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いきどまりのこの街でしゃがみこんだままめぐる日陰と日向に顔色も任せてる笑うのは疲れるし泣いたりもなんだかねそれでもひとに見えなくてはちゃんとひとに見せなくてはあなたがいない世界のくせにくだらないわたしだけがいつまでも生き残ってくだらない悲しいじゃ足りないし消えるのもなんだかね明日もひとに見えなくてはそうやって思わなくてはあなたはいない未来のくせにもう怒っても呆れても笑っても泣いてもくれないんだからこれぐらい身勝手を言わせてよくだらないあなた以外がこんなにも生き残ってくだらないくだらないこんな街がわたしだけ生き残してくだらないくだらないわたしだけがあなたがいない世界のくせにそれでもひとに見えなくてはちゃんとひとに見せなくてはあなたがいないわたしのくせに。
2025.11.27

ただ嵐が過ぎ去るのを耳塞いで願う日々はおわりぬるい風に吹かれている真夜中の電話にも怯えない「がんばって」も「もういいよ」も言えなかった 言いたくなかったあなたが元気で在るのならそれでいい それだけでよかったのに今宵、月の灯りは足りますか?左足、気をつけてのぼってね意地悪な神さまに二度と見つかりませんように遠く 遠く 遠くまで ゆけ何か忘れている気がするいまさらできることなどないのに祈りから解き放たれたくちびるは冷たくてやさしいね「ありがとう」も「さようなら」もまだ言えない 言いたくないけどあなたに痛みがないのならそれだけでいい それだけでいいのだから今宵、月の灯りが足りずとも懐かしいあの声の呼ぶほうへあたたかな神さまに抱きしめてもらえますように高く 高く 高くまで ゆけいつかあなたの大切な誰かが光へ還る日は大好きな歌を口ずさんで大きな声でそこに呼んでね遠く 遠くから高く 高くから遠く 遠く 遠くまで ゆけ高く 高く 高くまで ゆけ
2025.10.17

春を選んであのひとは行ってしまったかけた呪いの解き方も教えないままだからこれが最初で最後のわたしの復讐澄んでゆく教えてくれた花の名前も澄んでゆく「大丈夫」の手のぬくもりも秋を選んであのひとも行ってしまった裂いた心の古傷にも気づかぬままだからこれが最初で最後のわたしの抱擁澄んでゆく重ねてくれた手紙の束も澄んでゆく口ずさんでいたメロディーもまもなく湖は循環を閉じるのです最初で最後のわたしの使命澄んでゆく未来への優しいまなざしも澄んでゆく幸せ祈ってくれた声もまもなく湖は循環を閉じるのです澄んでゆく澄んでゆけ
2025.10.07

きっとこれが最後になる封をした春は彼方で蝉時雨のなか届いた剥き出しの葉書 よれた文字静かに身を閉じてゆくその光の在り方を今、ただ、見つめていますもう渡すことのない赤い花をこころに描くよまたひとつ 増えるロウソクにもう微笑むことはなくてもおめでとうと言わせてねありがとうと言わせてねきっと何年経っても誕生日には花束をいつまでも“貴方”と呼ぶその距離の在り方すら今、ただ、あたたかいのですまだ渡せないでいる青い花をこころに描くよ限られた 時間の欠片をわたしにもわけてくれたからおめでとうと言わせてねありがとうと言わせてねきっと何年経っても誕生日には花束をきっとこれが最後になる蝉時雨のなか あなたの文字
2025.08.01

過去だとか思い出だとか名づけられたくないんですわたしは今すぐにだって朝焼けの先、会いに行くひとみをとじるそっととなりにすわる何を飲んでいますか?ごめんなさい少し霞んでいて同じものでいいです同じものがいいです背伸びして、大人ぶって、はじける赤、笑う、ほどける、話せば嬉しい、静寂も嬉しい、「あなたのおかげ」言葉を変えて何度、伝えてもゆらり まなざし 遠いままただ微笑むだけ 微笑むだけこころでもぐるもっとふかくよりそう次は何にしますか?ごめんなさい声が出しにくくて同じものがいいです同じものがいいです濃い境、薄れていく、たゆたう赤、涙、絡まる、秘密が嬉しい、真実が嬉しい、「愛しています」温度を変えて何度、届けてもゆらり 声色 淡いままただ微笑むだけ 微笑むだけあなたのおかげ愛しています帰りたくないただ微笑むだけ 微笑むだけ同じものがいいですわたしは今すぐにだって朝焼けの先、会いに行く
2025.07.28

使わない色はなくしても平気いつも虫食いのクレヨンケースありったけの力で塗りたくったオレンジ目を細めて笑うの「あなたらしい空だね」同じ星の生まれなの?やっと仲間を見つけたの?ああ、ここがワンダーランド新しい本ははじまりの匂いそう言っていつも深呼吸させた涙に濡れた四つ葉蝉しぐれの静寂雪が滲む便箋あなたがくれた季節好きよりも好きだったの愛よりも愛だったのああ、待ってワンダーランド灰色クレヨンの復讐で目が覚める嬉しくて恋しくて愛しくて大切でほかのすべてはもうどうでもよくなってしまって嬉しくて恋しくて愛しくて大切なただひとつは二度と手に入らないと思い知って空しくて恋しくて愛しくて大切でほかのすべてはもうどうでもよく生きていくんだ使わない色はなくしても平気いつも虫食いのクレヨンケースありったけの力で塗りたくったオレンジ目を細めて笑うのわたしらしい空です
2025.07.01

