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MURDEROUS PLOT
jealousy【続続不二夢】※R17
jealousy ~嫉妬~
あれは、昨日のことだった。
「上杉さん。明日、僕の家に遊びに来る?」
「ほぇ!?」
突然の先輩からのお誘いに、私は思わず素っ頓狂な声を出した。色気もクソも無い。
「ほら、久しぶりに部活も無いし、明日は土曜日で学校も休みだから。折角のお休み、上杉さんと過ごさない手は無いでしょう?」
にっこりと、たおやかに微笑みながら、不二先輩は私の髪をそっと撫でた。放課後のグラウンドは、砂埃が立つ。少し目を瞑りながらも、しっかりと先輩を見つめた。
「は、はぁ…。」
『そういうものなんでしょうか?』と付け加え、私は以前微笑みを顔に貼り付けた彼を見つめる。そうして、彼の真似をするかのように、私もにっこりと微笑んだ。そういえば最近は私も、彼の側によく居るようになって、長い時間綺麗に微笑むことが出来るようになった。これは快挙といっても過言ではないだろう。何せ、今までの私は、必要最低限しか微笑むことが無かったし、出来なかったのだから。
「うん。そういうもの。だって折角恋人同士になれたんだし、ね?」
念を押すかのように、かれは語尾を強めた。そうして、ぎゅっと私を抱きしめる。そうされると、自然と先輩の胸元へ顔を埋めることになる。ふんわりと、男物のシャンプーの良い香りがした。
――…晴れて不二先輩と両思いになった日。その日、私は思いがけなく先輩の家へと招待された。――…いや、『されかけた』と言った方が良いかもしれない。本当は、先輩の家の直ぐ側まで来たその時、無情にも携帯電話が鳴り響いてしまったのだ。――…お母さんだった。「すぐに来て頂戴。」と私は呼び出され、泣く泣くその場を後にしたのであった。あと一歩で先輩の家へ上がれたかもしれなかったのに、とお母さんを恨んだのは言うまでも無いだろう。しかも、お母さんが私を呼んだ理由は、『買い物へ行って欲しい』という、ぶっちゃけた話、どーでも良いような内容だったので、殊更に恨めしかった。
――…今度こそは、本当の本当に不二先輩の家へ行ける…?
ごくり、と生唾を飲み込んだ。固く握り締めた手の平が、みるみる汗ばんでいく。私は、彼の家に行くという行為がとても神秘的に感じられた。きっと彼の家だから、豪華な家なんだろう。きっと家族仲が良いのだろう。沢山のことを想像しながら、意を決して言った。
「…それじゃ、明日、お邪魔しますね。」
「…ありがとう。」
先輩は、ほっと胸を撫で下ろしたようだった。溜息とも取れる風が私の頬を掠めた。
「じゃあ、地図を描くから。」
そう言うと、先輩は鞄から、紙と銀色のシャープペンシルを取り出した。さっ、さっ、と、先輩の持つシャープペンが紙の上を滑っていく。見る間に紙は地図帳と化した。
「はい。これ。青学の位置も描いておいたから。」
「…あ、ありがとうございます!!!!!」
なんとまぁ。たった数分の間に、先輩は本当に綺麗な道筋を描き示してくれていた。丁寧に描かれたソレは、そんじょそこらに売っている地図よりもずっと見やすい。
「…明日、待ってるよ。」
先輩は、私の腰の辺りに手をかけて、先程までよりもずっとずっと強く私を抱きしめた。
「腰の辺りは一番お肉が溜まってるのに!」と、私がムードの無いことを考えていたことは、きっと不二先輩は知らないんだろうなぁ。
「…それじゃあ、帰ろうか。」
「はい。」
その日は、近くのアンティークショップに立ち寄ってみたり、ゲームセンターでプリクラを撮ったりと、まずまずの内容を過ごしていたのであった。
…。そして、今日は約束の日。一応自分の中ではまぁまぁと思われる服をチョイスして、アクセサリーをちょっとだけ付けて、女の子らしくしてみたつもりだ。
「…さて、行きますか。」
先輩の作った地図を片手に、私は家を飛び出した。
「…やっと着いた…。」
先輩のくれた地図通りに道を辿ると、それらしき家に着いた。ちゃんとした庭もついている、なかなか立派な家だった。そのインターホンを押すと、「はい。」と先輩の声が返ってきた。
「もしもし。先輩ですか?」
「あ、上杉さん。ごめんね。今すぐ開けるよ。」
その声が聞こえてすぐに、先輩が玄関を開けて出てきた。そして目の前の柵をどかし、私を招き入れる。
「おいで。僕の部屋に連れて行ってあげる。」
「…はい。」
