
赤味を増し始めた夕日の中で
道のすぐ近くまで伸びた枝の先
大きく育った柿の実が揺れる
まだ幼かったあの日
君と一緒にこの畑に忍び込んで
もいだ実をズボンで擦って齧ったっけ
僕よりも背が高くて
僕よりも物知りで
僕よりも脚が速くて
けれどそんな君も
木登りだけは僕よりもへたくそで
『柿の木は折れやすいから高くまで登らないだけだよ』
口を尖らせてそんな強がりを言いながら
僕がもいで渡した柿を美味しそうに齧っていたね
枯葉の薫り
熟して落ちた柿の実の饐えた薫り
ほのかに漂う金木犀の薫り
そんなたくさんの薫りに紛れるように
僕の隣で柿の実を齧る
そこばかりは女の子らしい
長い髪の甘い薫り