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寒い日が続きます。昨年までとは寒さの傾向が異なっていて、例年なら、零下10度になることもありますが、1日か2日であとはプラスが多かったのですが、今年は連続して氷点下5度以下が続いています。そのためと、火災の影響もあってちゃんと寒さ避けをしなかったこともあって、庭のサボテンとアロエが全滅したかもしれません。さて、続きです。定年後、継続雇用でまあのんびりと、仕事で馬にも乗ったりしながら過ごしていた一郎君だったのですが、預かった30歳の馬を、彼は老齢でも動きをととのえてやるようにと毎日軽めに乗っていました。すると、動物愛護団体からいちゃもんをつけられたのです。30歳の馬に乗るとは虐待だと。これ、馬を扱っていない人が言うことで、彼のように動きを整えて動かすことができる人が乗らないと、特に老齢馬ほど、乗らなくなって動かなくなったらお終いなのです。可哀想にその馬、彼が乗らなくなったら1週間でヨレヨレになり、2か月後に死んでしまいました。ところが、この馬が死んだ影響、思わぬところに出たのです。それまで、3頭の馬をリハビリさせて訓練に復帰させると同時に、彼自身のホースセラピーにもなっていたのですが、乗る馬が居なくなったら、途端に体調が悪くなったのです。62歳になって真夏に馬に乗っても平気でいたのに、乗らなくなって、冷房の効いた事務所でオフィスワーク主体の仕事するようになったら、逆に脱水症状を起こすようになったのです。それから、猫の影響も深刻になって来ました。神坂家、猫を25匹飼っていて、毎日が大掃除だったのです。一郎君と美奈子さん、朝5時には起きて、掃除機をかけ、雑巾がけをして、最後はモップをかけていたのですが、それが毎朝2時間半かかっていたのです。馬に乗っていた時は、割と平気で毎朝掃除していたのですが、乗らなくなったら、体調悪化と連動して掃除が辛くなってきたのです。夫の体調が悪くなったことで、美奈子さん、悪いことを考えてしまったのです。この猫たちが居なかったら、家も綺麗だっただろうし、掃除も楽だし、特に猫の便所掃除と餌やりに追いまくられる毎日からも解放されるし、病気の猫の治療費もなくなると。同時に、猫がひっかいてぼろぼろの壁紙や、傷んできた床や、何度かリフォームしつつも古くなってきた台所も、綺麗にしたいなあとも。一郎君自身は、自分の一番の幸せは、大変でも猫たちと触れ合える日常だと確信していましたが、それが少し大変になってきたことは自覚していました。そして、将来的には、完全に退職して年金生活になったら、金銭的にかなり厳しくなることも自覚していました。だからこそ、今の25匹をこれ以上増やすことはできないと思っても居たのです。一郎君、超能力的なサヴァンの予知は、主に夢で見るのです。60歳過ぎると、その夢の内容の記憶力が減退してきましたが、それでも時々、近い将来こうなるんだなという映像を夢に見ていたのです。63歳になって、余り覚えていない夢の予知映像ながら、違和感を感じるようになってきました。その映像には何かが足らないのですが、それが何かははっきりしないのです。そうこうするうちに、5月になったのですが、25匹の猫たち、全頭一緒に餌を食べさせると、見張りが行き届かず仁義なき戦いになりますから、1階の居間で16匹、2階の洋室で9匹と二つに分けて食べさせていたのです。その2階の部屋に、座敷童さまが居ついていると思われる大きな姿見があったのです。すると、我が家で生まれた子猫のカメ一郎とカメ四郎が、鏡を覗き込んでいるのです。今までそんなことはなかったので、一郎君二匹に聞いてみました。「座敷童さまが呼んでいるのかい。」すると、カメ四郎がニャーと答えました。翌日、大震災の時に福島で保護した猫、チロが死にました。チロの死とは別に、何だか気になるなあと思っていると、二日後に大事件が起きたのです。続く。画像は、今までの愛猫たちの中で最も印象に残っている3匹です。昭和の時代の一番最初の愛猫ニャンコ、前世からのつながりがあると思われたオッドアイのミント、そして、14年間私の夜のお供だったミトラ(子供の時)です。