先輩の部屋≒魅惑の未体験ゾーン。私はドキドキしながら先導する不二先輩に付いて行った。
「此処が、僕の部屋。」
階段を上ってすぐに、彼の部屋はあった。ドアを開けて、「ようこそ、姫君。」なんて先輩が言ってくれたもんだから、私は卒倒しそうになる。しかし必死に耐えて、中へと入っていった。
「…綺麗。」
やっぱり容姿が端麗なだけに、部屋の中も見事に綺麗だった。「綺麗」。その言葉は、まさに彼のためだけに存在しているかのような錯覚にさえ捕らえられた。
「そんな事ないよ。」
謙遜をしながら、先輩は「綺麗」に微笑んだ。私もまた微笑んだ。和やかな空間がそこに出来上がる。私は彼と作るこの空間が大好きなのだ。
「あ、サボテンだ。」
ふいに私は声を上げてある一点を見遣った。そこには、小さな鉢植えに佇む、これまた小さなサボテンが居た。自分の身を守るかのような針達は、何処か可愛らしさを感じさせる。
「可愛いでしょう。今上杉さんが見てるのは、僕のお気に入りのなんだ。」
私の視線に気づいたのか、先輩は私にそう言った。「先輩のお気に入り」というランクに位置づけられるそのサボテンについて、私はとても気になった。
「…このサボテンはね、“かせんぎょく”って言うんだ。古くなると仔吹きするんだ。花は赤色で花径は大体4cm位かな。花盛りになる時は丁度今の季節…つまり、夏なんだよ。」
「かせんぎょく?」
「あぁ、漢字で書くと、『華やかの【華】』と『仙人の【仙】』と『玉入れの【玉】』って書くんだよ。」
先輩は、いつだって私の心を見透かしてしまう。そこに愛があるのなら、私は幸せ者だ。
「へぇ…。」
サボテンのことを活き活きと語る先輩の表情は、今まで見たことが無かったから、私は何だか心がチクチクしたような気分になる。まるで、サボテンの針に心を突き刺してしまったみたいな気分。なんでこんな気分になるのか、私自身にはさっぱり検討もつかなかった。
「…上杉さん、どうしたの?気分でも悪いかな?」
「…あ、いえ。何でもありませんよ!!!!!」
大丈夫です、と伝えると私は「はぁ」と溜息を吐いた。この気持ちは一体どんな風に形容出来るのか、私にはわからなかった。人生経験が足りない所為もあるのだろうけれど、それにしても一体何なんだろう。痛い。痛い。針が胸を突き刺していく。呼吸が上手く出来ない。
「上杉さん、本当に具合が悪そうだよ。ベッドで休む?」
先輩は、やや大きめのサイズのベッドを指差してくれた。きっといつも其処で寝ているんだろうな、とぼんやり思っていると、心に刺さる針の量が減っていった気がする。
「…良いんですか?」
「うん。まだまだ一日は長いし、ゆっくり休んだ方が良いよ。ね?」
昨日みたいに語尾を強めて、先輩は私の背をとんっと押した。自然と私はベッドへと倒れこむ。仰向けで倒れこんだせいか、なんだか先輩が大きく見えた。段々とまどろんでいく。
「…じゃ、ゆっくり寝ていると良いよ。」
「はい。」
ぎぃ、とドアの開く音がした。先輩が部屋から出て行ったのだろうか。今の私は目を閉じているため、その辺は判断しかねたけれど。
「…なんでこんなに針が刺さるんだろう?」
小さなサボテンの針が、容赦をせずに私の心に向かってくる。ちくちくする。嫌だ。どっか行って。痛いよ。
小さく呻いて、私は泣いた。ほんの一滴を瞳から流すと、意識を手放した。
目を覚ますと、目の前には不二先輩が居た。私の上に圧し掛かるような体勢になっているようだ。カーテンも閉まっていて、真っ暗だったけれど、私には彼が見えた。
「…先輩?」
「あ、起こしちゃったかな?」
先輩は私の髪に触れると、ゆっくりとそれに口付けた。私は思わず動揺して、あたふたしてしまう。まだ寝ぼけている私は、これが夢なのかと感じてしまう。
「折角、夜這いしようと思ったのに。」
「…よばいって何ですか?」
間抜けな会話だなぁ。そう思って笑った。先輩と私を繋ぐ「よばい」という単語は、何だか恐ろしい雰囲気を纏う言葉だ。意味を知らない所為かもしれないが、ちょっと怖い。
「…えっとね、寝込みを襲うことかな。」
先輩は、言うが早いか私の上着のボタンを外し出した。寝込みを襲う…。襲う…。
「えええええええええええ!??」
私は先輩の手を必死に押し退け、服のボタンを付け直した。恥ずかしすぎますって!!!!!
「あのですね、そのですね、あのですね!!!!」
「ふふ、混乱してるみたいだね。」
妖艶に微笑むと、先輩はまたさっきのほうにボタンを外し出した。私は呆気に取られて動けない。一体何が起こっているの?
