MURDEROUS PLOT

MURDEROUS PLOT

桜 (屑桐夢)


それを見ながら、一人の少女はヒッソリと溜息を吐き出した。



『なぁんで、よりにもよって第一、第二、第三志望校を落ちちゃうんだろ。』
心中の澱みが顔にまで表れそうな程、今の彼女は疲れ果てていた。
受験戦争は、いつの世も壮絶で、凄惨で、残酷なものである。
そして、その世界は、一言で言うなれば “弱肉強食”。食うか食われるか。下克上と言い換えても良いだろう。誰が勝つか、誰が負けるかは、その時になるまでわからない。
そして、彼女は見事、その世界で負け犬となったのだ。
『あぁもう、しかもツイてない時って、トコトン運が無いし…。』
彼女の中で、ひっそりと不快指数が上昇していく。そして、そういった時、大抵彼女はある方法でそれを解消していた。
『どっかに良い木は無いかなぁ。』
だだっ広い公園の中、太くて健康そうな木を探す彼女は、差し詰め獲物を追い求めるハンターのようだった。
『…あった、あった!飛び切り丈夫そうな木、発見!!』
それは、満開の桜の木だった。彼女は、ニヤリと不敵な笑みを零すと、
「ヤァ!」
という声と共にその大木へ、右手一本で突きをかましたのである。
「もういっちょ!」
そう言って、今度は蹴りを繰り出す。
閑静な校庭の片隅に、ドシ、ドシという無遠慮な喧騒がやたらと響き渡る。
「ラスト一発!」
最後は、突きと蹴りを同時に繰り出した。
…恐らく、最後の一発が決定的だったのだろう。
彼女は、自らが突きと蹴りを繰り出し続けた桜から、何かが落ちてくるのを見た。条件反射で、それから飛び退いて、彼女は落下物を回避する。
先程まで彼女が出し続けていた振動よりも一際大きい揺れが、大地に響き渡っていく。

「……ごめんなさい!!!!!」

それが、全てを見た後の彼女の第一声だった。

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「…よもや上に人が居るなどとは思いもせず…。」
先程までの勇猛果敢な姿は何処へやら。そこには、ただただペコリペコリと小さな体を更に小さくして謝る女が居た。
そして、その女の謝る姿を見つめる者が、軽く己の後頭部を掻いて言う。
「……いや、あんな場所で寝ていた俺も悪かったんだ。」
お互いに平謝りの状況を、かれこれ20分は繰り返していた。


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