MURDEROUS PLOT

MURDEROUS PLOT

HOTTER【芭夢】




HOTTER


丸坊主の少年がメインキャラクターとして売り出されているソーダアイスを頬張ると、口の端からたらりと水色の液(つゆ)が垂れる。季節は春だというのに、気温は30度をゆうに超している。これもオゾン層の破壊が関係しているのか、はたまたそうではないのかなど、とんと見当もつかない。ただ一つ言える事――しかも万人が首を縦に振ってくれるであろう事がある。それは“暑い”と云う事だ。

「あついー。あーつーいー。あーーつーーぅーーーーっっっっい!!!!」

座っている椅子をがたがたと小刻みに揺らす。そしてまた、口の端から水色の液が零れ落ちる。ぱた、ぱた、ぱた、と床に水音が跳ねた。その音が私を癒す事などある筈も無くて。

「っっぁああああ!!!あーつぅーいーーーのーーーーー!!!!!」

太陽がでらでらと輝く中で、私は必死に抗議をしてみた。もうちょっとその暑さを自粛したらどうなの、太陽?と語りかけても、太陽は自然の産物であるのだから当然口などある訳も無い。そうなるとただの戯言として片付けられて、また私の不快指数も溜まっていくものである。

「あームカムカするなぁ全くもぉ!!!」

戯言にしては少々五月蝿いかもしれないけれどそう呟いて、私はまたソーダアイスを噛み砕く。ガリガリと口内でアイスを彫刻する音が聞こえる。頬を一筋の汗が流れ落ちた。どれだけアイスを口にしても、この体温は全く以って下がる片鱗さえ見せない。
寧ろ体温が増しているような気がしてならない。

「くぁぁぁぁぁあああああ!!!!太陽なんてどっか行ってしまえ~!!!」

祈祷師のように両手を組み合わせると、私は「遠くのお山に飛んでいけ~、太陽なんか飛んでいけ~」と昔母や父に怪我をした時に口ずさまれたフレーズをアレンジして歌った。私の祈りは功を奏する事になるのかどうか…。半ば是は賭けであった。

「お前、馬鹿か?」

ぺち、と無機質なプラスチックで頬を叩かれて、私はすかさずその手の先を見た。

「あ、御柳ー。」

「“あ、御柳ー。”じゃねーっしょ。お前、何一人きりだからってウゼェ事してんの?」

教室の中での私の祈祷大作戦は、御柳の一言によって呆気なくも崩れ去ってしまったのである。後もう少しで、神様が語りかけてくれそうな雰囲気だったのに。また私の不快指数が上がる。主に対御柳専用の不快指数のみが上がった。自然現象に対する怒りはそれに反比例するように急降下していく。まぁ簡単に言えば、自然現象などに対するえもいわれぬ鬱憤が、御柳という口を持つ産物に対する恨み辛みに摩り替わってしまったという訳である。それを目の前の御柳は知る余地も無い。だって私は彼にその事を一切話していないのだから。

「だって暑いんだもん。」

“プー”と頬を丸々とさせて、私は然もその答えが正答だと言わんばかりに御柳を睨み付けた。彼にはそんな私の意図は全く読めなかったらしく、「やっぱウゼェ」と顔を歪めて吐き捨てるように言った。

「春なのにこんな暑さで、御柳は耐えられるの?」

「別にー、俺いっつも部活で大汗掻いてるしー。よゆーよゆー。」

張り合いの無い奴だ。もう少し私の意見に喰いついて、それで以ってもっともっと反発してくれたら面白いのに。こんなにあっさりと流された日には、一体どうすれば良いというのだろう。御柳と二人きりで弁論大会をするならば、多分彼の方に分があると言える。私はどちらかというとかっかとして感情的に言葉を連ねる方で、御柳はといえば、冷静に相手の言葉を見つめてまるで風のように受け流す。彼と話をしていると、何だか最終的にはげっそりとやつれてしまうのだから困ったものだ。

ぴちょん、と掌に冷ややかな水が触れてくる。びっくりして自分の手に視線を全て総動員させる。じっと目を凝らしてみると、何の事は無い、ただのアイスから零れた雫であった。木の棒に凭れ掛かる水色のソーダアイスは、最早殆ど原型を留めておらず、どちらかというと今の状態の方がしっくりきてしまう。