もう同じ空の下にはいないのねそう思ってないとやっていけないややさしいひとが世界にいないわけじゃないのあなたがやさしくない世界はやさしくないだけ負けたって欠けたって価値は変わらないって教えてくれたっけねえねえねえ振り向きもしないそんなあなたにしたのはわたしそれならいっそまた今日も空っぽのポストを閉める音だって日に日に弱くなっていくいきたい場所が世界にないわけでもないのあなたがいないならばいきたくなどならないだけ大好きって気持ちが憎まれるはずないって教えてくれたっけねえねえねえ返事もくれないそんなあなたにしたのはわたしそれならいっそ言葉は武器になるって教えてくれたっけ武器さえも使わずにあなたはねえねえねえひとりじゃいけないそんなわたしにしたのはあなたそれならいっそいっそ
2025.06.10

見上げた空の端っこに猫の視線が追う風に記憶の裾を見つけては未来のほうへ編んでゆく誰にも見つからない永遠のかたおもいどこまでも自由でわたしはわたしのままなにもかも自在ですべてはわたしのままだからもう“本当”を思い出せないの「あなたの言葉が好き」そんなこと言われてみたかった夏へと向かう紫陽花に表紙の褪せた小説に秘密の声を重ねては未来のほうへ染めてゆく誰にも壊されない永遠のかたおもいどこまでも自由でそれはもう祈りでしたなにもかも自在でこれはもう願いでしただけどもう“本当”を思い出せないの「あなたの心が好き」そんなこと言われてみたかった「あなたのすべてが好き」そんなこと言われてみたかったそんなこと言うあなたはもうあなたじゃないのにね誰にも邪魔されない永遠のかたおもい
2025.05.27

おはようカーテン開けたらまた腰かけるねゆめのとなりにナズナツメクサハルジオンきっとあなたは知らない花の名を唱えて待つねえ ねえ はやくわたしのなかのひなたに来て泣きながらまぶたを閉じて浮かぶのは笑顔ばかりで「聴こえているよ、その祈りは」春風が代わりに歌うパスタ食後のコーヒーもいいねあなた好みのお店のリストは増えてゆくばかりねえ ねえ はやくわたしのいまとこれからに来て傷ついた昨日のことも言ったり書いたりしないの「届いているよ、その痛みは」あなた以外には誰にももう一度あなたに会えることだけを“未来”と名づけて微笑むことがわたしのすべてわたしのすべてねえ ねえ はやく 来て 来ておやすみカーテン閉じたらまた腰かけるねゆめのとなりに
2025.04.25

今年も静かな雨が無事に桜を終わりへ向かわせますわたしは変わらず春を数え時間は薬にならぬと知る変なところで笑うあなたが好きだったあなたが笑う分だけ自分も好きになれたもう光らない心空にかざしても映らない 届かないその瞳に二度と息も継げないくらいの涙をください戻れない 進めないこの季節を早く 流してわたしは変わらず春を数え薄れてしまう傷跡に泣くわたしを決めつけるあなたが好きだったあなたの決めつけるわたしなら好きになれた過去形の叫び突きつけてみても聴こえない 震えない今どこにいますか?春の底に沈むほど涙をください戻らない 進まないこの季節で早く…青葉の陰であなたが笑うそんな未来を見てみたかった今年も静かな雨が無事に桜を終わりへ向かわせます
2025.04.13

「先に行っているね」手を振った春は彼方報いの水面を指先で弾いているまだかしらまだかしら祈りを乗せた笹舟今どこに在るの果たしてこれはあなた わたしそれさえわからないここがしあわせの場所「先で待っていてね」トンネル抜けた彼方へ時間の水面を爪先で弾いているまだかしらまだかしら誓いを乗せた笹舟届く頃なのか果たしてこれはわたし あなたどちらの声でしょうそこが待ち合わせ場所少し遅れそうだから水切りして待っていて「意外と得意なんだよ」思い出す柔い瞳まだかしらまだかしら果たしてこれはあなた わたしわたし あなたそこが待ち合わせ場所ここがしあわせの場所まだかしら
2025.03.26

静かな五月晴れから続くか細い気持ちをそっとつまんでツーっ、ツーっ、辿ってゆく時折ふれるちいさな結び目遠くで咳が聴こえた気がしたコンッ、コンッ、わたしを呼ぶあのねあなたが信じるのと違った幸せを選ぶことにしたよこうして迷わずに強くてこうして口元を隠さず笑えるそんな自分で会いに行きたいずっとそう思っていたはずなのにどうして寂しくて弱くてどうしてその目を真っすぐ見られないそんな自分もいるんだろう大切なのに言葉にできないのお願い何にも言わないで震える五月闇に信じた「この線に沿っていけば大丈夫」ツーっ、ツーっ、辿ってみた度々ぶつかる大きな結び目心が別のひかりを見つめたコンッ、コンッ、わたしを呼ぶだからあなたが信じるのと違った幸せを選ぶことにしたよこうしていつも考えすぎてこうして進んでは振り返ってしまう「そんなあなたもいいじゃない」ってきっと言ってくれるとわかるのにどうして間違いを探してどうしてその目に真っすぐ答えられないそんな自分もいるんだろう大切だから言葉にできないのお願い何か教えてとんと背中を進めてくれた最後の熱だって覚えているだけどあなたが信じるのと違った幸せを選ぶことにしたの静かな五月晴れから続くか細い気持ちをそっとつまんでツーっ、ツーっ、進んでゆく
2025.03.03

