旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

衣笠貞之助監督の  ≪白鷺≫



坂東玉三郎の天主物語や、水谷八重子に代表される新派の世界。
新派ーー古くは花柳章太郎の女形や先代水谷八重子に見る
≪湯島の白梅≫≪滝の白糸≫≪明治一台女≫≪歌行燈≫など。
その、江戸の粋ときっぷ、色っぽさ、花柳界のため息をつくような
着物姿、立ち居振舞い、
そして、なぜか、結ばれない恋、恩師との義理など、
じれったいがその世界に何故魅かれたのだろう。
粋な芸者さんが舞台にたっただけではなやかになる。着物が観れる!
という気持ちが強かった。
けれど、そのうち内容も興味の中心になってきた。

今でこそ、昔スクリーンで活躍した女優さんたちが
舞台を彩るようになったが、その昔はこういう色っぽい作品は
舞台の、それも新派の独壇場だった。

その新派の世界を映画に移した作品を紹介しましょう。
大映の山本富士子で撮られた一連の作品。

彼女でなければこのスクリーンでのUPは
効果をなさなかっただろう。

確かに美しい女優さんは他に沢山居る。が、
この新派の世界を描いたとき
舞台では遠めに見るからメーキャップでごまかせるが映画となると
どうしても細かいことがクローズアップされてしまう。
だから、気品、舞による着物姿の自然な振るまい、柔らかさに加え
その美貌が条件となる。

だから、どうしても限られたのかもしれないし、
選ばれたのかもしれない。

スクリーンで観る、この世界は息を呑むほどである。
この新派の世界の映画、それも泉 鏡花の映画化作品を
山本富士子は4本ほど撮っている。
あと1本は川口松太郎作のもの.
これほどぴたりと当てはまる人はいないだろう。

作品の作られた順。

≪湯島の白梅≫♪湯島通れば思い出す、お蔦、主税の心意気♪
”別れろ切れろは芸者の時に言う言葉、
今のわたしにはいっそ死ねと言って”
という名セリフーーとわの愛を誓った二人の前に
立ちはだかる運命とは
恩師への恩義と蔦への思いの間で揺れ動く主税の心.....
モノクロではあるが、美しい映像だ。
相手役は鶴田浩二.

≪白鷺≫
日本三大悲恋小説の最高峰と謳われた作品.
カンヌ国際映画祭特別表彰、毎日映画コンクール美術賞、
色彩技術賞、ブルーリボン主演女優賞、と
たくさんの受賞に輝いた作品です。
それはもう、画面から匂ってくるような美しさです。
美貌と薄倖のヒロイン、白鷺のように美しくはかなく
散ってゆくいのち.明治末期を舞台に芸者篠の数奇な運命が
描かれます。特に最後の自刃ノシーンは最高に美しい!
相手役は川崎敬三

≪歌行燈≫これは新派の世界には違いないが、
原作が川口松太郎ということで、割愛します.

≪みだれ髪≫ーー原作はー三枚続ーという作品である。
またまた衣笠とのコンビの文芸巨編.
深川の材木問屋に何不自由なく育った夏子に振りかかる運命。
火事によって没落してしまう材木や。
若い乱暴者の板前愛吉とのひょんな出遭い。
彼女に仄かな慕情を抱き始める愛吉.
これも数奇な運命を辿る夏子をあの無法松の松五郎を思わせる、
愛吉の慕情を縦糸に、若き医学士との恋愛を横糸に
繰り広げられる夏子の哀しい物語である.
華やかな着物が哀しい。愛吉の純情さも良い.
以上四本は監督は衣笠貞之助で、
まるで富士子さんに恋しているのかとと思うほど
余す所なくキレイに、美しく撮られている.
板前の愛吉に勝 新太郎
恋人に川崎敬三


≪日本橋≫だけは、市川 崑監督である.
いやーもうそのストーリーの重量感といい、
崑さん独特のカメラの指示.様式美、UPの美しさ、
共演の淡島千影も最高に美しい時で
ライバル芸者の熱い闘いを演じている。
若尾文子が妹分の舞妓でかわいらしい。
性格の優しい清葉という芸者。
意地と気風の芸者お孝、
一人の医学士をめぐっての華麗に、激しく、哀しい闘いと、
身上をつぶすほど尽くした男に付きまとわれ、
数奇な巡りあわせとも重なって、哀しい最期を迎えるお孝。
相手役ー品川隆二
他に船越英二、柳 永二郎(新派の幹部の役者さんでした)
脚本は市川崑夫人の和田夏十氏、

衣笠とはまったく違った撮り方ではあるが、
描かれるその鏡花の世界は女性ならやはり覗いておいたほうが
身の肥やしにはなるでしょう

 ちなみにわたしの親友はミニ富士さんというあだ名を
付けられたほど感じが似ている美人だけど、
着物を着ないの。背が小さいから映えないと言って.
でも去年からずーと勧めています。
お着物は持っているのに勿体無いし、
一人でも着物人口増やそうと思って。
だいぶその気になってきています。  
今年3月で会社を辞めるので着付けからスタートです.
嬉しい!













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