旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪冒険者たち≫

私の大好きな作品.≪冒険者たち≫　　何度観た事だろうか？

私の大好きな、そしてアラン.ドロンﾝの作品のなかでも
一番好きな作品.

それは　　≪冒険者たち≫である.

今、この≪冒険者たち≫が若者の間で人気だそうだが、
嬉しい！

何度観ても、観終わってからキューンと胸が熱くなり
そしてまた観たくなるのである。

青春への鎮魂歌ーーレクイエム.
三人の登場人物がとても純粋でおおらかで
友情と淡い恋心と入り混じった中
冒険に向かって一体となり、そしてお互いを思いやる
あこがれの関係なのだ。

スター、若きドロンが先輩のリノ.バンチェラをたてて
１歩下がったところで控えめに演じているところが
私は大好きなのだ。

少年のような心と冒険心を持つ、兄弟以上に信頼しあった
仲の良い男二人に、これも素直なジョアンナ.シムカスが
二人の間に彼らのマドンナ、アイドルとして加わり、
それは男二人の淡い恋心となる.
二人はお互いの心がわかるから決して口には出さないが
二人にとっての夢となっていくのである。

　　　ストーリー
マニュ（アラン.ドロン）はパリの郊外に住むある飛行クラブの
セスナ機のパイロットだ.
ハンサムだが命知らずの凄腕、
冒険がなにより好きな若者である。

ロラン（リノ.バンチェラ）はもとカーレーサーで今は
引退して、レース．カー開発に熱中している中年男。

そこに女性彫刻家のレテイシア（ジョアンナ.シムカス）が
スクラップをわけてもらいに来たことで三人は息投合する。
レテイシアも冒険熱に燃える性質だったのだ。

マニュとロランは兄弟以上に仲が良く信頼し合っている。
凱旋門を低空飛行で飛べば２５００万フランが入るという
冒険を引き受けた二人であったが
これは飛行クラブの生徒のいたずらで結局飛行は失敗に終わり
飛行免許を取り上げられたマニュ。

ロランもカー制作の実験が上手く行かずくさっていた。
レテイシアも彫刻の個展が不評で二人のところへ
来て泣きじゃくる。
たまたまいたずらをした中年の男たちをコテンパンにやっつけた
二人にコンゴの海底に沈むお宝の話をもらしたのは
他ならぬそのいたずら男だった。

落ち込むレテイシアに旅にでも出て心を癒すさ..と
二人はお宝探しの冒険に彼女を連れて行くことにした。

コンゴから旧式のスクーナー船に乗って出かけたものの

海は広い。
三人はセーリング生活をエンジョイしている。

まるで子供の遠足のようにはしゃぐ三人。
レテイシアにとって、
二人はレテイシアを労わるオヤジﾞと兄貴のような存在に見える。

そう、ロランとマニュにとってこの果てしない海でのお宝探しが
続くのもレテイシアがいるからかもしれない.

次第にレテイシアに心を奪われていく二人だが決して
口にも態度にも出さない。

しかしロランは二人きりの時にレテイシアに尋ねる・・・
”お金が入ったら何に使う？”と.
レテイシアは”海に浮かぶ孤島。といってももと要塞だった所。
そこをアトリエに改造して創作をして暮すわ。
ロラン！あなたと住みたい！”と呟くのであった。

ものをコツコツと作るロランに彫刻家である彼女が魅かれたのは
当然かもしれない。

同じことをマニュも尋ねた.そして”僕も一緒に住みたい”という
マニュの言葉にレテイシアの答えは”いいわよ、三人の家だから”

マニュはこの時、レテイシアがロランに魅かれていると悟った
のかもしれない。

そうして、ある日ボロ服を来た男が泳いでこの船に乗り込んできた。

コンゴ動乱の際に
お宝ごとこの海に沈んだ金持ちを運んだパイロットは自分だ．

飛行機が墜落して自分は助かったが墜落した場所に印をつけた
ので案内するという.

お宝は４等分ということで。

結局見付けた！日本円にして５億円.
しかしこの宝を狙っているｷﾞｬﾝｸﾞたちが押しかけてきて
銃撃戦となりレテイシアは命を落とす。

悲しみに暮れる二人はレテイシアに鉛を持たせ、潜水服に
身を包ませ海底に二人で葬るのだった。

それからのロランはレテイシアの思い出にすがって生きるだけだ。
二人は彼女の故郷にお金を持って訪ねる。

たった一人の肉親、従弟という少年に渡す手続きを終えると
少年は僕のお宝も見せてあげると指を指した。

そこは海に浮かぶ要塞.
レテイシアが住もうと夢見ていたまさにあの孤島であった。

案内されたその要塞にはまだ武器弾薬が大量に残っていた。
ここに残る決心をしたロラン。

つらさが残るマニュはパリへと帰っていく。
しかし、ﾛﾗﾝと一緒にいてこそ生きている感触があるマニュにとって
一人はつらく、ロランの元に戻ってくるが
ギャングはまだ諦めていない.

要塞をホテルに改造してレストランを一番上に作り．．．と
もう、この要塞を買い取っていたロラン。

異存は無いマニュは喜び、一緒にやる決心をして
喜び合っている暇もなく
ｷﾞｬﾝｸﾞたちは襲ってきた。

またもや銃撃戦になりマニュは敵の弾に倒れた。
ロランはマニュを抱き起こして彼に言う。
”レテイシアが何て言っていたと思うマニュ。お前と
暮したいとさ！”

マニュはにこっと笑って”嘘つきめ！”
といって息絶えた.

手榴弾で敵を全部やっつけたもののレテイシアもマニュも
いなくなったロランには絶望が残るだけだ.
中年男の青春.
若者の青春.
ﾏﾄﾞﾝﾅの青春.

それぞれが夢を見ながら死んでいった。
ロランはこの先何を生き甲斐に生きていくのだろう。

何度観ても、

涙が溢れて止まらない映画です。

人生の夢を冒険に賭けた二人の男が清純な乙女の愛を清く
譲り合う、血燃ゆる豪快なロマンの佳作です.

３５，６歳？のロベール.アンリコ監督.
フランソワ.ド.ルベーの口笛による主題曲が
全編に流れる。良いメロデイーｰでしたね。
１９６７年度作品．

我々が心に抱きつつも実現できない夢を見せてくれる。
リノ.バンチェラも最高に良いよ。
でもなんたってこの作品のドロンさまは
一生忘れないでしょう.

是非、是非、是非観て頂きたいわ。

実を申しますと
ヤンチャだけど、少年のような心のアラン.ドロンのこの役に参っちゃいましてね。
それ以来、
当時、
明けても暮れてもドロン様様だったんです。
隠れドロンフアンだったのです.

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