「陽ざしはまだ強いですが、渡る風もすっかり秋めいてきました。」あの夜、束ねて結んで閉じ込めた言の葉を一枚ずつほどくあたたかい文字こんなにあなたを教えてくれていたのに知りたい、知りたい、ばかりでわかって、わかって、ばかりでバカだったよなバカだよな「では、また。」の約束を撫でる「伝えなかった言葉なら、このささやかな人生にもあったのでしょう。」あの頃、菜の花のカードに書きかけた言の葉は枯らしてしまった冷えていく文字あんなにあなたを教えてくれていたのに会いたい、会いたい、ばかりでわたしは、わたしは、ばかりでバカだったからバカだからいつしか消えていた四文字暗記できるほどに唱えたおまじないあなたからの手紙もう増えていかないもう光ることもないそれでも バカだよな バカだからまだ生かされているのあたたかい文字こんなにあなたを教えてくれていたのね知りたい、知りたい、ばかりでわかって、わかって、ばかりでバカだったのにバカなのにまだ生かされているの「では、また。」の約束を撫でる。
2025.02.01

知ってる?ひとは声から忘れていってしまうんだってねぇ何か口ずさんでよきっと歌なら忘れないからあなたのことおぼえたいのいまからでももっともっと大きな川のほとりで待ってる誰もが口にするかもそんな勇気なら要らないと知ってる?味方だってことあなたのすべてが正解だよあなたのことわかりたいのいまさらでももっともっと鈴を鳴らす木のもとで待ってる知ってる?ひとは匂いをずっと忘れられないんだって夢じゃかなわないね。ねぇ何か口ずさんでよきっと歌なら忘れないから最期まで歌なら忘れないから
2024.12.05

それ触らないであなたのじゃないから柔い腹を隠してばかりのハリネズミなあのひとの家へ届けるために育てているの死ぬまでぶんの花束にしてノックしてもノックしてもノックしても遠いありがとうとごめんなさいどちらならば届くそれ名づけないでなにも奪わせない17歳 深く刺してみた腿の話もすればよかった交換した過去を蒔き終えて死ぬとき終わる花束を待つノックしてもノックしてもノックしても静かさようならとまた会いたい届くほうが届けノックしてもノックしてもノックしてもノックしてもあ、それ触らないであなたの歌じゃない
2024.12.05

急に咳が止まらなくなる夜ふいにあなたを思い出すのです「そんなのおかしいね、どうして?」って微笑む折り目正しい声までともに生きたいだなんて思ったことありません一度も真っ赤なお弁当箱をつつく指先を見つめたあの日から知っていたから違う星のひとなのだとさようならも言わせてくれなかったこと悲しかったけど寂しかったけど今は違うよぶつかり合う鍵の音でさえもふいにあなたを思い出させます変なあだ名で呼んでくれた真昼こわいくらい雲のない青空ずっと一緒にだなんて願うはずもありませんもちろん同じ星に行ける舟のチケットは捨ててしまった白い米を隅に隠すわたしは宇宙人だからさようならも言ってもらえなかったこと苦しかったけど悔しかったけど今は違うよ 今はこの世でたったひとつの思い残しをありがとうさようならも言わせてくれなかったからさようならも言ってもらえなかったから急に咳が止まらなくなる夜ふいにあなたを思い出すのです変なあだ名で呼んでくれた真昼こわいくらい雲のない青空
2024.11.01

あ、金木犀の匂いうなだれたら目に触れたやけに真っ赤なペディキュア薬指だけ掠れてもう誰のためにも頑張らなくていい気の抜けたつま先でこれからどこへ行こうねやっと瞳を閉じても思い出さなくなったよ西陽も眩しかったからそっと耳を澄ましても音のない言葉だけが高い空に抜けてゆくあ、誕生日も過ぎたよ「大人はズルい」だなんて責められないくらいには大人になってしまったいつだか言っていた「普通にしあわせ」になろうと思うけれどなんかちょっと難しいや補助輪なしの心自由でうれしくてさみしいいつのまに手を放していたの?やっとあの店の前で思い出せなくなったよ夕暮れ前のカフェラテさっと走る冷えた風忘れたよ 忘れたよわたしを包む温もりあ、金木犀の匂いこれからどこへ行こうね
2024.10.17

そろそろ時間です。神さまが浮かべた雲のカウントダウン月に近づいてゆく「連れていって」と頼んでも「どうして?」と笑うのでしょうそのやさしさの温度 知ってる自分がいちばん無理しているときに「無理をしないで」と抱きしめるひとだから頑張るふりできたのに生きているふりできたのに何でも完璧なくせにさようならだけ下手くそで頷くしかないじゃん ずるいよ自分事みたく傷ついて痛んで「ひとは無力」だと涙するひとだから愛するふりできたのに愛されるふりできたのにもしも今、大きな声で「しにたい」って叫べたならあなたをどうにかできるの?あなたとどうにかなれるの?なんてね、嘘だよ。少し袖が触れたもう喋らないでそろそろ時間です。神さまが浮かべた雲のカウントダウン月に近づいてきたあなたがわたしといた意味を(そろそろ時間です。)あなたとわたしが離れる意味を(そろそろ時間です。)考えながら余りを生きるよありがと、さよなら。
2024.09.24

「どこでもいいよ」あなたと行けるのなら「なんでもいいよ」ふたりでいられるなら優柔不断いつか誰かに貼られたラベルは剥がしきれないけれどそんなに柔くなれるわたしが今わたしは好き振り返るまい、振り返るまい失っていくものばかりだ振り返るまい、振り返るまい大嫌いな右目がかすむ「ここらでいいか」あなたがそう言うから「ここらがいいね」永遠と名づけるのいち抜けたんだいつも誰かに張られたゴールテープはもう目指さないそんなにバカになれるわたしが今わたしは好き振り返るまい、振り返るまい2点留めの人生なんて振り返るまい、振り返るまいぜんぶまとめてくれてしまえイカれてんねって笑ってくれないか振り返るまい、振り返るまい失っていくものばかりだ振り返るまい、振り返るまい大嫌いだった右目がかすむ
2024.06.14