「僕はね、君がどうしてあんなに具合が悪そうなのか、考えてみたんだ。」
「はぁ。」
「上杉さんは、サボテンを見るまでは元気だったんだよ。」
「はぁ。」
段々と話が核心に迫っていく。私は自分の気持ちの答えを知らないのに、彼が知っているというのは可笑しい話だ。
「…僕がサボテンの話を楽しそうに言ったから、君は具合が悪くなった。」
「はぁ?」
「…つまり、上杉さんは…。」
ついに明かされるのだろうか、私の心に刺さるサボテンの棘の正体が。
「サボテンに、嫉妬してくれていたんだね。」
間が空いた。先輩の言葉全てを整理する。私は、先輩がサボテンを大好きな様子を見て、【サボテン】に嫉妬した…、ってこと?あの『ちくちく』は、本当は『むかむか』だったの?
「…。そうなんですか?」
「うん。そう。」
“だからね”と先輩は私の頬を撫でながら言う。
「智香を、安心させてあげようと思って。」
先輩は、私の下着に手をかけた。いつの間にこんなに服を剥かれていたのだろう?先輩はやっぱり色んな意味で凄い。
「僕は、誰よりも何よりも君が愛しくて仕方が無いんだよ。」
それを解ってほしい、と先輩は辛そうに言った。その彼の言葉で私は気づいた。サボテンに嫉妬していて、先輩がどれだけ私を愛していてくれたのかを見過ごしていたのだ。
「すみませんでした。先輩のことが大好きだから、きっと私、先輩に愛されるサボテンになりたいって…嫉妬してたんです。今、先輩に言われて解りました。」
「君がサボテンになったら、僕はこうして君を愛せないよ。」
彼は私の首筋に、小さく紅い印を残した。それは、きっと彼なりの愛の印。
「そうですね。」
えへへ、と笑って私は先輩の背に手をかけた。ゆっくりと先輩が私の体に顔を埋めた。
「…んっっ」
唇を噛み締めて、甘い声をひた隠す。吐息に上手くそれを混ぜあわせる。
「声、殺さないで。」
先輩の熱い声が耳元で聞こえた。途端、びくっと体が跳ねる。背中が弓なりにしなった。
「ひゃぁう…っ」
スカートを捲られて、太股に指が滑っていく。くすぐったくて仕方がない。
まるで彼との行為はLSDみたいだ。段々と理性が効かなくなっていく。段々と何処か知らない世界にトリップしていく。侵されていく。
片手でゆっくりと優しく私の胸を揉んでいって、もう片方の手で段々と秘所へと近づいていく。やっぱり器用だ。流石は天才。
「やっ…そんな…っトコ…ぉ…汚い…っっっ」
「綺麗だよ。」
私の中心に指を進めながら先輩はいけしゃあしゃあとそんなことをのたまった。
いやいや、と首を横に振っても先輩はお構いなしで指を進める。先輩の指が体を這っているだけで恥ずかしい声を出してしまいそうな気がした。
先輩がゆっくりと私の足を開いていく。その中に指を宛がって、解きほぐしていく感覚の厭らしいことと言ったら、もう。反抗する気力もなく、ただただ顔を紅くすることしか出来なかった。
「ふぁぁ…んっ…」
ゆっくりと彼の指が引き抜かれ、そして彼自身が宛がわれた。初めての鋭い痛みに私は意識が飛びそうになる。
「その内、楽になるから。力抜いててね。」
先輩は優しく私に声を掛けると、ゆっくりと律動を始めた。力を抜いていたって、痛いものは痛い。ベッドのシーツをぎゅ、と握った。最初の内はうめき声に近い声しか出なかったけれど、段々と慣れてきたのか、また甘い声が出るようになった。
「…ぁん…」
「可愛いよ。智香。」
ゆっくりと私の髪を掻き揚げて、先輩は一際大きく奥を突いた。体に電流が走った気がした。
「…せんぱ…ぃ…!!!何だ…かぁ…変…で…すっ…ぅ…!!!!」
「大丈夫。僕は此処に居るから。」
そっと私の手に手を重ね、先輩は諭すように言った。それに安心してか、私は今度こそ完全に意識を手放したのであった。
目を覚ますと、先輩が隣で眠っていた。一体何があったのか、すぐには思い出せなかったけれど、お互いが裸でいたので、暫く経って思い出した。さっきまでの全てのことを。
「先輩…。」
こそりと小さな小さな声で呼びかける。勿論先輩は寝たままだ。ちょっとだけ、調子に乗ってみようかな。
「周助。」
間を空けて…
大好きだよ。」
小さな小さなサボテンの棘が突き刺さる時は、先輩に抜いてもらうのが一番だなぁ。
そう思った、夏のある日。
END(もはや強制終了の域ですな)
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