酔狂でいこう

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エピソード2(JR大津駅~JR近江八幡駅)



家に帰ったはいいが、その後天気は持ち直し、曇りの状態が続いていた。テレビで天気予報を見ながら、ネットでも天気の確認をする。一時間経過、二時間経過 。『昼から雨』だった天気予報は、『昼過ぎから雨』、にずれていくではないか。このまま天気を調べながら一日を過ごすのは全く持って無駄なことだ。夕方、「結局ずっと曇りのままやったやんけ!」と、テレビ、パソコンに八つ当たりする様子がリアルに想像できた僕は出発を決意した。
琵琶湖1
そんなわけで、大津駅に着いたのはお昼12時頃だった。自転車を組み立てスタート。うっすらと前回の大津駅周辺の記憶がよみがえってくる。暗くなっていたので街の様子はハッキリとわからなかったものの、所々に記憶はある。道はすぐに琵琶湖に突き当たり、湖岸を走る。近江大橋を渡る。意外に大きな橋で驚いた。渡っている下は琵琶湖なのか川なのかよくわからない大きな橋だ。渡り終えるとすぐに湖岸道路を走る。段差なし、信号なし、右手に田んぼ、左手に琵琶湖、ひたすらこのままの景色が続く。天気が悪いからか、すれ違う人も、追い越す人も、追い越される人もほとんどない。一人でここをひたすら走るのは辛いだろうなぁと、なんでもないバカ話の合い間にふと思ったりした。

遅いお昼ゴハンを食べようにも、お店がない。湖岸道路に入ってからまったく景色が変わらないのだ。たまにある公園ではバーベキューを楽しむ人が必ずと言っていいほどいる。でも店はない。湖岸道路を離れ、国道に出れば店があるだろう事は簡単に想像できたけど、大きく琵琶湖を離れる気もしなかった。

大きな風力発電の風車が見えてきた。高い支柱の上で、長く細い羽がゆっくりと回っている。気持ち悪いくらい大きい。『くさつ夢風車』といい、自然エネルギーの実用化をアピールする存在だそうだ。これを機会に自然エネルギーに関して真剣に考えたいところだったが、今考えるべきは車道を挟んで反対側に見える『道の駅草津』でお昼ご飯を探すかどうかといった重要な問題が最優先の為やめた。『道の駅草津』は誘惑が多く、優柔不断の僕は予定以上に時間をとられてしまいそうだったので却下。先には琵琶湖大橋が見えていたので、その付近には何かお店があるだろうと予測し、先を急ぐことにした。

案の定、琵琶湖大橋とぶつかる道路付近にはいくつかお店があった。まぁ、滋賀県と言うことで『來來亭』のラーメンに決定。素早く『こってりラーメン、麺固め、ネギ多め』を食べ出発。こんな時に食べるラーメンは格段に文句なく美味しい。

再び自転車を走らせながら少々作戦会議。本来の目的地である長浜まで行けば『琵琶湖一週』が完成するんだけど、時間的にかなり厳しい。もちろん、観光なんてものはできない。そこで急浮上したのは近江八幡駅を本日のゴールとするプラン。そうすれば今日は近江八幡の観光ができるし、次回、近江八幡をスタートすれば安土・長浜を余裕を持って周ることができる。いいじゃないか!単なる妥協なんかじゃない。実に前向きで建設的な素晴らしい妥協なのだ。あっさりと目的地を変更。

そうと決まると気持ちが楽になった。オシリと足はすでに痛かった。ひたすら湖周道路を走り、八幡山城跡の看板に従い、琵琶湖を離れた。

駐車場の隅に自転車を止めて歩く。16時過ぎと言うのに車はひっきりなしに入ってくるではないか。八幡山ロープウェーに乗り、山頂駅へ。曇ってはいたけれど素晴らしい景色だった。琵琶湖大橋がかすんで見える。出発の大津はまだその先だろう。山登りもそうだけど、自分のたどった道をこうして眺めるのは気持ちのいい達成感を感じる瞬間だ。
八幡堀
再びロープウェーで降り近くの『八幡掘』を少し歩く。思ってた以上に雰囲気が良く、嬉しかった。自転車で近江八幡駅に向かう途中に通った『新町通り』も良かった。時間が遅かったため、資料館などには入れなかったのが残念。またゆっくりと訪れたいと素直に感じた良い所です。

ただ、一つ気になったのは車。車が観光の中心地まで入り過ぎ。せっかくの風情ある街並みをのんびりと眺めることができないのが残念。これはほとんどの温泉地、景勝地でも言えることだと思うけど、車の乗り入れは絶対になくした方がいい。歩いて15分以上離れた駐車場に止めるようにするべきだ。そうすれば土産物屋や茶店に足が止まるだろうし(お店に活気が出る)、景色を見た感激も違ってくるだろう。駐車場が遠いと言うなら籠や人力車を用意しておけばなおさら風情が出るだろうし、足が不自由な人にも無理はなくなるだろう。近くに駐車場さえ作れば『バリアフリー』なんて大間違いだと思う。観光地を抱えるお役所の皆さん、頑張ってください。そうそう、JRのパンフでサイクリングのモデルコースになっているのに駐輪場(ワイヤーロックをかける場所)がないのはどういうこと?この辺のとこもお願いしたいもんです。

観光地に対する不満をボヤキつつ、『ブーメラン通り』を駅に向かって走る。駅にぶつかった道はそのまま駅のロータリーになり、そのまま来た道の反対車線の道になっていくではないか。行き止まりのようで行き止まりでない。ブーメランのごとく気がつくと元来た道を戻っていくから『ブーメラン通り』かぁ、などと感心していたのだが、調べてみると「地図で見る道の形がブーメランのように『く』の字型になっている道だから説」が出てきて本当のところは不明。心配していた雨はなく無事に17時40分、近江八幡駅到着。次はこの駅からスタートです。
琵琶湖4


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