誰かが何かを歌っているぼくらには関係ない世界静かだ ここはとても 静かだぼくにとってきみは<あなた>ではないしきみにとってぼくも<あなた>じゃないけどこころを取り返してくれてうれしかった ありがとうすくわれない街の底ですくわれないまま息を並べることはできるかなそれぐらい許してよ許してよぼくときみにとって<あした>はないし笑顔で口ずさむ<ぼくら>じゃないけどからだを守り抜いてくれてまだ生きようと思えたすくいのない音の端ですくわれないまま息を並べることはできるからそれぐらい許そうよ許そうよ足りないときはこっちを見て最期の酸素はあげるよ誰かが何かを歌っているぼくらには関係ない世界静かだ ここはとても 静かだ
2024.06.14

あんまり手をかけなくても長持ちするやつにしようふたりで選んだサボテン「案外、枯れないものだな」甘くみて油断するあなたが好きだよ今日も知らないところで水をあげておくからねチクリ わざと あてる 小指痛いから まだ 愛してみるわ地獄まであいのりしてねなんて怖いこと言わない最期まで見ていてあげる「最近、元気ないかもな」軽くみて堕ちてゆくあなたも好きだよねぇサボテンの花言葉知ってる?今日も少し多めに水をあげておくからねチクリ わざと あてる 薬指痛いから まだ 愛してみるわ愛しているわ
2024.05.31

……たいな。「ん? 何か言った?」ううん、どうぞ続けてラジオ聴き続けているそんな一生だ、長いな。シャットダウンタイムスリップ放課後の教室そうだよあなたに歌っているあなただけに歌っている何年も何十年も何百年も前からずっとあのさそれ誰の話?ううん、いいの続けて宇宙ひとり浮かんでいるそんな助手席だ、遠いな。シャットアウトフラッシュバック夕暮れの図書室「あなたは大丈夫だね」本棚から次の痛み止め探しながら微笑んで頷いたわたしの声は届いたことあったの?たった一度でもそうだよあなたを歌っているあなただけを歌っている何年も何十年も何百年も先までずっとそうだよあなたに歌っているあなただけに歌っている何年も何十年も何百年も前からずっと ずっと 今も ずっとわたしの声は届くことはあるの?たった一度でも……たいな。
2024.05.31

冷えた床、体育座り、時計のない部屋。「休み癖がつくと予後が悪いんです」とあの先生が言っていたそこにいない彼がイヤホンをおまもりに静かに戦っていること知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね「俺がいちばん嫌いな言葉は“まぁいいか”」だとあの先生は言っていたうつむいた彼女がおまもりの口癖をたった今奪われたこと知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね休まずに、まっとうに、止まらずにここまで完璧に、妥協せず、まっすぐにここまで生きてきたわたしの予後は良好です、良好です、でしょう?知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね正しそうな言葉をちょうだい今、今、今、冷えた床、体育座り、時計のない部屋。
2024.05.10

もう飛べないならころしてあげようか?空からやさしい針が降る理性の傘が鼓動を守るぜんぶあなたの言うとおりだった答え合わせみたいな日々だ見て、見て、見ないで、見てだから口もあげることにした耳だけあれば進むふたり見て、見て、見ないで、見てあの日あなたが地図に記した「幸せ」に赤い×をした見て、見て、見ないで、見て昨日わたしが地図に加えた「幸せ」に今たどり着いた見て、見て、見ないで、見てぜんぶあなたの言うとおりだった?答え合わせみたいな日々か見て、見て、見ないで、見てもう飛べないならころしてあげようか?空からやさしい針が降るやまない針が降り続ける
2024.04.25

「そうかもね。」ひと粒、降られた春の夜からずっと溺れ続けているそういえば天気予報を当てにしないわたしをいつもからかったねそうだった近づいてくる暗い雲はたしかに見えていたはずなのにねぇあんなに大きな地震があってそれでもまだ会えないのはあんなに苦しい病を越えてそれでもまだ会わないのはそうだよね、そうだよね。それよりもさっきから流れている曲「主役はわたしだ」と歌うのそうかしら同じ章を撫で続けるだけのこの今も物語と呼べるの?ねぇあんなに悲しい事件があってそれでももう会えないのはこんなに寂しい明日が見えてそれでももう会わないのはそうなんだ、そうなんだ。ねぇご飯は食べていますか?あのひとは元気ですか?旅には行けていますか?夜は眠れていますか?咳は出ていませんか?「少し太りすぎた」と笑ったあなたの頬が今も変わらないままでありますようにずっと好きでした恋も愛もわからない頃からずっと好きでした男も女も分かれない頃からこんなに伝えたい言葉があってそれでも、もう。「そうかもね。」ひと粒、降られた春の夜からずっと溺れ続けている
2024.04.03

「大きな声で話せ」と言われなくなったし「ぜんぜん笑えてない」と笑われなくなったしわたしだけの水槽を見つけて同じ色の命と生きているだからもう息もうまくできるよそうなのね、とあなたが瞬く「もっと積極的に」と押されなくなったし「感情がわからない」と怒られなくなったし想いは濁流にさらわれない声の泡がはじけても届くのだからほら愛もうまくできるよ安心ね、とあなたが温もるめでたし、めでたしってあなたに伝えるために紡いできた物語めでたし、めでたしってわたしが飲み込むためのあなた不在の物語さようなら、とあなたに手を振るもう息もうまくできるよほら愛もうまくできるよめでたし、めでたしさよなら、さよなら、さようなら。
2024.03.20