Jan 31, 2021
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大変いろいろありまして、このブログ、とぎれとぎれになっています。一郎君、サヴァンの仕業なのか、大変優秀で、任せられた仕事に関しては、十分以上の働きをするのですが、愛想のなさもぴか一で、仕事上の自分の功績をアピールするという考えがありませんでした。農学部出身とは思えないほど多様な仕事をこなし、専門性の高い業務である、マネージメント指導、情報通信ネットワーク構築、海外との折衝の責任者を務めたこともあったのですが、出世なぞくそくらえ、ばかばかしいと一蹴する人間ですから、相手が役員だろうが社長だろうが、自分の分析結果を堂々と主張しますから、日本的なサラリーマン社会の中では、当然良くは思われません。まあ、彼にはイージスがありますから、良く思わない人たちは、次々と不運に遭遇するのですが、会社の人たちはそんなことは知りませんから、犠牲者は減りません。そして、そんな狭い世界を嫌うのも、友人を全く必要としない一郎君の特徴なのです。まず、海外担当になった時に、アメリカ、フランス、イギリス、シンガポール、香港と言った国々の人たちから、フェイスブックとリンクトインが必須と勧められたのです。まだフェイスブックが日本に入ってきていない時のことだったのですが、確かにアメリカの担当者とはそれで公私とも連絡を取り合うようになりましたし、リンクトインは、各国の担当者とのビジネス通信に役立ったのです。どちらも、実名かつ会社の肩書で登録するSNSですから、検索すれば当然、会社名も彼の個人名も出てくるのです。ところが、そのことを、公私混同しているとか、遊んでいるとか思う人が居るわけです。また、海外の担当ともなると、時差がありますから、家で仕事は当たり前でしたし、ひどいときは、夜中の2時まで仕事して海外にメールで返答し、翌朝6時に出勤したこともあったのです。それで彼、総務課長に宣言しました。「家で働いている時間の方が長いから、会社で家でできなかったこともするぞ。」彼の働きを知っている総務課長は、黙って認めましたが、会社でネットサーフィンをしている彼を、遊んでいるとしか思わない人も居るわけです。それで、彼の陰口をたたくとどうなるかと言えば、イージスの餌食になるわけです。海外の担当の次は、コンプライアンスというか、反社会勢力とのお付き合いというか、警察とのつながりの大変深い仕事もしたのです。彼、30年前にはその筋の人とお友達でしたから、今や国内最大の某組も、最初は港の沖中氏の自警団からスタートしており、戦後の混乱期はむしろ警察を助けて活動していたことも知っていました。警察の人たちは、立場上はともかく、自分たちの裏返しのような存在として、反社の人たちを評価もしていましたから、彼のことを本当に話しの分かる仲間として、暖かく迎えてくれたのです。一緒に仕事をしていますと、会社よりもずっと居心地が良かったので、更に会社からは心が離れました。それでも、年齢的にはそろそろ部長級にさしかかっていましたから、直属の部下は居なくとも、いろいろと指導することがあります。そんなとき彼は、自分の経験を元に、最も効果的な指導をしたのです。それは何かというと、小さな失敗は防ぐよりも見逃してやらせるようにし、それを自分の責任でカバーして収拾してやるようにしたのです。すると、小さな失敗をした本人は、それに懲りて二度と失敗しなくなります。つまり、結果的には大きな失敗はしなくなるのです。これまた、彼を快く思わない社内の人々は、積極的にミスを防がないのは怠慢だと叩きましたが、逆に社外の人間は、自分たちの失敗もまとめてカバーし、かつ指導してくれる彼を高く評価してくれたのです。自分の関係したことに下手な言い訳をしないのも彼の方針でしたし、それで救われた上司も結構居たのです。