旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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≪ブーベの恋人≫


≪ブーベの恋人≫

やさしい女心を描く≪ブーベの恋人≫ 6月11日(水)

ジョージ.チャキリスはダンスシーンでこそ生き生きとする
役者だ!と思ったのは1962年度の作品
≪ダイアモンド.ヘッド≫を観た時であった。

クールな医者の役で、初恋の人を思いつづけ、
人種差別に反発して寡黙を通すちょっとニヒルな役であった。

しかしウエストサイドストーリーのベルナルド役が
あまりに強烈でこの役は当時不評であった。

ウエストサイド...で身につけた紫のスーツは当時かなり
話題になったものでした.

しかし、その2年後にイタリアで撮った作品は
心に残る佳品であった.

あの風貌からして明るい役は似合わないから
今日紹介する≪ブーベの恋人≫はパルチザンの一員という
虐げられた暗くて、内に秘めた闘志や情熱といったものを
持った、ブーベの役は彼にうってつけであった。

わたしは気が多いから観た映画の男優をすぐに好きになるという
浮気もので、チャキリスもこのブーベを観てから
もっと好きになった。

C.Cことクラウデイア.カルデイナーレも
日本では男性にも女性にも人気のあった嫌味の無い
女優でわたしも好きです。

この映画も第2次世界大戦末期の戦時下を背景にした
哀しい物語です.


ストーリー

マーラは今日も白いお気に入りのスカーフを首に巻いて
刑務所にいる恋人ブーベに面会に通っている。
今日からずーっと14年間ここへ通い続ける決心をしたのだ.

恋人ブーベは何故刑務所に入ったか、話は過去にさかのぼる。

二人が初めて合ったのは北イタリアのある町の
彼女の家であった.
時は第2次世界大戦末期のことである.
マーラの兄の死をブーベが報せに来たときであった。

兄もブーベもバルチザン゙ンだった.
バルチザンーーー
労働者や農民などで組織された非政府軍のようなものかな.

初めて会ったふたりは強く心引かれるものがあった.

二人はそれから手紙のやり取りをはじめ、
結婚も考えるようになった。

冬になってブーベは突然彼女の家にやってきて彼女の父に
結婚の許しを乞うとすぐに帰って行った。

なんの相談もなく勝手なブーベのやり方に腹立たしくもあったが
内心嬉しくもあった.

数ヶ月経ってブーベはまたうちへやってきた。
しかし、今度は憲兵に追われる身であった.

バルチザンの仲間の一人が憲兵に殺されたことで頭に血が上り、
憲兵の息子を射殺してしまい、追われていたのだ.
二人は相談して憲兵の手を逃れて、ブーベの故郷へと向かった。

旅の途中で、以前から欲しくてたまらなかった白い革靴を
買ってもらい、新生活への夢を膨らませるマーラであった.

しかしブーベのうちへ着いた途端、その夢は打ち砕かれた。

貧しい家、冷たい家族の視線、
そして憲兵の追っ手がやってくるのも時間の問題だ.

二人は町外れの工場の廃墟に身を隠し、息を潜めた。

その夜はじめて不安な心を癒すように二人はお互いの肌を
温めあった.

そしてブーベはひとり外国へと逃れていった。

彼女は家に戻り町の印刷工場に勤めるようになった。
そこで知り合った、穏やかで真面目な青年から求婚され、
彼女の心は揺らいだ。

そんな時、ブーベがユーゴから送還され、憲兵の息子殺しで
裁判にかけられるということをマーラは知った。

マーラも証言台に立ち、そしてブーベに
14年の刑が言い渡された.
マーラはその時初めて心底思った。
自分はブーベの恋人なのだと.

そしていつまでも彼の帰りを待とうと心に誓うのであった。

どこの国の若者に限らず戦争と貧困の嵐の犠牲となっていた時代。
きびしいイタリアの時代を背景にしたささやかな一市民の上に
起こったドラマを可憐に描いた心に染みる佳品である.
やさしく甘美な音楽は大ヒットした.

今でも口ずさめます。
≪鉄道員≫や≪刑事≫のサントラが大ヒットしたあの
カルロ.ルステイケリがまたまたすばらしいメロデイーを
かっ飛ばしました。

なによりひたむきでありながら、そんなささやかな恋でさえ
成就することが困難な時代.

ひたむきなC.Cがとっても可憐で美しかった。

制作  伊  1964年度
監督   ルイジ.コメンテイーニ
出演   ジョージ.チャキリス/クラウデイア.カルデイナーレ




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