深夜3時の宇宙人せっかく擬態してたのにひとの間から滑り落ちてああ声が出ない声が出ないからちいさな鈴を転がすねお願い音が転がってゆくほうを見ていてそこがふたりの待ち合わせ場所ねえなんて呼び合おうもう触れられない触れられないから緋色の蝶を手放すねお願い羽が導いてゆくほうを見ていてそこがふたりのおしまいの場所ねえ家族の話やめよう何者でもないわたしであなたを抱きしめるから何者でもないあなたでわたしを抱きしめて未来の話いらない何者でもないあなたをわたしは何度も呼ぶから何者でもないわたしをあなたが何度も呼んでもう目があかない目があかないから涙は星に捧げるねお願い光が落ちてゆくほうを見ていてそこがふたりのお揃いの場所深夜3時の宇宙人せっかく擬態してたのにひとの間から滑り落ちた
2024.02.01

もう正しくない日本語でもいい?あの日、わたしは一度死んだから毎日見渡してんの4月の真夜中を秘密を教えてあげる黒い箸の片っぽ持ち帰っちゃってたの起きたらバッグに入ってたしょうもないけれどほんとのこというといっそ恋なら楽でした。口にしたらジリリリって耳鳴りもうきたないコトバ使ってもいい?あの日、わたしは一度死んだから毎日見直してんの3月の夕暮れを駅までのゆるい坂道西日に溶けたまつ毛それから、それから、ねぇあと何を歌にしていない?みっともないけれどほんとのこというときっとあれは恋でした。止む耳鳴り、喉に詰まる静寂いつでも会えること最期まで愛されることそんなのはすべてじゃないよあの時間たちだけを抱きしめてわたしは続きを生きていくきっとあれは恋でした。恋でした。
2023.11.06

先生、どうしようあの惑星に行けなかった。足りない足りないと息を前借りした日々は遥か彼方もう命が長いの片っぽの肺を震わせせっかく教えてくれたしあわせになる魔法はダメにした ダメにしたこれからどこに行けばいい?先生、ごめんなさいその惑星へ行かなかった。会いたい会いたいと子どもみたいな歌口ずさんでいるのおまじないみたいに赤縁の眼鏡を外しまっすぐ教えてくれたまっとうになる魔法もダメにした ダメにしたダメなわたしがダメにしたどこにも行けなくたってこの星で出会い合ったくだらない本や映画笑い合えるだけでよかった防災リュックのポケット詰め込んだ手紙の束ハリネズミの物語あとは何もいらなかった先生、連れてって。
2023.08.08

図書室の鍵をください大きく穴があいたこころで考えられることなんてそう多くはないみたいですだけどあの日はずいぶん咳が多かったことだけが今も気にかかっています新しい本を読まないとわたしの光になってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ剥がしているところ剥がしているところだから図書室の鍵をくださいたしか誰かが書いていましたみんなから好かれるなんてありえないから大丈夫とだけど愛するひとから愛されなくなったときにはどうしたらいいのでしょうか新しい本を読まないと生きていく意味になってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ捨てているところ捨てているところだから理由もないのに二度と会えないんですか?理由がないから二度と会わないんですか?もう答えをもらえないから新しい本を読まないとわたしのすべてになってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ焼いているところ焼いているところだから図書室の鍵をください
2023.05.24

あなたが静かに泣いている誰にも漏らさず泣いているわたしは星だからちいさな星だから瞬きだけを繰り返す孤独で吐きそうな夜はやさしいお話をひとつ飲み込んで正しい眠りが正義じゃないよ神様に頼んで明けない空をあげるあなたが朝を望むその日まであなたが小さく咳をする痛みを堪えて咳をするわたしは星だから名もなき星だから暗闇に切り傷つける悲しみが癒えていくのを待ってくれる優しさは苦しいよね増えていく「大丈夫」の絆創膏ねぇいつか声も顔もわからなくなった闇の果てまたあなたと触れ合えたなら「おつかれさま、よく生きたね」ってやっとわたし役目を終えるよ神様に頼んで止まない空をあげるあなたが明日を望むその日までその日まで
2023.04.05

「もうこの町にはいないらしいよ」そんな知り方もわたしらしいな会えば昔話ばかりしたねふたり飴玉にできる思い出食べきってしまったからさよならすることにしたの?「なんでも写真に撮るんだから」とあきれて笑ってたその声までとっておけばよかったなまたね、なんて信じちゃったなんだよいまだに心が喋る本当に悲しいんだな恋でも愛でもなかった気がして恋とか愛では忘れられないよ悲しい 本当に悲しい 今も誰かに涙を見せられたのも誰かと涙を見せあえたのもあれが最初で最後でずっと、なんて祈っちゃったあなたの潮時を読めなかった想いから降り損ねて恋でも愛でもなかった気がして恋とか愛では忘れられないよ寂しい 本当に寂しい 今も「もうこの町にはいないらしいよ」そんな知り方もわたしらしいな夕方、交差点を通るたび車のナンバー確認してたとっくに意味なかったのに
2023.02.14

「何かあった?」って気にかけてくれてありがとううん、大丈夫何もなくなっただけだよ。だけどしまったな暗証番号ぜんぶあなたの車のナンバーだ今さら変えられないなたったひとりの花丸だけがほしくて生きてきたわたしだから今は何をしたって0点だよ何もなくなっただけだよ。本当は誰にもあなたのこと話してないだから、大丈夫最初からないのと一緒。だけどまいったな悲しい苦しいぜんぶわたしだけが背負っていくものだ。今さら捨てられないなもう言葉は綴らないもう夢もかなえない働いて働いてクレジット切るたびに指が記憶を押して心が擦り切れるのたったひとりの花丸だけがほしくて生きてきたわたしだから今は何をしたって0点だよ何もなくなっただけだよ。だけど、大丈夫最初からないのと一緒。
2022.09.08

