか提供してくれなかった。
眠りたい。このままずっと、眠り続けたい。

***
雨が降りだした。
雨が降って、いろんなことが有耶無耶になる。
野次馬さんたちがうちのすぐ外で話す、噂話。
それももうさすがに聞こえない。
さっき、社宅の掃除に行くために家を出た。
とたんにテレビ局の人に捕まった。
逃げるようにその場を去った。
局の人も今はもういない。

そろそろ頭を現実に戻さなければ。
明日は普通に出勤の日だ。
月初営業日だからいろんな作業が待っている。
落ち気味に加えて事件の騒ぎですっかり動揺してしまったけれど、
なんとか体勢を立て直さなくては。

雨は丁度良かったかもね。
クールダウンにはもってこい。
雨よ、降れ。
激しく降って、全てのものを有耶無耶にして。






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Last updated  2005/05/01 05:01:44 PM
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眠れましたか?  
**けんぴ**  さん
こんにちわ。
なんか眠れなかったようで…
その後は、どうせしたか?

近状で殺人事件あったんですね。
人は好き勝手なこと、言いたい放題です。
耳を背けたくなる気持ち、分かります。
聞きたくなくても聞こえてしまうのは、きついですよね。

昔の戦国時代というのは、恐ろしいです。
その時代に生まれなくて良かったと思いながらも、
今の時代に生まれたことに悲しむ自分がいます。
今も世界ではまだ戦争が起きている…それを肯定する大国と日本…戦争が最後の手段のように…
まだまだ世界は平和ではないですね
個人は弱いものです。
Meteorさんが、独り悩んでしまうのは、辛いことです。
ココロの中で、「自分になにができるだろう?」
って思えるだけで充分だと思います。
ゆっくり眠れること祈ってます。

(2005/05/01 05:00:15 PM)

Re:生活記 5/1 事件の顛末 (05/01)  
isocchi0804  さん
テレビでみました。

そんな事件がすぐ近所で起きたなんて・・・
本当に物騒な世の中です。

しかし、野次馬の方々は、
「人の痛み」というのがわからないんですかね。
短絡的な物の見方しかできない、愚かな人たち。
とても腹立たしいです。

尼崎の列車事故といい、
胸が締め付けられるようなことが多いですね。
普通に生活を営む権利すら、今の世の中にはないんですね。
日本の安全神話も、今では虚しい響きを残すだけです。

Meteorさんの気持ちが落ち着くことを願ってます。

平和な生活が送れる幸せを、あらためてありがたく思いましょう・・・。
(2005/05/01 05:35:09 PM)

Re:生活記 5/1 事件の顛末 (05/01)  
神坂 楓 さん
事件、大変だったね。
野次馬たちの下世話な話にはうんざりするね。
お年寄りって、時に残酷になるから。
でも、それに対する考え方は、とてもまっとうなことだと思うう。
難しいことだけど、事件のことを振り払えるようになるといいね。 (2005/05/02 12:01:23 PM)

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