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2021年05月30日
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カテゴリ: 病院
​​​​​​​​​​​おはようございます。

今日は働けなくった時シリーズの最終話。 「生活保護」 について解説します。​

「生活保護」と聞いてポジティブなイメージを抱く人はおそらくほとんどいないと思います。

「働かないで生活している」、「パチンコ等のギャンブルや酒に依存して、仕事しない」、「生活保護にだけはなりたくない」、「なんとなく、恐い」

今まで私が働いている中や、プライベートで聞いたことのある生活保護に対するイメージです。

人間どんなことであれ、自分のわからないものに対して恐怖を感じるものです。


MSWとして働いていると生活保護を受けている人をよく目にします。時には、私たちから生活保護の申請を勧めたり、申請をしたりということもあります。

実際に関わるからからこそわかる生活保護の制度や利用する人(MSWの立場から申請を勧めた方が良いなと思う人)について解説をしていきます。


____________

厚労省のデータでは2019年時点で国民の約 1.7% の人が生活保護を受けていることになります。
割合としては約半数が高齢者の世帯で、次いで多いのが何らかの障害や傷病を抱えた世帯、その他の世帯、母子世帯です。

つまり 100人に2人は生活保護を受給している ことになります。



※生活保護とは
 生活保護とは経済的に困窮された方が利用できる制度で、他のあらゆる方法をもってしても生活が成り立たない時に ​国が経済的な問題や生活上の問題の面倒を見てくれる​ 制度です。

社会福祉士を目指そうとする学生であれば必ず学ぶ憲法第25条の生存権。

われわれ国民は 「健康で文化的な最低限度の生活」

国はこの権利を保障しないといけないと明記されています。そしてこの「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する目的で生活保護という制度があります。(大学時代に「健康で文化的な最低限度の生活」とは何かを議論させられるのは福祉系大学あるある)

何年か前には「健康で文化的な最低限度の生活」というタイトルのドラマが吉岡里帆さん主演(田中圭さんとか、遠藤憲一さん等出てました)でやっていましたね。

ケースワーカーにスポットを当てたドラマが放送され、内容もわかりやすくて面白かったです。

『健康で文化的な最低限度の生活』DVD-BOX [ 吉岡里帆 ]

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグ コミックス) [ 柏木 ハルコ ]



国民すべてに与えられた権利ですので、経済的に困窮した場合誰でもが利用できます。
ただし、申請は世帯単位なので一緒に暮らしている人に収入がある場合などは、世帯の一人だけ申請とはなりません。

重要なポイントとして 生活保護は最終手段 なので「就労する、貯金を切り崩す等自身の努力で解決できないか」、「家族や周囲の協力は得られないか」、「他に利用できる制度はないか」、「自身の資産を売却してお金を作れないか」等をまず先に検討する必要があります。

申請する際は 市役所の生活保護の窓口か、町村に設置されている福祉事務所が窓口 となります。


※該当基準
簡単に言うと、 「自身の収入が、住んでいる地域の最低生活費を下回っている場合」 に該当となります。

そのため 年金などの収入がある人でも、仕事をしている人であっても対象になる可能性はあります
逆に家賃が高いところに住んでいる場合や、毎月の飲み代が多いことでお金がない場合は、自身の努力で改善出来る可能性があるので対象になりません。

また収入の状況によっては「生活保護費は支給できないけど医療費だけは生活保護で見るから、かからないよ」となることもあります。


※生活保護を受けるメリット
生活保護の該当になると生活費や住宅費、医療費、介護費用等定められた8つの分野に関して国で保障してくれます。


基本的には毎月頭に「生活保護費」という形でお金が支給されます。
この金額は地域ごとで変わってきますが、ワーキングプア―と呼ばれる仕事をしていても稼ぎが少ない人よりもお金をもらえる等と議論が巻き起こるところです。


また病院へかかる際の費用は基本的にかからなくなり、介護保険等のサービス利用にかかる費用も基本的にはかからなくなります。

また家賃等の費用や子供の教育費用、就職先を探すために必要な資格取得、葬式代等のための金銭的な援助もあります。



※生活保護を受けるデメリット
申請の時点で資産の調査や家族構成、これまで歩んできた経緯(どこで生まれてどの学校を出てその後どこで働いて、結婚して離婚して等色々聞かれます)を全て説明しなくてはいけない