日曜日の午後1時あなたのテレビの右上にニュース速報を流したい「どうして?」と呟いてできればほんの少し後悔してほしいないつかわたしが消えた日はいつかわたしが消えた日はねぇ、いつから嫌いだったの?もうどうでもいいけれど小さく重い命を左腕で抱いてあやして右手でパンケーキを焼いて「さよなら」と囁いて「またね」と嘘を吐いたあの日の呪いを解いていつかわたしが消えた日はいつかわたしが消えた日はねぇ、どこから許せなかったの?もうなんでもいいけれど大切なものは失くしてから気づくそんなこともとっくに知っていたから失くさないように大切にしたのにいつしかあなたは消えた大切なものは失くしてから気づくそんなこともあなたが知らなかったなら消えてみようか、なんて思うけどでもとっくにわたしはきっと…ねぇ、いつから失くしてもよかった?日曜日の午後1時あなたのテレビの右上にニュース速報を流したい
2022.05.19

もうすべてが過去形になってゆく日々のなか流し尽くした涙と数合わせするように笑って笑って笑って逃げるみたく眠って「あいたかった」「いきたかった」「さみしかった」「かなしかった」味のなくなったガムを夢でも噛み続けているのなんにも喋りたくないなんにも喋りたくない「思い出作りで終わるつもりはないから」って思い出を作ることにいつも必死だったのはきっとずっとそっと終わりが見えていたから「あいしていた」「いとしかった」「むなしかった」「くるしかった」味がなくたっていいのまだここにあるのが大事なのなんにも変わりたくないなんにも変わりたくないいっそ顔も声も言葉も思想も心も身体も全部、全部、神様に返せれば楽なのにわたしのなかのどこかに何かにあなたの欠片が在る気がしてなにひとつ手放せないんだよもうすべてが過去形になってゆく日々のなか流し尽くした涙と数合わせが終わるまで笑って笑って笑って逃げるみたく眠って眠って眠って眠って逃げるみたく笑って笑って、眠って、笑って、
2022.02.23
上を向いてはいけないよ春と目があってしまうからひとには出会いがあることを新たな巡りがあることをどうかまだ諭さないでいて風を嗅いではいけないよ春が胸まで来てしまうからあなたがいなくなってからむしろもっとずっといるんだどうもまだ会えそうな気がして寂しいという言葉を使わずに寂しさを描くのが歌だってさ寂しい寂しいすごく寂しいあなたに会えなくなってわたしは今すごく寂しい寂しい寂しいすごく寂しいあなたがそばにいなくて消えたくなるぐらい寂しいすみに放っておいた思い出までどうして今さら煌めいてんだよ寂しい寂しいすごく寂しいあなたが明日にいなくて生きたくなくなるぐらい寂しい寂しい寂しいすごく寂しいあなたと生きられなくてわたしは今すごく寂しい上を向いてはいけないよ春と目があってしまうからわたしは今すごく寂しい
2022.01.19

どうせ戻ってくるからと ないがしろにした夏は いつのまにか彼方で どうせ戻ってくるからと 待ちわびていた秋には 金木犀だけが香る 出逢ってから初めて 「おめでとう」と言えない あなたの誕生日 これで本当にさようならだね でも 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉に どうかホッとしてください 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に そっと手を振ってください あなたが季節だったこと 上向くのを忘れた春 やっと気がついたんだ あなたがすべてだったこと 悲しい歌が要らない冬 静かに思い知ったんだ 不幸せを失くした 不幸せな世界で あなたの誕生日 久しぶりに少しだけ泣けたよ ねえ 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉を 寂しく思っていいかな 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に 愛おしく手を振っていいかな わたしはここからまた 幸せなんてない 幸せな明日へ行くよ だから 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉に その心が動きますように 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に その心が揺らぎますように 泣いて、痛んで、笑ってよ 今日だけでいいから 「おめでとう」は言えない あなたの誕生日
2021.09.29

終点も知らないバスに乗って もうずいぶん遠くまで来たね ぼぅっと前を見つめる目の端 俯くきみに気付いていたよ 「ここで降りようと思うんだ」 かなしい勇気の音がした 息を引き取る夢の背中 真っ赤に染める降車ボタン ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか 正しい返事はわからないけれど 祈っているよ ただ生きてほしいから 祈っているよ また笑ってほしいから 振り向かないで行って どうかきみがもっと楽に安らかに 進んでゆけますように 「ここで降りようと思うんだ」 言い損ねてきただけのわたしだ 息を吹き返すきみの未来 真っ赤に照らす降車ボタン ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか 本当の心もわからないけれど 祈っているよ ただ生きてほしいんだ 祈っているよ ただ笑ってほしいんだ 胸を張って行って どうかきみがもっと楽に安らかに 進んでゆけますように 終点も知らないバスに乗って もうずいぶん遠くまで来たよ ぼぅっと前を見つめる目の端 遠ざかってゆくきみが映る ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか
2021.07.30

