ブログ版 南堀江法律事務所

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【カクテル・ヒスト… New! うらんかんろさん

2008/09/02
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カテゴリ: 判例、事件
昨日は、大阪地裁で痴漢事件に無罪判決が出たとか、福田総理が辞意を表明したとか、注目のニュースは多々ありますが、ひとまず前回の続きで、月亭可朝氏のストーカー事件の話です。

報道によると、可朝氏は先月末ころ、大阪簡裁で略式裁判(公開法廷でなく書類審査で判決が出る)を受け、罰金30万円を納付して釈放されたとか。

その釈放後の可朝氏を、マスコミが取り囲んで取材した内容が、何度かテレビで流されました。
記者が可朝氏に「被害女性に申し訳ないという気持ちはないのですか」と突っ込んで、可朝氏が一瞬しどろもどろになったかと思えば、最後には例の「嘆きのボイン」の節で、「ストーカーで警察に御用やでぇ~」と歌っていました(節もはずし気味でしかもウケてませんでしたが)。

この可朝氏の姿に対して、ワイドショーなんかでコメンテーターが「不謹慎だ」「反省しているのか」などと批判的な発言をしているのを2、3回見ました。
(それを言うなら、あの場で可朝氏に「嘆きのボイン」を歌わせた取材記者と、その映像を繰り返し放映するテレビ局も「不謹慎」ということになりそうですが、それはさておきます)

しかし、です。
私は別に可朝氏を擁護するつもりはないし、やったことは犯罪行為であるのは間違いないのですが、可朝氏は裁判を終えて、罰金を納付して出てきたのです。
司法の場において可朝氏の行為はすでに断罪されて、それに対する処罰は終了し、刑事責任は消滅しているのです。



とはいえ、被害女性本人でも、また本人から依頼を受けた弁護士でもない、被害女性と全く関係のない取材記者やテレビのコメンテーターが、神妙に反省せよとか、被害女性の気持ちをどう思うかなど、問い詰めるような立場にはないはずなのです。
しかも彼らは、酒場で酒の肴に「可朝はアホやなあ」と言っているわけではなくて、メディアという巨大な影響力を有する場においてそれをしているのです。

こんなことがまかりとおるなら、司法の場での禊ぎが終わった人に対して、取材記者が「国民はまだ納得していない」などと言ってカメラとマイクを向け、その前で謝罪することを当然のように求めることになる。
これはすなわちマスコミによる私刑(リンチ)を意味します。

事件を起こしたのが月亭可朝氏という、特に大阪の人間には名前を聞くだけで笑ってしまうような存在の人であったために、何だかキワモノ的な扱いの事件になってしまったようです。
でも私はこの取材風景と、それに対するテレビ局のコメンテーターの反応に、ちょっと恐ろしいものを感じたのです。





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Last updated  2008/09/02 08:59:32 AM


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