旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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ダニエル.ダリューとE・バーグマン


    2・イングリット・バーグマン≪カサブランカ≫

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1.ダニエル・ダリューの≪フランス式十戒≫


今夜はフランスのダニエル.ダリューの登場。

猫も杓子も、ダニエル.ダリュー.という時期があったほど
美しく、魅力的だったという彼女。

残念な事にわたしは、彼女が中年になってからの
作品しか観ていないのである。

正確に言えばスタンダール原作の≪赤と黒≫は観ているのだが
なにせ40年前に一度見たきり。
原作を読んでいるのでストーリーは分るものの
画像の記憶が蘇ってこないというのが本当のところです。

ずっと観たい観たいと思っている作品は
   シャルル.ボワイエとの共演の≪うたかたの恋≫
なのであうるが、いまだに観る機会がない。
1957年度作の≪自殺への契約書≫という作品を
過去に、なでしこでも取上げましたが、
これもすでに40歳。これはかろうじて主役でしたが、
その後の作品は、

彼女が45,6歳の頃の≪フランス式十戒≫、
≪ロシュホールの恋人達≫、≪ペルーの鳥≫と
すでに脇役に回っているのです。


≪うたかたの恋≫は19歳、
ジェラール.フィリップとの共演の≪赤と黒≫が27歳
≪輪舞≫33歳、や、≪チャタレイ夫人の恋人≫37歳など
フランス式恋愛ものの一連の作品に出演した
メロドラマ女優なのである。

だが中年になってからの彼女なのに
その魅力とフランスのエレガントマなダム然とした容色は
いかしこも衰えていない魅力にあふれていました。

これぞフランスマダムの美しさ、
あんなふうに年をとりたいと思うほど
良い年の取り方でした。

1917年ボルドー生まれ。両親がすぐにパリへと移り住んだので
殆どパリ生まれと言ってよい。

1931年に、コンセール.バトワールにて、
16歳でバイオリンを習い始めるが、
すぐに映画デビューしてしまう。

1936年の≪うたかたの恋≫で類まれなる美貌で世界中のファンを
うならせフランス映画界を代表する美人スターとして活躍を
始める。第二次大戦中は映画界から遠のくが
戦後カムバック。息の長い活躍をした。

中年の彼女についてしか語れませんが、

上品さとモダンさを兼ね備えた素敵な女優だと憧れを持っています。

1962年度作品≪フランス式十戒≫はモーゼの十戒を
フランス式の解釈でジュリアン.デヴィヴィエ監督で8話からなる
オムニバス形式で描いた作品である。

皮肉と風刺をたっぷりと盛り込んだその作品は
その当時のフランスを代表する絢爛豪華なスターたちの
8つの小品を繋いだものである。

ダニエルの登場は
...なんじ母を敬うべし、なんじ偽証するなかれ...
  という項である。

彼女は6話目に登場するのだが、
アラン.ドロン27歳、役の上では23歳の産みの親として登場。

わたしは彼女が主役として活躍した時期の作品は
見ていないけれども、彼女の戦前の活躍と戦後すぐの
活躍においてどうしても省く事の出来ない女優さんです。

いずれ、必ず見ようと思っています。

で今日は、アラン様と共演という事もあって、
この≪フランス式十戒≫の簡単なストーリーを紹介します。


23歳の医学生、ピエールは学校から帰ると小言ばかりを言う母にうんざりしている。
母はちょっとしたレストランを一人で切り盛りしていて、
いつも気が立っているのだ。
父はいるというだけの目立たない存在である。
父にもがみがみ、自分にもがみがみ言う母にとうとう
ピエールは父にどうしてああなんだ?と詰め寄った。

ピエールは本当の母親ではないのではないかとぶちまけたところ
なんと父はアレはお前の本当の母ではないという。
お前の母は名女優のクラリス.アルダンス(ダニエル.ダリュー)だと
告げられた。
ショックを受けたピエールだが、パリまで彼は母に会いに出かける。