海の底にも歌はあるのよ “ありふれた日々こそが幸せ” 今日もどこかで誰かの声が 遠くの青を震わせている だけどこの胸を揺さぶるのは 伝わり続けるおとぎ話 あの青に近い世界のこと きっと幸せだけが 命の意味じゃないんだよ 恋のためじゃなくていいから 愛のためじゃなくていいから 海を捨てて昇ってみたい こんなつまらない声あげる 泣くことさえない日々あげる ねえ、わたしも傷つきたいの 彼女のように生きて死にたい 痛いよりも会いたいが脚を 進ませ続けたおとぎ話 あの青に近い力のこと きっと幸せよりも 生きてるって思えるんだよ 恋のために声を売って 愛のために泡になって それはもう昔の話 こんなつまらない恋じゃない 泣くことさえない愛じゃない ねえ、わたしは生きてみたいの わたしのために生きて死にたい 「海の底にも歌はあるのよ “ありふれた日々こそが幸せ” 今日もどこかで誰かの声が 遠くの青を震わせている」 ねえ、わたしは生きてみたいの あの青に近い世界のなかで 生きてみたい。
2021.07.04

一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 痛むよ 日常を浅い息で やり過ごしてゆくための 眩しい記憶がほしかった それだけでいいはずだった 手に入れて思い知った 過ぎた日はお守りじゃない 思い出だけで生きていける そんなの全然うそだった 一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 祈るよ もう一度、もう一度だけ あと一度、あと一度だけ あの虹を更新して たとえそれが最後でも… 眩しくて思い知った これまでの日々がどれほど 孤独に覆われていたのか そんな場所にまた帰ったよ 日常を浅い息で やり過ごしてゆくための 眩しい記憶がほしかった 今はもっとずっと苦しい 一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 痛いよ もう一度、もう一度だけ あと一度、あと一度だけ あの虹を更新して たとえそれが最後でもいいなんて もう思えない あの虹を更新して 今も明日ももっとずっと やさしい雨が降るたびに 痛むよ 祈るよ 痛いよ
2021.06.11

もう朝はいらないの ふたりで哀しみを流した 思い出のあの夜を 今はひとりで漕いでゆくよ 「いつでも帰っておいで」 あなたの優しい嘘は 夕焼け色のリボンで この船を繋いでいた どこにも帰れなくても 記憶で身体を包み 今日を越え続けてきた だから責めたりしないよ だけど もう朝は待たないの 夢でさえ笑わなくなった あなたがわたしの夢を見る そんな日が来るはずないから ちぎった夕焼け色が 遠くで手を振っている さよなら、さようなら 「いつでも帰っておいで」 あなたがくれた故郷 魔法が解けて溶けてゆく 戻れないよ 戻らないよ だから もう朝はいらないの ふたりで哀しみを流した 思い出のあの夜を 遠回りして漕いでゆくよ あなたのいない明日へ向かって ちぎった夕焼け色が 船の先で揺れている さよなら、さようなら
2021.05.23

「桜が綺麗ですね」 「きっと今日がピークだね」 上向く横顔 見つめながら 舞い落ちる言葉を訳します 心を大きく くり抜かれたあの日から 眩しい時間が 胸を満たしているけれど わたし あなたの家も知らない 家族の顔も知らない 愛するひとの名前も 生まれた街の景色も 想像できない未来は かなわないことだけ知っているの 今夜、明日を閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 心を大きく くり抜かれたままだから このさきずいぶん うまく息ができないな あなた わたしの朝も知らない 働く姿も知らない 二日目のカレーの味も 「おはよう」「おやすみ」の声も 想像してきた未来に かなわないことだけ知っているの 今夜、ふたりを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が汚れゆく前に 桜が綺麗ですね 本当に綺麗ですね あなたを想って見上げる空も これで捨てるよ わたし あなたの温度は知っている 声も香りも眼差しも 誰も知らない本音も 声にしなかった言葉も 今夜、すべてを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 桜は綺麗でした 本当に綺麗でした。
2021.03.28

大きく笑い尽くした一日でも 世界に怒り狂った一日でも ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ あのね 最近いちばん 哀しかったのは ついに夢のなかでも 背を向けられてしまったこと 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も だってもう新しく傷つくことさえできないから マスク外して春を吸い込んでみても 猫の瞳に本音を話してみても 喉の奥の奥こころが倒れていて わたしが変われないよう見つめているの あのね 最近いちばん 淋しかったのは 神様にしていた 言葉も光らなくなったこと 目を閉じて 思い出をすすいで洗っている 何度も 何度も 何度も 何度も どうせもう新しく汚れることさえできないのに わたしの世界から あなたがいなくなったんじゃないね あなたの世界から わたしがいらなくなったんだね 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も それでもまだ新しく傷つきたくて汚れたくて ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ 夜はいつも いつもいつも
2021.03.03

言葉に頼りすぎたから バチが当たったみたいだ どんな便利な時代でも 想いだけ思い通りに届かない 意味があったんだよ あの朝のひらがなにも あの夜の句読点にも ぜんぶ意味があったんだよ 一粒も無駄なんてなかった 選ぶ時間が愛だった 言葉に頼りすぎたから バカになってたみたいだ ため息も舌打ちもきっと 気づけるはずだと思い込んでいた 意味なんてなかった 文字の肌だけなぞって 情だけの相槌をくれた あなたには意味がなかった 一粒も意味なんてなかった 愛なんて愛じゃなかった 謝る言葉も 別れる言葉も 見つからないなんて なんて 意味があったんだね そっけない挨拶にも 遅くて短い返事にも ぜんぶ意味があったんだね ただそのままの意味だったんだ 一粒も愛なんてなかった 言葉に頼りすぎたから バチが当たったみたいだ バカになってたみたいだ 言葉に頼りすぎたから わからなかったよ、なにも、なんにも。
2021.01.14