皮肉なもので、本来責任を負うべき人たちは、黙って自分の責任と受け入れてくれた彼に感謝しましたが、更に救われた立場にあるはずの上役は、彼が悪いとしか思いませんでした。そんなことも、一郎君、ばかばかしいと一笑に付してしまいますから、一番上の人の受けは悪いのです。当然出世はしませんわ。実は彼、サヴァンの未来予知から、自分は仕事で出世する人間ではないと最初から見切っていたのです。そして、結果的にはいろいろな仕事をさせてもらって面白かったとの感想を残してのんびりとサラリーマン人生を定年まで勤めあげ、再雇用も、給料は低いが自宅の近くで歩いてでも通勤できるのんびりしたところに落ち着きました。彼のことを良く知っている取引先や外部の人たちは、その処遇を驚きました。何故、各部門に精通している彼を遊ばせておくのかと。でも、彼、それがこの人生で最良の選択であり、出世しても割に合わないと笑っていました。40年を共に過ごしている妻の美奈子さんと、30年間を共に過ごしている猫たちと、人生のんびり終えられるかなと思ったら、そうは行かないのも、人生です。続く。画像は、寒い中、我が家が提供しているクズ米に群がる鳥たちです。
Jan 29, 2021
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神坂一郎君、2歳の時の臨死体験の他にも数々の超常現象を体験しています。そのことについて、私、神坂夫人美奈子さんの守り神である座敷童が、一郎君と関係が深いと思われる転生を司る神のイギギさまに聞いてみることにしました。神様同士だからと言うか、話はできるのです。「一郎君、臨死体験の他にも、絶対死んでいないとおかしい事態や、大怪我していないとおかしい場面に何度も遭っていますけど、何故軽傷か無傷で済んでいるのでしょうか。」イギギさま、私と違って全く姿は見えないのですが、答えてくださいました。「ああ、彼ね。根本的には神様の設計ミスだ。」笑えると言うか、身も蓋もない答えです。「と言いますと。」「彼、前世をたくさん憶えているだろう。」それは確かで、異様に多くの前世記憶を持っているようです。「そのようですね。特に今の奥様の美奈子さんとは何度も一緒になっているって言いますね。」すると、イギギさま苦笑しました。「うーん、あれも神様の設定ミスだな。」設計ミスの次は設定ミスですか、笑うしかありません。「なんですか、それは。」「いやあ、普通は、あんな風に何度も巡り合って一緒になるソウルメイトは、繰り返すうちにそれなりに幸せな関係を築いていくものなんだよ。」今の二人は幸せに見えますから、繰り返して幸せになったのではないのでしょうか。「いわゆる、赤い糸で結ばれているって関係でしょう。一郎君は、美奈子さんとソウルメイトで、それで一目で妻になる人と認めて結婚したわけで、現世は幸福そうですけど。」イギギ様、笑いました。「それがな、あの二人と言うのか二つの魂、何度も巡り合って大抵夫婦にまではなるのだが、今まで幸せに終わったことがほとんどないんだよ。」「何ですか、それは。」「例えば、今の一つ前の蓮花さんは、悲恋と言うか、時代に仲を引き裂かれて自殺しただろう。」蓮花は外国人のお手伝いで、一郎君の前世は大地主の惣領息子でしたから、相思相愛となったものの仲を引き裂かれ、その時彼女は妊娠していたので両親はおろか親戚一同から堕胎を迫られ、子供だけを殺すことはできないと首つり自殺をしたのでした。しかし、その前世記憶があったからこそ、一郎君、美奈子さんを一目で将来妻とすべき女性と見抜いたと言います。「そうだそうですね。でも、そのことも一郎君は憶えていたからこそ、現世で彼女を一目見て、自分の妻になる女性だとわかったと言います。」「まあ、それはある面良かったのだろうし、それが今の関係の元にもなっている。しかし、彼には人間的な感情が欠けている。単純に妻になる運命の女性を探し当てたから結婚したという感覚だ。」それでも、それで今の割と幸せそうに見える関係を築いているのですから、悪くはありません。