定期的にケースワーカーによる自宅訪問がある

就労や収入の状況、金銭的に大きな買い物をする時はケースワーカーへ都度報告しなくてはいけない

住む場所が制限される

「生活保護を受けている」ということで、周囲や自分自身から少なからず悪い印象をもたれることもある

ローンを組んだりクレジットカードを持つことが出来なくなる

場合によっては家や車等も持てない( 家や車があるから申請出来ない訳ではない



※生活保護が必要になる人
MSWとして生活保護の必要になる可能性の高い人を紹介しておきます。

・高齢な方
 高齢になれば当然病気になるリスクは上がり、反比例して収入は減っていきます。

若い人よりも仕事も見つかりづらくなりますし、若い時から相当に準備をしていた方でない限り経済的に困窮するリスクは高いです。


・身体面、精神面に障害のある方
何らかの障害を有している方は仕事が出来ない可能性が高くなりがちです。

また精神面や知的に障害のある方は病気や障害の影響で金銭管理が苦手だったり、衝動に対して抑制が効きづらかったり、アルコールやギャンブルに依存的になってしまうことも多いです。


・一生付き合っていくしかない病気になった方
関知しないがんや難病、リウマチ、特定疾患、心臓病等完治できない病気にかかった方は、長期間にわたって医療費がかかり続けます。

病気によっては治療にかかる金額が大きくなったり、何度も入院を繰り返さなくてはいけなくなったりと、医療にかかる負担が大きくなりがちです。


・親族など頼れる身寄りがいない方
なんだかんだ言ってもいざとなった時に協力してくれるのが家族というもの。その家族がすでに亡くなっていなかったり、遠方に住んでいて何十年と音信不通になっていたり、様々な理由で家族との縁を切っていたりする人が世の中にはたくさんいます。(MSWとして働いていると本当色々な家族背景を持った方と接します)

自分一人しかいないという人は有事の時に金銭面を含めて、困窮する可能性が高いです。



※生活保護に対する私の印象
一般的には生活保護になりたくてなる人はほとんどいません。(全員がそうとは言い切れませんが)


だいたい背景には病気が原因で仕事が出来なくなったり、
元々は質素に生活していたのに急にがんだとわかり継続して高額な医療費がかかったり、
病気の影響でアルコールやギャンブルから抜け出せなくなってしまったり、
対人関係に悩みや不安を抱えていて、社会での生活が上手くできなかったり

経済的な困窮状態に陥る背景がひとそれぞれにあります。
診断の有無にかかわらず何かしらの病気や身体的な障害、精神、知的な疾患を抱えていることも多いです。


抑制の意味も込めてだとは思うのですが、生活保護に対する情報をあまり表には出さず、わかりづらくすることで国民の生活保護に対する不安や不信感をあおっおきたい人がどこかにいます。
そのため生活保護関連のニュースと言えば不正受給や暴力団関係の話、外国人の受給問題、生活保護をもらってパチンコにおかねをつぎ込む、働いている人より働かないで生活保護をもらっている人の方が裕福、等ネガティブなものになりがちです。

そのため「生活保護は国民の権利ではなく、使ってはいけないものだ。使っている人はダメな人だ!」という考え方が広く定着しているのではないかと思います。
「生活保護には人権はない!」と過激な事を言っていた偉いお方もいました。


正しく利用すれば、お金が原因で治療を諦めていた人が自身の命を助けられたり、お金がなくて教育も十分に受けられなかった方が、生活面が安定することで就職に向けて準備に取り組めたり、自分のやりたい仕事や、リスクを取った生き方を選択できたりとポジティブな側面も必ずあるはずです。

____________
「生活に困って小さな子供を道連れに一家で心中」なんてニュースをいまだに年に数回目にします。

お金が原因で命を捨てるなんて現代の日本でこんな信じられないニュースが起きているのも現実です。

人生誰しもが、この先どうなるかわからない状態で生きていますよね。リスクとはこの先何が起こるかわからない割合のことを指すのでリスクのない人生なんてないですし、日本人の好きな「安定」なんてものは結果論で未来はいつもわからないものです。


病気にかかった人で特に若く元気に暮らしていた人は「まさか私がなるとは思わなかった」とほぼ間違いなく言います。脳梗塞も心筋梗塞も何の前触れもなく突然発症します。自分が知らないだけで同世代で持病がなかった方でも突然明日働けなくなることもあるのです。



もしあなたが明日働けなくなって、収入面に困ったり将来を悲観することがあっても決して命は粗末にしないでほしい。


病気と必死で戦って、それでも明日を生きられない方を病院で働いているとたくさん見ます。
人は本気で死と向き合って初めて、命の重さやありがたさに気付きます。


命の重さを知る医療従事者だからこそ、そして医療とお金の専門家であるMSWだからこそ皆さんに生活保護という制度を知ってもらいたい、発信しないといけないと思って、「生活保護」について取り上げさせてもらいました。


否定的な意見も肯定的な意見もいろいろあると思いますが、


是非、記事を読む前と後で生活保護に対して考えるきっかけにでもなってくれたらうれしいです。


明日はここまで取り上げた社会保障制度のまとめをしようと思います。​​​​​​​

今日も見て頂きありがとうございました。​​





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最終更新日  2021年05月30日 08時13分47秒
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