”名も知れぬ人たちへ”・【承20】

・・・でも妻は・・・

"この病気を治すんだ"という意気込みはだれにも負けないくらいの気持ちを持っていた。必ず治るんだと。

入院した日,やはり検査,検査であった。
妻が検査でいない間,看護婦さんと話しをした。
「びっくりしたでしょう?この病気を知ったとき」
「・・・」
「ここは,設備も整っているから,一緒にがんばりましょう。」と。
「それは,もちろん・・・」と。

この付属病院の環境は,結構良い。大部屋としても4人であり,個室も結構ある。換気も良く,暑さをあまり感じさせない。日も良く入りベットの生活には良い環境。妻も"静かで居心地はいいね"と言っていた。
私としては,悪い夢を見ているようだった。まだ信じられない,といった感じ。

この病院は,私の娘が通っているバレエ教室から約15分のところにある。
娘は,小さい頃から"バレエ"を習っていて,土曜日・日曜日にはこの地に来ていた。だから,バレエのある日は付属病院に顔を出した,毎週であった。
本当は毎日でも妻の顔を見たかったがそうもいかない。

私は単身赴任で仕事をしているため,土曜日と日曜日のみであった。娘が我が家にいるので半日休暇をとって面倒をみて,という具合。

・・・私が泣く場所は・・・
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