未知之国・夢紀行3

未知之国・夢紀行3

否嘉門傑作詩集・カピバラさんがやってきた




「カピバラさんがやってきた。」


カピバラが相変わらず眠そうな顔立ちで水草は食んでいる

焦げ茶色の毛皮は光を浴びてキラキラ

草原の水場は朝から賑わっている

様々な動物がやって来るのだ

でも、逃げる事しか生存競争に勝てないカピバラ

多産で子孫を残す以外生きる術はない

子供達が背中に乗ったり

ミルクをねだったりしている

平穏な日になるはずだった

緑色の草原の空気がキーンと張り詰めた

ジャガーの親子だ

カピバラは親子揃って水中に逃げ込んだ

逃げ場を失えば、即、死を迎えねばならない

常に死と直面している弱者は

生活する事自体に逃げ道を持っていなければならない

カピバラの赤ちゃんジーが聞いた

「どうして逃げるの?どうして戦わないの?」

「戦う術がないからだよ」

カピバラお父さんが言った。



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