misty247

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2008.05.24
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「熊野九十九王子」という。王子とは熊野権現の勧請する社祠のことで、熊野への参詣途中に立ち寄って祈祷を行った場所である。熊野三社に至るまでに幾度も穢れを祓い、行く先の熊野の霊堂を想い信仰心を昂らせてながら、次の王子へと向かって参詣を成就させるのである。王子は熊野への心身両の道標である。
 正確に九十九あったわけではなく、九十九は数の多いことを表す。中辺路には八十ほどがあった。九十九王子の一覧は こちらwikipedia をどうぞ。


§ § §

 10キロの大会の目標は45分切りである。10キロより長い距離を走ったレースでの換算でその走力あることは証明できているのだが、私の出る10キロ大会はフラットでないコースばかりなので、練習で10キロ45分を達成してから半年経過しても未だ10キロ大会でその成績を出せていないのだ。今回こそは!と挑んだが、結果からいうとここでも1分半ほどオーバーして45分は切れなかった。
 小雨は山間部でときどきあがっていたのかも知れない。走っていて気にならないほどだった。とはいえ3月の気温では速乾Tシャツを濡らす雨と汗は乾かないから、走り終わってのちの全身はシャワーを浴びたように全身ずぶ濡れで、ヒートした身体から湯気がもくもくとたった。


 木の下路の苔むした石畳、そこをタッタッタッと駆けるのを思い描いていた。しかし、その勝手な思い込みは否定された。よく言えば、非常に走りやすい道だった。走っていて一番「古道」らしい感じをうけた所は上の茶店「 とがの木茶屋 」のあたりで、店のご主人であろうか、表に出て走りゆく選手に拍手を送ってくれていた。
 この手前だったか、「一方杉」を見た。『あっ、ここだ』と気付いてカメラを取り出すまもなく通りすぎた。しかしその一瞥で、枝が一方にしか伸びていないのを確認できた。(と、2ヶ月経って確かにそうだったという自分を、はげしく疑う自分も同時にいたりもする)
 折り返して戻る道には「野中の清水」の名所がある。
いにしへのすめらみかども中辺路を
越えたまひたりのこる真清水
 斉藤茂吉の歌碑が建つ。ここの水は環境庁選定の 名水百選 に選ばれていて、清らなることお上のお墨付きである。
 しかし私は、疲れがまわっていたのか、野中の清水を見落とした。


 走っていると本大会には無いと思っていたエイドステーションがあった。小雨のおかげで乾いていなかったし、急ぐ私はエイドをパスした。もしかして野中の清水を配ってくれていたのだろうか。

§ § §

「蟻の熊野詣」という。江戸から明治期、かつての上皇にならって全国から庶民が参詣に訪れた。伊勢を参り、熊野を参り、西国三十三箇所を参るという巡礼者が後を絶たずで、いささかの誇張はあるが、その列なす様を「蟻の熊野詣」と形容した。
 伊勢・熊野・西国で、関西圏における参詣のグランドスラムである。現代の交通機関をフルに活用しても骨の折れる行程であるのに、往時はそれしか手段がないとはいえ、すべて徒歩でまわったというのだから凄い。またそういうことをした一握りの先達がいた、というのではなく列なすほど続いたというのに驚かされる。



 上ったぶんだけ下って、人家の散在する学校付近に戻ってきた。町中をまわる道は2キロコースにほぼ重なるから、残すところ2キロだ。
 ところどころで沿道からの声援をうける。はるか昔から、野中の人たちは通りすがりに優しいのだ。  <つづく>



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Last updated  2008.05.25 00:58:10
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