「そうですね。愛し合ってという感じではありません。どちらかというと、美奈子さんが一方的に恋したって感じでした。でも、今は幸せそうです。大体、そんなに二人の前世は悲惨なのですか。」ほとんど幸せになったことが無いと言うのも不思議です。「そうなのだ。前世は悲恋だったが、平安時代の有名な陰陽師だった前世なんて、彼が方違えと称して浮気しまくっていたら、妻だった美奈子さんの前世の女性が、弟子を唆して夫を罠にかけて殺している。殺し合ったことが、他にもいくつかあるんだ。」一郎君、何とその記憶も持っていましたが、現世とは無関係と無視していました。「そのことも、彼は憶えていましたね。でも、何とも思っていないのが不思議。」イギギさま、彼がなんとも思っていない理由を理解していました。「彼には人間的と言うべきなのか、普通の感情が欠けているのだ。まあ、前世のことは関係ないって割り切りもあるだろうが。」確かに彼を見ていると、感情が欠落していることはわかりました。「確かに、奇妙な人間ですね。」「まあ、一種の病気なのだが、それが彼の超越的な頭脳の元でもある。彼は、超越的な分析能力で未来を予知できるから、そのとおりになるように調整する。そこに余計な感情を差し挟まないのは、賢明ではあるが人間的ではない。」「彼が見る未来って、変えられないのですか。」変えられないものでなければ、良い方向に変えればよいだけです。「それも神様の設定ミスで、まず変えられないし、下手に変えたら、余計ひどいことになる。」「意地悪ですね、神様。」そうとしか言いようがありません。「いや、悪いことばかりではないし、悪いことを一度だけ変えたな。あれは、私の方が感心した。」その一度が美奈子さんの命を助けたことであったのは、私もよくわかっていました。「美奈子さんを助けたことなのでしょう。」彼女、30数年前に子宮筋腫が破裂して大出血し、死ぬところだったのですが、一旦出勤した一郎君が、仕事を放り出して帰ってきて、倒れていた彼女を病院に運んだから助かったのです。「そう。もう35年になるかな。あれは、逆に意外だったな。」「あれ、イギギさまは、彼が美奈子さんを見殺しにすると思ったのですか。」「彼の場合、感情が欠落しているから、愛しているという感覚のない妻を、自分の命を削ってでも助けて欲しいと願うとは思わなかったのだ。」と言うからには、イギギさまは、彼に美奈子さんを助けて欲しいか聞いたことになります。「イギギさま、一郎君を試したんだ。」「そうだな。答えは意外だった。」「どう、意外だったのです。」「どうすると聞いたら、私の命はいらないから、美奈子を助けてくれと頼んできたことだ。」確かに、愛していると言う実感のない妻を、自分の命と引き換えに助けようとしたのは不思議です。「まあ、言われてみるとそうですか。」「しかも彼、即答だった。」「彼なりに、美奈子さんを愛していたのでは。」すると、イギギさまはいたずらっぽく笑いました。「お前さんは、彼女が死ぬことがわかっていただろう。だから、自分のことが一番よく見える彼女の息子に乗り換えようと考えた。」確かにあの時、彼女に死相が見えたから、私のことがはっきり見える唯一の人間だった彼女の息子に乗り換えようとしていたのです。「確かにそうでした。でも、彼女が助かって、私は嬉しかった。」「そんな意外なこともやってくれるのが、彼の興味深いところだし、それだからこそ、神様は、彼に特殊な能力を与えたのだろう。」その能力、霊感と関係があるのか、確かめてみました。「彼、私が長い間居ついていた彼女の実家である山形の佐藤家に連れて来られた時、佐藤家の人すらほとんど見ることができない私の姿を、ぼんやりとでしたが見ることができたんです。そのこととは関係あるんでしょうか。」「いや、それは彼の感情欠落とも、不死身のような体とも別で、いわゆる霊感と言うやつだから、直接関係はない。」「そうですね。でも彼、幽霊も見ますし。死神というか、死者の魂の送り役さえ見たこともあるんですよ。