まちがえたまま進みすぎてしまった迷路 ふたり一緒に戻る愛も進む情も もうないね。 ねぇ どこかへたどりつくことを あなたが諦めたのはいつ? とうに 互いに あしかせだと 思い知りながら 書き換えて ないまぜで 涙目で カラの心で笑っていた わたしが話す鈍色の歪な未来図 流すあなたの苦笑いが好きだったよ 愛してたよ。 ねぇ あなたとたどりつくことを 諦めた日のこと知ってる? とうに ふたりの 最果てだと 思い知るほどに 書き換えて 掃き溜めで 涙目で カラの心で笑っている あの未来図にだって さよならだけは 載せなかったはずなのに 載せなかったはずだから 書き換えて ないまぜで 掃き溜めで 涙目で カラの心で笑っている わたしたち笑っている 最後までおそろいなのは こんなところだけ こんなところだけだ
2020.11.15

海にしたあなたの言葉に 肩まで浸かっていたはずが いつのまに 空洞に ひとり いつまでも底を爪で掻く 痛くなるってわかっていて 会いたくなるとわかっていて もう一度、読み直す返事 愛の見落としに期待して 文字の隙間を覗いて 覗いて 信じすぎることが ひとを苦しめるだなんて 知らなかったんだ ごめんね ありがとう ごめんね ありがとう どんなに繰り返しても 想いが言葉に収まらないよ 醜くなるとわかっていて 惨めになるとわかっていて もう一度、会えれば話せれば また笑い合えると期待した 昨日の続きみたいに 未来に 慕いすぎることで ひとに背負わせるだなんて 知らなかったんだ ありがとう ごめんね ありがとう ごめんね 繰り返すふりをして 逃げてきた言葉があるけれど 夢のなか 久しぶりに 穏やかな顔のあなた 「これが最後」と笑ったから これを最後にしようと決めたの 信じすぎてしまった 慕いすぎてしまった わたしだけが愛と呼ぶ愛だった ごめんね ありがとう ありがとう ごめんね 昨日の続きをちゃんと綴るね さようなら。
2020.10.29

夜を傷つける鋭い三日月 あれはこれから膨れてゆくのか それとも明日には消える光か わからないや わからないよ だって空を見上げることさえ ずっと忘れていたから とりあえずのビール とりあえずの最後 うるさいBGM 「知らない曲ばっか」 沈黙を埋めたい その小さな笑みと声 ぬるい黄金が いつまでも揺れていた 夜を傷つける鋭い三日月 消えも膨れもせずにあなたの 心に引っかかって痛んでよ 忘れないや 忘れないで たとえ互いに見つめ合っても 何もわからなくなっても 愛しい曲ばっか あなたを重ねた 愛しい曲ばっかだった ぬるい黄金が いつまでも揺れていた 夜を傷つける鋭い三日月 消えも膨れもせずにわたしの 心に引っかかって痛むよ あの日と似た色で いつまでも
2020.09.12

月なんて見えないじゃない 今日もまた 幸せなひとだけが幸せです 知らない言葉が増えて 知らない笑顔が増えて 知らないお酒が増えて 知らない香りが増えて もう何ひとつ同じではないあなたを どうしてわたしだけまだ 液晶の光が痛い 今日もまた 不幸せにすらなり尽くせません しがない大人になって いらない笑顔が増えて いまだに夜明けに待って きたない心を知って もう何ひとつ同じではないわたしを 愛するわけないじゃない 月なんて見えないくせに わたしに わたしだけに 光って見せる記憶があるの それが綺麗で とても綺麗で綺麗で もう何ひとつ同じではないふたりの 同じ夜を願ってしまう 月なんて見えないじゃない 今日もまた 幸せなひとだけが幸せです 知らない夜だけが幸せです あなたの夜だけが幸せです
2020.08.13

こっちのほうが夢みたいだな だらしなく緩んだカーテンの隙間から 味もしない青空 あれからわたしは 澄み切って どこまでも澄み切って 何も浮かばない くだらない つまらない ここにいる 誰も傷つけず あなたと消えられたらよかった こっちのほうが夢でいいのに 恨んで憎んで苦しんでも何度でも 涙を選ぶのに あれからみんなは 変わったね 変われたね 笑うけど ホントはあなたに 変わらない 変わらないなと 泣かれたい 誰かを傷つけても あなたと共にいけばよかった どうして今、ひとりなんだろう どうしてたら今、ふたりなんだろう あれからあなたは 澄み切って どこまでも澄み切って どこかで誰かと 変わったよ 変われたよって 笑うのかな そっちのほうが夢みたいだな 力なく閉めたカーテンの向こうには 味もしない青空 何も浮かばない くだらない つまらない 青い空
2020.07.26

言葉をひと粒 景色に溶かせば たちまちたゆたう 思い出のあなた 褪せないの 流れてゆく雲が早すぎて ふたりがどんどん過去になっても 教えてくれた本のページが 少しずつ色を変えていっても あの夜のワインからすっかり アルコールが抜けてしまっても 一瞬で声に香りに眼差しに 彩られて巻き込まれて 喉の奥が熱い 写真を一枚 夢に溶かせば たちまちひろがる ないはずの未来 会えないの? 部屋に残されたあれこれから 真実の欠片を探し出しても ハッピーエンドの小説から あなたに似たひと見つけ出しても あの夜のワインとおんなじ ボトルを何本買ってきても 一瞬で影に涙にまやかしに 囚われて巻き込まれて 奥の奥が痛い いつまでも成長しないわたしを どこかでそっと笑っていてよ 褪せないの? 会えないの? 会えないの 褪せないの 言葉をひと粒 景色に溶かせば たちまちたゆたう いないはずのあなた
2020.06.11
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