「あ、ガリガリ君溶けちまうぜ。食うならとっとと食えよ。」

「うん。わかってるよ。」

ソーダアイスの正式名称そのものズバリを言い当てると、彼は私の隣の河東君の席へと腰を下ろす。“どっか”と無遠慮な音が、束の間ではあるものの教室を支配した。

「お前さぁ、いつも何か食ってるよな。」

「へ?そうかなぁ?」

彼の中での私という具体像は、どうやらいつも食べ物を伴って表れるらしい。まぁ彼の言い分は当たらずとも遠からずといったところだろう。私は四六時中食べ物を口にせずはいられない種類の生物では決して無い。されども、全く食べ物を口にしないでいられる程頑丈には出来ていない。恐らく彼がたまたま視界の片隅に私を捉えた時、不運にも私は食べ物を貪っていたというだけの至極単純な話であろう。しかし私からも言わせて貰うと、彼の方が食べ物をいつも食べていると想う。野球をする時でさえガムを噛んでいるという噂もしばしば耳に届く位だ。授業中に何処からともなく聞こえる厭らしい“くちゃくちゃ”という響きは、大方彼が作り出しているのだろうなぁと漠然とした予想を立てた。立てはしたものの、彼にそう直訴する気力なんてとうに失せていた。あるとしたらやり場の無い怒りをぶつけようと企むこの心くらいだ。だけど暑さに負けてそれすらも出来そうにない。暑さとは、時に人を変えてしまう力を持つものである。幾ら優しい人でもこの暑さでは愚痴をこぼす事がほぼ確定しているし、それなら意地の悪い人になれば更に酷い有様となるのは目に見えている。自然現象如きにこの人間様が翻弄されるなんて、生物界のトップを牛耳るものとしては何とも小憎らしい想いに駆られてしまう。いつかこの自然現象でさえ人間の手中に収まる事になったら…。その時にはこうして太陽に対する愚痴など存在し得ないのだろうけれど、逆にそこまでいくと気味が悪い。そんな未来だけは来ない方が良いと、馬鹿だけれど何とか分かる。

「御柳だって、いつもガム噛んでるじゃん。」

「まーな。ガムってんめーからよ。」

食うか?と彼に差し出されたガムを私は「要らない」と手をヒラヒラと顔の前で振って断った。どうでも良い話だが、こういうジェスチャーは様々な外国の方には違う意味に取られる事が多いらしい。要はややこしい、という事だ。何回も繰り返すようだが、本当に全く以ってどうでも良い事である。

「あ、当たりだ。」

手中に収まる程の大きさの木で作られた棒には凹みを利用して上手く文字が彫られていた。“あたり”と、買ったお店へ其れを持って行けば同じ物が無料で渡されるという、言わば“幸せの四葉のクローバー”が描かれていた。


「もー一本、セブンで交換してくるー。」

「行ってらっせー。お気をつけて~。」


下敷きを仰ぎながら、御柳は精も根も尽き果てた声で言った。何だかんだ言って、結局彼も暑いんだ。ちょっとは素直になれば良いのに、と思いながら私はスキップで教室を飛び出した。一口位なら分けてやっても良いだろう。






★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


なんて偉そうなんでしょこの主人公。てかやっぱり御柳が相手になっちゃってるし(ずーん)私とことん御柳好きだなぁ。てかぶっちゃけこれ御柳じゃなくても誰でも応用効くしー。もうちょっと御柳ならではの文章が書けたら良いなぁ。


それにしても今日は暑かったと思いませんか皆さん。私はそう思いましたよ。だって今日はこの小説にもちらりと書いたように30度はゆうに超えてましたって絶対。家に帰って夜になって温度計を見てみると27度ですよ、ヒィ!!!夜で27度ならば昼は何度だったかも知れません…!!!!怖い怖い。くわばらくわばら。



ああ、予習もしないでこんなに遊んでると二週間後のテストが危うい…。と知ってても尚遊ぶ自分は相当勇気(しかも間違ったのが)あると思います。もう23時54分ですので、然らばさらばです。












あ、因みにこの話、最初は『ピンポン』の「スマペコ」のペコ視点で書く気満々で死た。げそり。なんでこんな訳わかめな小説に成り下がったのやら、作者にも不明ですめそり。


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