Rikacyan

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小学生の作文(4)(4年生)

春のおとずれ

空はどんよりくもって、空気はひんやりしていた。その日、三月六日はボーイスカウトの活動で公園ハイクと自然観察の日だ。活動場所は二駅となりの葛西りん海公園だ。広い園内を「自然観察ビンゴ」をやりながら歩くのがその日の活動内容である。自然観察ビンゴというのは、たて・横五ずつ、合計二十五マスに書かれた鳥や植物を見つけたらその数字に○をつけ、たて・横・ななめに五つ○がついたらビンゴというものだ。
四~五人ずつ組に分かれて出発だ。まず、みんなで一番のホトケノザをさがすことにした。ホトケノザは春の七草、名前は聞いたことがある。出発前に隊長が見せてくれたホトケノザは、くきがすぅっとのびていて、花は白ピンク。でも、かなり小さかった。いきなりむずかしそうだ。ぼくは目を皿のようにしてさがした。仲間が
「あったー。」
とさけんで、ある一か所を指さした。たしかにそこには、思っていたよりくきが細いホトケノザがあった。
 ウメはわりあいすぐ見つかった。でもオオイヌノフグリが大変そうだ。オオイヌノフグリは地面にへばりつくようにして咲いているようなとても小さな植物だ。おまけに一番の手がかりの青い花は、まだ咲いていないという。だから葉の形だけをたよりにさがさなければならない。それは、 砂場の中でアリのコンタクトレンズをさがすのと同じくらい たいへんだった。
 みんな無言でさがしている。どのくらい時間がたっただろう。だれかがふいに、
「ねぇ、これじゃないの?」
と言った。みんながそこに集まり、よく見ると…まちがいなくオオイヌノフグリだった。
 春のおとずれを知らせるカラスノエンドウやヒメオドリコソウも見つけた。ふだんはあまり意しきしていないけれど、これらはたしかに、春休みのころ見かける花だ。
 うちに帰るとすぐ、ぼくはオオイヌノフグリを苦労して見つけたことを話した。すると、
「オオイヌノフグリって何だか知ってる?」と母がたずねた。ぼくが
「知らない。」
と答えると、
「フグリっていうのはキンタマっていう意味。オオイヌノフグリっていうのは犬のキンタマのことだね。」
とニヤニヤしながら教えてくれた。(えっ、あの小さい青い花が?)と思い、たずねると、
「実の形がにてるんだって。花じゃないんだよ。お母さんも花だと思ってたんだけど。」青い花は見たことがあるけど、実は知らないなぁ。でも何だかにてなさそう。本当かなぁ。
後で知ったが、この日は「けいちつ」といって地面の下から虫が出てくる日らしい。地面の下でも春が来たのがわかるのかな。
外に出ると、朝の寒さはどこへやら、まぶしいぐらいの明るさでポカポカと気持ちのいい天気だ。(もう春だな)そう思いながら、ぼくは表にかけ出した。(了)

なお、啓蟄は3/5(前日)だったそう。


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