4 日本の家族

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1ヶ月間、日本の実家へ里帰りし、
再びオーストリアに戻ってきた時の日記。
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03.10.1

昨日、日本からオーストリアに戻ってきた。

家族との別れは本当に辛かった。

自分の選んだ道だけど、
父と母にこんなに辛い思いをさせているんだと思うと、
胸が詰まる思いがした。

今回の里帰りほど
こんなに自分が家族に愛されていると感じたことはなかった。

子どもの頃、
私はなんでこんな家族に生まれたんだろうって、
自分を不幸に思っていた。

細かいことまで口うるさく干渉し、
すべて意のままにならないと気がすまない母。
優しいけれど日曜日でも家にいない仕事仕事の父。
嫌がらせばかりする兄。

家族に感謝する気持ちなんて少しもなかった。

学生の時に家を出て初めて、
家族の存在自体が心の支えであり、
自分がいかに親に頼って生きてきたか、
そして帰る場所があるってことが
どんなに幸せなことかと思った。

そして今回、
自分が一児の母になり、里帰りしてみて、
父や母がどんなに私を心配し、愛してくれていたかを感じた。
自分も親になり、視点が変わったこともあるのかもしれない。

さりげなくしてくれる一つ一つの中に、
私を思う優しさ、気遣い、温かさを感じた。

日本を発つ日、
父は仕事を休んで母と一緒に空港まで送ってくれた。
兄までもが仕事を休んで空港まで見送ると言ってくれた。
気持ちだけで十分だった。

空港に到着し、最後の別れのとき、
父も母も泣いていた。
「またおいで」
そう言って、私たちが見えなくなるまで
手を振ってくれた。

父の涙を見たのは初めてだった。

私も涙が止まらなかった。

飛行機の中で母が作ってくれたおにぎりを食べ、
そしてまた泣いた。

15時間のフライト。
一人で乗っていると死にそうに長く感じるけれど、
今回は夫もおり、そして娘の世話があるせいか、
意外と短く感じた。


オーストリアのグラーツ空港に到着すると、
屋上から手を振る義母の姿が見えた。

「ご両親との別れは辛かったでしょう」
そう言って義母は私を抱きしめた。
「夫は仕事でウィーンまで行っていて、
来週にならないと帰れないのよ、
でもあなたたちの帰りを楽しみに待っていたわ。」
そう義母は話をした。

日本とオーストリア、
どちらにも待っていてくれる家族がいる。

必ずどちらかの家族が辛い思いをする。

私が次に父と母、そして兄に会えるのはいつだろう。
再会、そして別れ、
私は日本にいる両親に、毎回、
こんなに辛い思いをさせなければならないのだろうか。

車の中からそんなことを思いながら
1ヶ月ぶりのオーストリアの景色をぼーっと眺めた。

1ヶ月前と何も変わらないオーストリアの風景。
再び、私のオーストリア生活が始まった。


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