ぱんだの喘息日記

ぱんだの喘息日記

笑ってくれた


高校生だったろうか?
拒食症だった。
それも、かなり危険な状態。
骨と皮しかないような…
その頃、丁度、拒食症が流行っていたというか多かった。
誰とも口を利かない、返事もしなければ、無表情。
家族ともほとんど口を利かない。
ナースセンターで遊んでいた私に司令が出された。
『お前、笑わせろ』と。
『(^.^)bいいよ。ご褒美はケーキね♪』
手強いのはわかっていた。
話しかけて、そう簡単に話す相手ではない事も。
その子の行動を見ながら…
毎日やっている事。
レース編み。コレだ!
『○○ちゃん。レース編み私もやりたい。教えてくれる?』と聞くと手で顔を隠されてしまった。
みんなに『教えて貰えるように頼んでるんだ~』と言い続けて3日目。
紙に必要な物を書いて渡してくれた。
『これあればいいの?』と聞くとうなずいた。
私は、母に頼んで持って来て貰った。
ほんとに嬉しくて『どうやるの?どうやるの?』
返事すらしなくて、いつも手で顔を隠している子が教えてくれた。
口数は少ないものの私だけには話すようになっていた。
レース編みってタイプじゃない私が、コミニュケーションをとる為に覚えたのだ。
そんな時、お行儀の悪い私は、ベッドから机に向かって飛んだ。
勢いあまってテレビに突っ込み落としてしまった。
あっ( ̄□ ̄;)!!
その途端、顔を隠したまま『ふふっ』と笑った。
部屋の子達も見逃さなかった。
皆で、ナースセンターに行って大騒ぎ!
『笑った!笑った!』
信じられない出来事だった。
テレビ壊しちゃったのは怒られたけど、いい機会だから、もう少し相手をするように言われ退院出来なくなった。
でも、無表情の子が笑ってくれて、本当に嬉しかった。


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