楽屋を訪れるとクラリスはピエールをファンの男の子だと思い、
”ハンサムな坊やね”と首に手を廻した。

やっとの事で”おかあさん!”と言うことが出来たピエールに
彼女は”まあ!ピエール、小さい時に会ったきりだけど
こんなに大きくなって!、早く言えばいいのに”とピエールを
抱きしめた。
急ぎ、近況を話し合った二人だが、
”今夜食事をしましょう”と言ったばかりの母は今夜も
明日の晩も、あらあら予定でいっぱいだわという。

父と母のことを聞き出そうとしたがどうも母の言葉によると
父親はあの人ではないという。

一日に二度もショックを受けたピエールは結局、今の
両親の元に帰るしかなかった。

帰りの遅いピエールを心配して家の中を出たり入ったりして落ち着かない
ピエールの両親。

やがて帰ってきた息子に父は優しく抱き寄せ、母は
いつものように”どこへ行っていたの!!”と小言風ではあったが
泣きそうな顔でピエールを迎えた。
そして熱い手料理を皿に盛って出すのだった。

そんな両親を見てピエールはやっぱり自分の両親は
この二人だとぬくもりを感じずにはいられないのだった。

”母さんも座ってお食べよ”というピエールの顔は
幸せに満ちていた。


なんじ母をうやまうべし。。。。。!!

さしずめ日本であれば、これほどの親孝行息子はいないだろうと
持ってくる映画になるだろうが、
デヴィヴィエの手にかかるといかにもフランスらしい小話になってしまう。
人間臭いデヴィヴィエお得意の風刺タッチになるのですね。

一話から八話までそれぞれ話としては面白く作られています。

この作品のダニエルは45歳ですがその上品な色香と
センスの良いパリモードでうっとり。
容姿と着こなしはフランス随一だと思います。

まさに女性が憧れるタイプですね。
フランスの美人はとにかく愛らしい美人が多いが、
この人の美しさは格別ですね。

≪うたかたの恋≫は心中ものですが、ぜひ観たい作品です。
絶対に観て、また紹介しますね。
どうしても避けられない女優さんなので
この作品でご勘弁くださいませ。

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2.イングリッド・バーグマン  ≪カサブランカ≫


ここらで、べティ.デイヴィスとジョン.クロフォードに
お出まし願わねばならないのですが、

クロフォードの作品、≪大砂塵≫を紹介したいので、
明日に持ち込みまして、

そろそろ登場してくるイングリット.バーグマンを先に取上げます。

バーグマン作品といえば≪カサブランカ≫、

≪カサブランカ≫といえばバーグマンと言うくらいで、

この作品は旧い映画のファンならもうみなさま
ご覧になっているでしょう。

バーグマン・・・
1915年ストックホルム生まれ。
彼女も北欧美女ですよねえ。

父は写真家でもあり、画家でもあったそうだが
彼女が幼いときに両親とも亡くしている。

スエーデンの王立演劇学校卒業後、
1934年、≪ムンク.ブローの伯爵≫で映画デビューと
いうことである。

この作品、実はビデオを持っていながら、
奥に埋もれていて、いまだ観ていませんでした。
もったいない事を。。。。

この作品がセルズニックの秘書に認められて、
ハリウッド映画、≪別離≫で注目を浴びる。

1939年≪ガス燈≫でアカデミー主演女優賞獲得。

この作品もなでしこで紹介済みですので、
ページ一覧でどうぞ。。。

ロベルト.ロッセリーニの≪無防備都市≫、
≪戦火のかなた≫に感銘を
受けて、
夫と子供を捨てて、
イタリアの彼の許に走ったというエピソードも
過去に書きましたね。

彼の作品に何本か出演するも不評で、
6年後ハリウッド復帰を許されて、
≪追想≫で二度目のオスカーを手中に。
1982年、67歳で死去するまで、
つまり、死の直前まで演技を続けたひとである。

