NO.2




その日が来るまで二人は楽しく日常を楽しんでいた。
普通の恋人同士が過ごす様に。

彼が亡くなる前の夜も私達は会っていた。
でも、その日私の愛犬のゴールデンレトリバーの調子が今迄に無くとても悪く、
私はかなり心配していたし,部屋をあんまり空けたくなかった。
でも、二人で決めなければならない事が沢山あった。それの仕上げに入っていた。
それはウェディングパーティーの事、それから家財道具をどの配置で新しい家に置くかなど。
そして「婚姻届」の記入もその日にやった。書き上げた「婚姻届」は彼が持っていた。
彼のお父さんに証人をやってもらう為に。そして、もう一人の証人の欄は私の父。

ずっと長く「あぁでも無い、こうでもない」と二人で夜遅くまでやってるレストランで座って話した。
私達はずっと愛犬の事が気になり続けていた。話が終わった後に二人で様子を見に行った。
すると、彼女の身体は固くなり、体温が下がり私を見るのが精一杯の様な、そんな雰囲気だった。
彼女の周りには無数に吐いた跡が。。。調子の悪さを物語っていた。
病院と思ったけど取り合えず薬を飲ませ、私達にその場にいてほしくない様なそんな顔を彼女がしていた。
だから、そのまましばらくまた彼と二人でドライブに出掛けた。
街を、海岸線を走った。彼は私の車でドライブを楽しんでいた。取ったばっかりの運転免許証で。

しばらくすると、「運転変わって。。」と、つぶやく彼。「いいよ」と私。
なんだか急に元気がない。私が何かしたんだろうか??
何かまずい事でも言ったんだろうか。。。??
そんな事を思いめぐらせていた。そのうちに彼は何も話さなくなった。
怒ってもいない様子。
絶対に何かがおかしい。私はそう直感した。でも、どうしようも無かった。
そのうちに私の家に戻って愛犬の様子を見る事になる。
会ってびくりした。
すごく元気。飛び回っている。走っている。じゃれている。
でも、それに引き換え彼は全然元気がない。

でも、彼は元気な私の愛犬を見て「俺、今行かなきゃ行けない様な気がする。」と言ってバイクにエンジンをかけた。
でも、何かがおかしかった。
マイナスの低い気温の中、一度で、然もチョークも引かずにバイクのエンジンがかる事など考えられなかった。
私の経験の中ではこれ一度だけだ。
そしておもむろにヘルメットをかぶり、走り出そうとしていた。
その時、私の犬は「行かないでーッ!!」と言わんばかりにバイクから離れない。
涙もぼろぼろこぼしている。
絶対におかしい。これは何かある。
「ねぇ、本当に今行かなきゃいけないの?」「そんな気がする」
そして彼が私に「ずーと愛してるよ。」と言った。
彼のバイクは走り出した。その後を私の犬は泣きながら走って追いかけ、戻って来てから何度も何度も遠吠えを繰り返していた。

彼が本当に可愛がっていた私の犬を生かしてくれた。
彼が自分の魂を彼女に置いて逝った。
そう思えて仕方がない。



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