”名も知れぬ人たちへ”【承11】

・・・"まいったなあー"・・・

2004.6.2検査の結果がでる。

その日私は,遠隔地の会社を午後に出発し,我が家へ午後3時半ころに到着。
娘を待っている間に掃除,洗濯,夕食の準備を済ませた。
娘が帰ってきた。覚悟を決めて"さあ,病院だ。行くぞ"。

妻の顔を見る,普段と変わらないほど血色が良い。十分な輸血で復活したようだった。相変わらず,妻と娘はキャッキャッ話をしている。
親子と言うより年の近い姉妹のようだ。

それをよそに私は忍び寄る時間に恐怖を感じていた。18時半という時間の壁が立ちはだかる。一秒一秒,時が近づく。
18時半を境に過去へ逆転すれば・・・と,だが現実は普段と変わらず進行していく。

看護婦さんが,病室に入ってきた。
「だんなさんですか?」妻を横目に話続けた。
「検査の結果について,先生からお話しがあります。ナースセンターへ来てください。」と。"ついに来たか"
妻が笑いながら言った。
「おと吉,聞いてきてよ。」と。私は,勇気を出して,こう言った。
「お母さん,俺だけじゃーだめだ,一緒に聞こう。そうでなければ先に進むことが出来ない。」
「・・・」
「どんなことでも一緒に・・・」と。妻はしぶしぶ立ち上がって一緒に先生の所へ。

先生が二人,CTだったか,MRIだったか,写真を掲げ指をさしながら話をしていた。
先生の一人が私たちに気づき,「さあ,どうぞ」とイスを用意してくれた。
・・・少しの間の沈黙に,ゴックンと飲み込む・・・
次ページへ 前ページへ


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: