PR
Keyword Search
Comments
New!
ナイト1960さん
潜在意識の設計士:Inner Heart [向月 謙信]さん
クラッチハニーさんこれでいいのかな、小池劇場の副作用横暴・独裁・党員去勢「情報統制」・所属議員が個別取材に応じることを制限する。いい加減にしなさい?!
「小池さん、なんか女帝っぽくなってきて」 細川さんに聞く「平成の乱」 「殿」の期待、なぜしぼんだ?

希望の党が船出する。代表の小池百合子東京都知事を政界へ引き入れた細川護熙元首相は「いずれ倒幕するかも」と、その手腕を高く評価していたが、ここにきて懐疑的になったらしい。殿の期待はなぜしぼんでしまったのか?【鈴木琢磨】
「応仁の乱みたいになってきたなあ」。久しぶりに会った細川さんの表情は曇っていた。「都民ファーストの会」を率い、都議選で圧勝したばかりの小池さんの次なる一手やいかに?と尋ねたころは晴れやかだった。なにせ日本新党時代からの同志であり、門下生でもある。ひょっとしたら日本初の女性首相になるやもしれぬ、そんなわくわく感すらほの見えた。だが、希望の党をめぐるすったもんだを、はるか昔、中世の京の都を舞台にした大乱になぞらえたのだから驚いた。
「ええ、ぐちゃぐちゃになってきたなあ。応仁の乱がまさにそうで、なぜ戦乱が起こったのかもよくわからないし、誰が勝ったのかもよくわからない。私の先祖で言えば、細川勝元が東軍の総大将でしたがね。いよいよ小池さんによる(安倍政権を倒す)倒幕が始まるのかなと思っていたんだけど、うーん、どうも……。衆院選で政権交代までいかなくとも、せめて自民党が大敗し、安倍晋三首相の党総裁3選阻止まではいってもらいたいな」。そう望みは託すものの、トーンはダウン気味である。じっくり胸の内を聞くなら秋の古都がよかろう、と殿を追いかけ新幹線に飛び乗った。
で、やってきたのは京都御所の北にある御霊(ごりょう)神社。「妙な偶然でね。ここは応仁の乱発端の地で、宮司さんから石碑を建てるので揮毫(きごう)を頼まれていたんです。ちょうど書き上げたばかりでした」。そういえば、呉座(ござ)勇一さんの「応仁の乱」(中公新書)がベストセラーを続けている。「応仁の乱で都は荒れ、室町幕府は衰えていったんですが、平成の乱はどうなるやら。政権交代を目指すという大目標に立ち向かうときには、怒濤(どとう)のように攻めたてなければ成功しない。明治維新のときの政府もそうだったように、その新しい土台の上で、憲法でも、安保でも、存分に論議して打ち出したらいい。政治の流れを変える歴史的な大仕事の手順は、野合といわれても、そういうことじゃないですか」
永田町を離れ、普段は絵筆をとる閑居暮らしだが、いざ選挙となれば、血が騒ぐのだろう。小池さんとも会っているそうだから、2人して水墨画ならぬ生臭い政界絵図でも描いているのではと水を向けたら、笑った。「距離を取っていますよ。なんか女帝っぽくなってきて。だいたいね、あいつはリベラルだから、こいつは旧民主党の執行部だからダメだとか排除の論理を振り回すようでは、私はこの試みの先に懐疑的にならざるを得ませんね。踏み絵を踏ませるなどというのは、こざかしい。それこそ『寛容な保守』の看板が泣く」。民進党の両院議員総会で、同じく日本新党出身の前原誠司代表が「名を捨てて実を取る」と言っていましたが。「いやあ、名も実も魂も取られてしまうのではないか、と心配になりますよ」
そう眉をひそめつつ、もうひとりの日本新党以来の門下生、野田佳彦前首相をほめるのだった。どじょう宰相のどこを? 「野田さん、言ったでしょう。先に離党していった人の股をくぐる気はまったくない、と。あれ、韓信の股くぐりの故事ですよ。漢代の武将、韓信は若かりしころ、恥を忍んでゴロツキの股をくぐり、のちに大物になる。むろん野田さんはその意味を知っていて、それでもなお悔しくてしょうがなかったんですよ。まだ立ち上がって1週間にもならない新党のホヤホヤが、新参者だなどと選別するとはどうしたことか。私は新党にとってプラスにならないと思う。ま、野田さんはどじょうから、オオサンショウウオにでもなったつもりで、泰然として改めて時がくるのを待てばいい」
降ってわいた総選挙、そもそも細川さんは合点がいかない。「そりゃそうですよ。森友、加計学園疑惑隠しは明らかですから。安倍さんは国難突破解散だなんて名付けておいて、北朝鮮には対話でなく圧力を、とさんざん危機をあおっている。核・ミサイル開発をやめさせるには日本の外交力が問われているのに。いまこそ、中国とロシアも巻き込んでぎりぎりの努力をしなければおかしいでしょ。戦争になったらおしまいです。この総選挙は、トランプ米大統領の威嚇の手法まで信任することになるんだから、国民はよくよく考えないといけないですよ」

思えば、このドタバタ劇の登場人物、小池さん、前原さん、野田さんをはじめ、立憲民主党を結党した枝野幸男さんまで、そろいもそろって日本新党の出だ。いわば同窓生。79歳の細川さんが小池さんに手厳しいのは、政治の師ゆえの叱咤(しった)激励でもあるに違いない。「私は憲法も慌てて変える必要はないと思うし、集団的自衛権の発動による海外での武力行使には一貫して反対してきた。特定秘密保護法にも反対だし、原発の再稼働にも反対だ。小池さんがかつて表明した核武装の選択肢は十分ありうるという主張や、尖閣に実効支配を明確にする構築物をつくるべしとの主張にも違和感があります。にもかかわらず、私が小池さんに期待するのは、現時点で安倍1強にくさびを打ち込める一番手だからです」
ところで、この御霊神社は「心を鎮める神社」として広く信仰されている。戦後72年、まさか隣国から日本上空を通過し、弾道ミサイルが飛んでこようとは想像だにしなかった。神頼みでいいはずはないが、政治家、マスコミ、そして国民も心を鎮めるときなんでしょうね? 「まったくその通りだな」。静かな境内を歩いているうち、いつしか細川さんの顔から曇りが消えていた。いま、小池さんにおっしゃりたいことは? 「保守だとかリベラルだとかにそんなにこだわるより、開明的であるということが一番、大事だと思いますね。昔から名君といわれた人たちは、右とか左とかそんな枠にとらわれたりしない。常識と非常識をうまく両立させてきた。だから思い切った改革もできたんですよ。小池さんにはそうした器量の大きい人でいてもらいたいんです」
すっかり日が暮れた。御霊神社からの帰途、鴨川べりを歩く。都の真ん中で幾多の戦乱を見つめてきた川はゆったり変わらぬ流れだった。はたして「平成の乱」はどんな結末を迎えるのだろうか。
by 毎日新聞