それも、神様の設計ミスですか。」彼が葬儀場で見たのは、大きなつづらを背負った白髪の美女で、他の人には全く見えなかったのですが、彼女こそが使者の魂の送り役だったのです。イギギ様、霊感との関係性は否定しました。「いや、それは設定ミスとは無関係で、恐らく中間世までぶっ飛んできて私と会ったことの方が関係しているんだろう。だから、私の姿こそ見えなくても、私や君とお話もできるし、場合によっては、他人を通じて感じることもできる。」何だか余計わけがわからなくなりましたから、元に戻って尋ねました。「そうそう、設計ミスと設定ミスは、どう違うのですか。」「ああ、設計ミスは、彼自身の肉体と精神に関するもので、設定ミスは、彼を囲む環境、ひいては運命に関するものだ。」不死身のように思える体については、どう設計ミスなのだろう。「そう、最初は信じられないほど強靭な体の話でした。どう設計ミスなのですか。」「そうだなあ。君も彼とは長い付き合いだから気付いただろうが、彼、臨死体験以前から、時間を超越することができたんだ。あれ、中間世に飛び込んできたことと同様、人間としてはあり得ない。だから、神様の設計ミスだと言ったのだ。」複数の前世記憶と共存したり、白昼夢に十数年過去の映像を見ていたりしましたから、それらも時間を超越したようなものですが、彼の能力だけとは思えません。「最初の臨死体験は、イギギ様が時間を戻したのではないのですか。それで、母親に縁側から突き落とされて岩にぶつかって頭が砕けて死んでいたはずの彼が、後頭部の切り傷だけで済んだ。それ以前に能力があったとしても、当時まだ2歳ですから、使うことも記憶していることもできないのでは。」「いや、彼には生まれた時の記憶もあるし、前世記憶とも不連続的につながっているから、生まれつきの能力者なのだよ。」「それって、臨死体験とは直接関係はないのではないですか。」イギギ様、うーんとうなりました。「確かに臨死体験以前からの能力は、直接関係はないだろうし、それ以上にあり得ないのは、彼が中間世まで超越してきたことの方だった。彼を慌てて現世に戻したのは確かに私だし、砕けた頭が元に戻った治癒については、中間世で次回の転生に備えて肉体が修復される環境を使ったのも事実だが、中間世は、あくまで次に転生することが前提の環境であって、そこから現世に戻ることは、普通ならあり得ないのだ。だから、異例ずくめで、神様の設計と設定両方のミスだ。」「あれ、一郎君が現世に戻ったのは、イギギ様の指金でしょう。」一郎君を現世に戻したのはイギギさまのはずです。「確かに私は彼を現世に戻したが、それは、絶対に直接来ることができないはずの中間世に彼が闖入してきたからであって、砕けた頭を修復してから戻そうなんてことまでは考えていなかった。」「つまり、戻そうと思ったら彼自身は一旦時を進めて頭を修復し、それから現世に戻ったということですか。」「そう。私が意図したものではなく、彼がいいとこ取りしたわけだが、それには、彼自身の時間超越能力が含まれていたわけだ。そして、それが彼の不死身のような体の秘密でもある。」そこまで聞くと、私も少し理解できました。「そうか。彼は、時間を一時的に止めて戻すことを無意識にできるということですね。」「そう。臨死体験の時に、このままだと母親に殺されてまた戻ってくるだろうからと、私は彼に人間としては異例に強靭な体を与えたが、それだけでは何度も死んでいたはずだ。」彼の記憶を探ると、臨死体験以降も、母親が彼の乗っていた乳母車を急な坂の上から暴走させたため、坂の下で転倒したこともありました。でも、その時彼は自分の姿を上空から見下ろす体験をして、転倒の瞬間伏せることで、時間の能力を使わずに後頭部の切り傷だけで済んだのです。時間の能力を使ったと思われるのは、幼稚園児の時に園の前でタクシーが足の上を走って行ったのに全く無傷だったことと、6歳と7歳の時に、眉間を岩と机の角にぶつけ、普通の子供ならどちらも死んでいるぐらいの勢いでしたが、少し出血しただけで済んだことです。