Wyhappyの部屋

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海外見聞録その6(サーモンを釣る)



サーモン

 朝4時半に起床、5時過ぎにホテルを出る。眠そうな顔した塩ちゃんが運転して、5時半にはテリーと約束の場所に着いた。目の前に24時間営業のドラッグストアがあったので、パンとジュースを買って朝飯とした。夜明けは5時40分だった。赤と白のツートンカラーのキャンッピングカーが広い駐車場をうねって走っているのが見えた。テリーの車だった。挨拶をした後、俺の車についてこいという。

 川までの間は普通の住宅地や線路や倉庫などがあり、本当に川があるとは思えなかった。10分ほどで目指す川に着いた。川の名前はClackaman riverといって、コロンビア川の支流になる。

 コロンビア川は巾が1.5kmもある大きな川である。昨日のデイナーでは「明日行く川は名もない小さな川だよ。」っていっていたが、見たところ70から80mの巾があり、石狩川なみの川であった。船着き場でテリーが船頭と交渉している。カードが使えるという話であったが、キャシュにしてくれといわれているらしい。テリーは昼過ぎまでになんとかする、と言い残し帰っていった。てっきりテリーも釣りをすると思っていたので、少し不安になった。

 昨日までの天気と違い、空は曇っており、温度は70Fという(摂氏で16―17度位)。ボートは4人乗りで、エンジンを2つ積んでいる。シートが水に濡れて冷たかった。とりあえず自己紹介も無しでポイントに向けて出港した。朝の空気は冷たかったが、見える風景は奇麗で、非常に気持ちの良い船出であった。写真を撮る。

 彼の名前はガイ。(テリーが「Hey!Guy.」と呼んでいたので、きっとそうだと1日中思っていた)。仲間を呼ぶ愛称みたいなものと思っていたら、実はテリーは初対面で釣り仲間に紹介されたらしい。俺はずーとガイと呼んでいたが、実はガイは愛称ではなく野郎とかヤツとかいう意味だったらしい。それで始めは気難しい顔をしていたのか?

 ポイントへきて、彼は竿を3本用意した。1本づつ我々に渡し、残った1本を最初はどっちがやる?と聞いて来た。初心者ということもあって、塩ちゃんが譲ってくれた。『そうか、エグゼブテイブが最初にやるもんだからな。』といった。アメリカではそうなっているらしい。ボートは大きなエンジンを止め小さなエンジンで、川の流れに少し抵抗して上流から下流へ流していく。川の流れはかなり早く、しかも町から離れていないにもかかわらず、きれいだった。

 竿を入れてから30分もしないうちに、ヒットしたらしい。ガイは英語で怒鳴りはじめた。何を言ってるのかわからない。塩ちゃんが、2本のリールを早く巻けといってるという。サーモンは水中で暴れるため、糸が絡まるらしい。大物がかかっている真ん中の1本を渡された。かなりの手応えを感じた。一生懸命リールを巻いた。浮きが見える状態になって、その下に大きなサーモンがみえた。ガイはタモを用意し、船に近づいたサーモンをすくった。

 サーモンは10分位で上がった。長さは75cm位で重さは18ポンド(約8kg)あった。ものすごく感動した。しばらくは手に感触が残った。フィッシングがスポーツだという実感を持った。周りには5―6のボートが出ていたが、今日のこの川での最初の釣果は俺だった。ガイは最初ということもあって、気をよくしたようだ。彼は『今日は2匹づつ釣らせるぞ。』と張り切っていた。

 実はその後4時間の間、誰も釣れなかった。10時半頃ガイがランチにするという。リールを巻いて上流の方へ移動した。川の流れが早いため、イカリを降ろす。すぐに後ろから、ジョボジョボという音がした。振り向くとガイがボートの縁から川に向かって小便をしていた。川で手を洗ってから、クーラーボックスを取りだし、サンドイッチを作りはじめた。パンにバターを塗ってハムをはさむ。『レタスは?トマトは?マヨネーズは?キューカンバンは?マスタードは?』ときいてくる。T社の食堂のおばさんと同じである。多少衛生上に問題があったかもしれないが、このサンドイッチは旨かった。

 ランチの間はルアーを川に流していた。先ほどの餌は、生きたエビを使いさらに、イクラを真っ赤に染めて特製のパウダー(彼はマジックパウダーと言っていた。)でまぶしてエビの下に使っていた。

 朝の天候とは違って、晴天で気温も随分上がって来た。ガイはサングラスをつけ、日焼け止めクリームを塗りはじめた。彼らの色素が弱いため必要なものらしい。(実はそれでも2時間後には彼の顔は真っ赤に日焼けしていた)食事が終わり、先ほどのポイントに移動した。スタンバイして10分程で、ヒットしたようだ。時間は11時であった。今度は塩ちゃんがあげる。先ほどのことで、コツは分かっている。手際良く2匹目が釣れた。

 1匹目より少し大きく20ポンド(約9kg)あった。これで、塩ちゃんもつれて125$を払った価値ができたなと思っていたら、すぐにまたヒットした。これが、本日の大物で、リールを巻いても巻いても持っていかれ、ちっとも寄ってこない。ガイが『巻く時は竿を立てて、寄せる時はゆっくりやるんだ。』と言ってる。少しづつコツが分かってくると、『よし、うまいぞ。その調子だ。』とおだてて言う。格闘すること約15分、やっと暴れん坊をしとめた。腕がしびれていた。長さは90cm位で重さは22ポンド(約10kg)あった。それにしても、大きい。それから、1時間ほど釣っていたが、十分楽しんだし、明日の帰国の準備があるからといって、止めることにした。ガイはとても残念そうだった。

 「このサーモンを持っていかないのか?」と何度も聞かれたが、いらないと答えた。(だいたい、持っていってどうするんだ。調理する道具もないし…)と思っていたら、俺んちにこないか?という。何といういい奴なんだ!ボートが船着き場について、ガイがサーモンをばらした。きれいなピンク色の身であった。「本当にこのサーモンを持っていかないのか?」と言ってたちょうどその時、テリーが戻って来た。彼はガイと話しながら、お金をキャシュで払っていた。そして、サーモンはテリーが持っていくという。

 塩ちゃんが事情を確認したところ、Ericが現金で払ってくれたらしい。てっきり、テリーが立て替えて、後でカードで払うのかと思っていた。サーモンをテリーの車にのせて、礼を言った。テリーは食事に誘ってくれたが、帰国の準備があるといって、丁重にお断りした。(多分…)

 公園にあるトイレで手を洗い、川を後にした。
朝の6時半から昼の1時半まで3人で色々な話をした。(もっとも、あの塩ちゃんですら、30%程度しか理解できなかったというから、ほとんどが分からなかったが…)でも、腹をかかえて笑ったり、感心したり多分通じていたんだと思う。ガイの面白い話は次に。


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