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対立と太極。 <20060411>

猫♪さんのところの亀爺(謎) が、
以前しみじみとぼやいていたことがあったが、
「文明と自然の対立」とか、「光と闇の対立」とか、
そういう「二項対立」の構図というのは、
実のところ、かなり、幻想である。

「アートマンとブラフマン」とか、「陰と陽」とか、
古代東洋哲学にもモチーフがあるじゃないか!
とか言いたい向きもあるかもしれないが、

それは、「対立」ではなくて、「太極」。
…つまり、<conflict>でなく、<balance>である。

「昼と夜」とか、「夏と冬」とか、
「生と死」とか、「男と女」とか、
確かに、二つに分けて考えると便利なものは沢山あるが、
それがいちいち「対立」してたら、
世の中、やってられないでしょうが。

「光と闇は対立して争いあっている」っていうのは、

一日24時間昼ばっかりとか、
一年365日冬ばっかりとか、
世界60億が女ばっかりとか、

双方がそういうのを「目指してるんじゃないか」
っていう発想でしょう??

昼ばっかりの毎日とか、300年経っても若いままで死なない人とか、
どう考えても、理にかなってないじゃん。

何故に突然そんなことを考えたかというと、
某ネットコミュニティの掲示板で、
「文明と自然の対立が人間にとって大事なものを失わせ・・・」っていう、
おいおい~、今頃ハンチントンかいな~、という投稿に出くわしたからっす。
ちなみに、ワタクシの返信はこちらに再録いたしますた。
(※笑月注:文中の「こちら」とは下記の{「文明と自然」:対立と太極}を指す。)

やれやれ。
…ガクシャもやっぱ、調べるばっかりじゃなくて、
ちゃんと、定期的に発信せんとイカンね(^^;
ついつい、「みんなとうの昔に知ってるよねぇ?」とか、
勝手に思っちゃうもんでさぁ…☆




「文明と自然」:対立と太極

結論から言いますと、全世界的にみて、
「自然と文明が対立している」と考えることは、
「都市」に生まれ育った人間だけが抱く「幻想」に過ぎません。

「文明と自然との共存」というモチーフが成立するためには、
まずその前提として、「文明」と「自然」というものが、
等位で対立するものである、
と考えられていることが必要です。

先の書き込みでも、「これは新しい思想である」と述べましたが、
こうした考え方がどこで生まれたかというと、
中世ヨーロッパの、「城壁で囲まれた都市の内部」という環境においてです。
その当時は、「文明と自然」というより、
「都市と農村」という対比が先に生まれました。

ここで注意しておきたいことがひとつあるのですが、
「生産者である農村の人間」は、
「文明」の範疇には入っていなかったということです。
この傾向が、現在に至るまで、
都市の「消費者」の発想のなかに、受け継がれてしまっています。
「文明と自然は対立してしまっている」といいながら、
自然と共存せずには生産できないはずの、
農産物や水産資源を消費しているわけですから。

外から眺めてみれば、ヨーロッパで発生した「都市」は、
「広大な自然のただなかに点在する、
 城壁で固く守られた小さな人工の居住地」に過ぎません。
つまり、「自然と文明」という対立(・・・実際には「対比」なのですが)は、
その実、「外と内」、あるいは、
「他者と自己」という区別であると考えてもいいでしょう。
「城壁の外側と内側」。単純にいうと、それだけのことです。

ところで、東洋における「都市」はどうかというと、
「太極」や「風水」という思想にも見られるように、
「外なる自然の力を、無理なく内側に呼び込みコントロールする」
ということを、主な構想として形成されました。
「消費の地」であることには変わりはないのですが、
「生産の地」との繋がりを断つことは、
都市そのものの生命力を弱める、という重要な情報が、
歴史や伝統の中で、きちんと伝承されてきていたということです。

1000年以上も「都」として機能してきた京都の町家が、
いまだに「季節や生命を感じさせる空間」であることを可能にしているのは、
こうした「外なる自然と内なる自然を重ね合わせるシステム」が、
きちんと伝統として受け継がれてきたからだといえます。

いずれにしても、「代償として失われたもの」は、
「城壁の外」にある、ということは、言えると思います。
城壁内で生まれて、一度も外に出たことのない人には、
「初めから存在しないと思い込んでいたもの」かもしれませんが…。

私自身は、そもそも「城壁の外の地域」で生まれ育ったもので、
「文明と自然の対立」という思想に関しては、
「はじめから無理な話」であるとしか思えないですが…。


「いつだって物事を二つに分けたがり
 ありもしない対立とやらをでっち上げるのは
 いつだって人間なのじゃよ…。」
(↑知り合いの亀爺さんのぼやきですが…(大謎))





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