最近でも、強風にあおられた何十キロもある鉄の扉に指2本を挟まれた時も、全く無傷でした。彼自身、指が無くなったかと思ったのですが、痛みを感じなかったし、無事な指を見て何故か笑い出しました。転倒した馬の下敷きになった時も、馬と鉄柱に挟まれた時もほぼ無傷でした。「でも、最初の臨死体験はわかりますけど、その後は中間世の治癒能力は使えませんし、起こってしまったことに対し、時間を戻すだけでは解決できないことの方が多いのではありませんか。」私の問いに対し、見えないイギギ様、笑ったようでした。「いや、戻さなくていいんだよ。時間を停めることは、使いようでは完全な防御になるのだ。その瞬間、彼はダイヤモンドよりも強靭な物質に変わるようなものなのだから。」でも、52歳の時に屋根から落ちた時は、肋骨5本骨折して、生きているのが不思議と言われていましたっけ。「屋根から落ちた事件は別ですか。」「ああ、あれ、父親の悪霊の仕業だったから、防御しなかったんだな。いや、正確に言えば、自分の足を引っ張って落としたのが父の悪霊だと認識している余裕があったから、逆に防御できなかったのだ。」何故肉親なら防御しなかったのか、私には理解できない。「母の虐待に加え、父の悪霊にまで殺されかかったわけですか。何故防御しなかったのでしょう。」「彼、虐待の時も防御していなかったよ。単純に避けられるだけ避けていただけなんだ。」「悲しいですね。」ひどい両親としか言いようがありませんが、彼自身を思えば、悲しいとしか言いようがありません。「彼の場合、感情が欠けていることは、良い方向に作用したのだ。」「そうですよね。普通の人間なら、母親の度重なる虐待だけでも、悲しくて死んでしまいます。」「殺されかけても何にも思わない。彼の場合、防御は無意識なほど強力なのだ。それだけでなく、攻撃も自動だから、感情は必要がないわけだ。」「彼、攻撃しましたっけ。」彼ほど悪意のない人間はいませんから、攻撃するとは思えません。「こちらは私が関与していないが、彼の超能力の一つであるイージスは、盾の名前ではあるが、本質は防御ではなく攻撃だ。」一郎君、人から向けられた悪意を鏡のように反射する能力があるのですが、本人は意識するどころか全く感知せず、自動的に発動するのです。それで、彼のその能力を知る人は、全ての攻撃を跳ね返すと言われるギリシャ神話の女神アテナの盾、イージスになぞらえていたのです。具体的にどう発動するかと言うと、単純なところでは、彼の居ないところで悪口を言うと、不運に見舞われるのです。転んで怪我したり、自転車の鍵を失くしたり、仕事でどじったりと言った単純な不運がほとんどなのですが、悪口の内容によっては病気になってしまう人も居て、死んだ人さえ何人か出ましたから、過激な能力です。もっとも、彼に面と向かって言う分には内容にかかわらず何の被害も受けないところが面白いところで、彼自身ではなく、とんでもなく強力な守護霊のような存在がついていて、彼が認識していないところで代わりに攻撃しているような感じなのです。「無意識ほど、完全な防御となり、攻撃となるわけですね。」「そう。そして、自分のことに無意識で居られること、それも彼の能力の源だ。」無意識なほど完全、面白い能力です。「時を止めることも、無意識なんですか。」「そう。彼は感情とともに自分に対する意識にも欠けているんだ。だから、できることでもある。」「ふーん、そんな考えもあるんですね。ところで、時を停めたら確かに最高の防御にはなることはわかるんですけど、繰り返していたら、どうにかなりませんか。」副作用と言うか、何らかの報いを受けることはないのでしょうか。すると、イギギ様は笑いました。「そりゃ、報いは受けるわな。彼、寿命自体は伸びてはいない。まあ、妻の美奈子さんが死んでいたはずの時に、自分の命を削って妻の命を助けてくれと差し出したし、52歳の時に屋根から落ちた時も、肋骨5本折れたが、普通ならあの落ち方したら即死だ。去年の火事の時も、酸欠状態の部屋に飛び込んで消火して、少し肺気腫になっただけで済んだ。