遺作、ベルイマンの≪秋のソナタ≫もいずれ紹介したいですね。

カサブランカがあまりに有名ですが、上記の二作のほかに

ゲーリー・クーパーと共演の≪誰が為に鐘は鳴る≫、
ヒッチコックの≪汚名≫、
≪ジャンヌ.ダーク≫、があり、

≪凱旋門≫、≪さよならをもう一度≫は
なでしこでも紹介しました。

そうすると、やはり、
  ≪カサブランカ≫を取上げることになりますか。

ストーリーは簡単にしますね。

1940年、
モロッコの首都、カサブランカはフランス領でありながらも
ドイツが占領の影を落としつつあった。

危険を承知で、
反ナチの運動家たちがアメリカへの亡命を狙って
多くの欧州人がここへ逃げ延びてきていた。

反ナチストの大物、ヴィクター.ラズロも、
妻イルザ(バーグマン)とともに
米国への亡命を目的にカサブランカに潜伏していた。

この街で
「カフェ.アメリカン」を経営するリック(ハンフリー.ボガード)という人物がいた。

この街の影のボス的存在のリックに会いに
ラズロが妻とやってきた。

アメリカへ行く為の旅券を手配してもらおうと。

しかし、リックはラズロの妻を見てハッとした。

リックとイルザはかつてパリ脱出を
戦火の中で誓い合った恋人同士であった。

二人はじっと見つめあい、
昔日の想いが蘇り、心が騒ぐのであった。

しかし、ゲシュタポはすでにラズロをマークしていた。
ゲシュタポのストラッサー大佐(コンラート.ファイト)は
警察署長ルノーに
ラズロを追わせていた。

時間もなく、切羽詰ったラズロは暗黒街のボスに
自分の旅券だけを何とか工面できた。

イルザをおいて逃げようというように。

二人の気配からラズロは何かがあると思い、
危険な亡命に妻イルザを伴うよりも
リックに託そうと思ったのだろう.。

それと知ったリックは男気を出し、イルザヘの恋をあきらめ、
二人一緒に逃がしてやろうと決心。

ラズロに迫るストラッサーを射殺、
リックの上手い画策によって
二人は飛行場を後にするのだった。
警察署長ルノーはあえて、逃がしたリックも
逃れたふたりも
捕えようとはしなかった。。。。

二人を乗せた飛行機はアメリカへと旅立っていった。


まあ見所は私よりもみなさまのほうが詳しいでしょう.

リックと、イルザがパリ脱出を誓ったのにイルザが訳あって
一緒に逃げられなかった。

これは、邦画の≪愛染かつら≫が浮かびましたね。

それとデボラ.カーとケーリー.グラントの
≪めぐり逢い≫も交通事故で逢えなかった・

”そんな昔の事は覚えちゃいない”
”そんな先のことは分らない”という
ボギーの名セリフ。

この時代の映画には名セリフが多い。

それは映画の世界にまだ文学というものが、
色濃く残っていた証拠でしょうね。

男ボギーの見栄と男同士の友情。これも女性が美しいから

見栄も引き立つというもの。

バーグマンの美しさはこのときが最高であろう。

映画の帰りにコーヒーを飲みたくなる作品は
この時代の作品でこそ
様になるというもの。

画面に出てくるカフェやバーなど、
似た造りのお店を発見する楽しみもありましたよね。

そして
そのオーナーがやはりこだわりを持っているのを
知る嬉しさもありましたね。

アズ.タイム.ゴーズ.バイが流れるバーで女一人、
いや、男一人気取って

リックになり、
イルザになって酔いしれ、
帰って鏡をみて現実に戻る・・・!!

そんな話をまたコーヒーを飲みながら
論じる楽しさがありましたね。

今新しい世代は映画を見て、
そんな風に論じることが出きるのかなあ?

この作品はまさにそんな気障を気取ってみたり、
感傷に耽る類の映画ですね。

この映画で、バーグマンもボギーも素敵ですが、
わたしはあのフランス警察署長のルノーに扮した
クロード.レインズという俳優がとても好きなんです。

あくまで礼儀正しく、ナチの武官に反抗する粋な署長が。
ロンドン出身の舞台俳優でヴイヴイアン.リーの作品、
≪シーザーとクレオパトラ≫ではシーザーの大役を
演じているんですよ。≪汚名≫、≪アラビアのロレンス≫などにも
出演しています。


名場面や名セリフいっぱいありますが、
みなさまのほうが詳しいと思いますので
この辺で。。。。

明日は作品、≪大砂塵≫と
女優べティ.デイヴィスとジョン、クロフォードです。

いよいよキャサリン.ヘプバーンも登場が近づいてきて
   ワクワクです。



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