お前様と死んでしまった猫たちのお願いもあったから、ちょっぴりおまけをしたが、火事の時と、7年前に北海道でぶっ倒れた時の二度は、時間操作能力による超人的に強靭な肉体ではなく、超人的な酸素供給能力の賜物だな。」そうそう、北海道に出張した時、具合が悪くなって、その時働いていた事務所に詰めていた看護師さんが触診したら、何と脈は無いし、血圧も測定不能だったし、6月にしては大変暑くて30度を超えていた日だったのに、体温も34度しかなかったのです。「あれ、運び込まれた病院の医師の名言が残ってますね。」「あはは、あれは笑うわな。」病院の医師、脈も取れない、体温もない人間が普通に受け答えすることがどうしても信じられず、つい言ってしまったのです。「君、少なくとも15分は脈が無かったし、今も取れないから脳死状態のはずなのだが、何故生きているのだろう。」最初は嘔吐と下痢による脱水症状のようでしたから、とりあえず点滴して2時間休ませてみたら完全に復活していましたから、医師にとっては更に信じられない患者だったのです。「あの事件は別にして、寿命の方は、彼の肉体と時の能力との関係はないのではありませんか。」寿命と直接の関係があるとは思えません。すると、イギギ様、不気味に笑いました。「時は、普通一方向にしか流れないことになっている。」でも、イギギ様なら操作できるはずです。「転生を司るイギギ様なら、それも操作できるのではありませんか。」「操作はできる。しかし、私でも完全な無効化はできない。」「ということは、止めたら何らかの報いは受けるんですね。」答えつつ、もし私が考えたとおりだったら、彼は最後にとんでもないことになることになると気付いたのです。「わかったか。」「わかりましたが、想像するだけで恐怖です。」今まで彼が不死身の肉体でしのいできたものの報いを一挙に受けるとなると、死ぬだけでなく、体中グチャグチャになってしまうはずです。「まあ、どうなるかは、本当の神のみぞ知るだ。そういえば、ちょっと違うが人間の書いた小説で、怖い話があったな。」「どんなお話ですか。」私は、人間の小説には詳しくないから、聞き返した。「絶世の美男子が、魔法の絵によってその美しさを保ち続けるのだが、悪行を重ねて行くにしたがって、彼の絵が醜く変化していき、最後にその絵を見た男は、絵を破壊しようとするが、残ったものは醜い老人の死体と美青年の肖像画だったというお話だ。」確かに似てはいますし、結果は同じになるかも知れませんが、彼とその男は全然違います。「彼は、全く悪行はなしていません。彼ほど悪意と縁のない人間はいないはずです。」イギギ様も同意しました。「そのとおりだ。それが、イージスの原理でもある。」「無敵ですね。」「無敵だが、外的要因を無視できるだけで、彼が不老不死なわけではないから、そのうち死ぬことに変わりはない。」「死んだら、想像通りになるのでしょうか。」確かめると、イギギさまにもわからないようでした。「さあな。それこそ、神様の思し召しだ。」「イギギさまにもわからない。」「そう。世界なんて、そんなものだ。でも、大変面白い人間だから、最後まで見守ってやろう。」私も、本来は美奈子さんの守護神なのだが、夫の一郎君の方が面白いので、見守っていくことにした。「じゃあ、私も見守っていきます。お話、ありがとうございました。」「では、また会おう。」イギギさまはそう言いましたが、姿は見えないし、何だか会ったような気のしない一時でした。そうそう、今人間界は病気で大騒ぎになっていて、直接会わずに話をすることが流行っていますから、それに似ているかな。ぐっちゃぐちゃというよりも、消滅するかも知れない一郎君を見ないで済むよう、本当の神様にお願いしてみよう。座敷童さま、お願いして見ましたが、当然何の答えも帰ってきませんでした。画像は、このところの寒さでできた氷と、寒さのせいか、出してあげた餌に群がる鳥たちです。
Jan 22, 2021
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