旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪ステージ.ドア≫


久しぶりにハリウッドの旧い作品を紹介します。

    ≪ステージ.ドア≫
ステージ、ドア...楽屋口のことです。

ブロードウエイ...この檜舞台に立つことを志して集まる
売れない女優の卵たちの、”フットライト.クラブ”という
安下宿屋で繰り広げられる、女達の葛藤、友情と、
様々な生き方を、実感たっぷりに描いた作品。

キャサリン.ヘップバーンがスターダムにのし上がった
記念すべき作品です。
競演にフレッドアステアーとのコンビで名高い
ジンジャー.ロジャース。

歓びと悲しみ、成功と挫折、羨望と嫉妬が渦巻くショービジネスの
舞台裏を鋭い人間描写で、
監督グレゴリー.ラ.カーヴアは描いている。

フットライト.クラブという安下宿屋へ、ある日
一人の女性がやってくる。

ナイトクラブのダンサー、をしながらシーン(ロジャース)は
明日の女優を夢見ている。
彼女と相相屋となったその女性は
富豪の娘、テリー(ヘップバーン)。

シーンは、毒舌で誰かれなく、まくし立てるので揉め事が絶えない
女性だ。
ケイ(アン、ミラー)はつつましく、過去に演じた役を
再びと、毎日、売り込みに歩いているが、なかなか
スカウトしてもらえない。

シーンもケイにだけは、やさしく接している。
シーンのライバルもいる。
ナイトクラブでスポンサーをスカウトするのにいつも張り合っている女性だ。

スポンサーとは、毎日、クラブなどへ出かけていって
食事を一緒にするだけなのだが、声のかからないものにとっては、
下宿屋の毎日毎日出てくる夕食のラム肉料理に
うんざりしていることからすればうらやましい限り。

さて、シーンと同室となったテリーは
彼女に負けない口を持っている。

生きる目的を失って、女優にでもと家を出てきたのだが、
たくさんの衣装の入ったトランク、皆とは違うフアッションと
最初は反感を買うが...

弁はたっても、そこは育ちのよさ、
おおらかに、シーンの辛口にも
決して、負けてはいず、やり込めてしまう。

毎日の下宿屋(寮のような感じ)での生活を描き、
また、ショーやオーデイションの風景などを描いていく。
いつしかシーンとテリーがみんなのリーダーのようになっていく。

そんな中で、ケイが是非ともやりたかった役に、
テリーをという話が...テリーはずぶの素人だし、
夢は見ていたが、まさか自分に??

これは事情を知った彼女の父親が彼女に女優を志すことを
あきらめさせようと仕組んだことだった。
稽古をして叩き込まれても基礎の無い彼女が
現実を見て、あきらめるだろうと思った父が裏から
手を回したのだった。

いくら、稽古をしてもセリフは棒読みで
使いものになりそうにも無い。
それでも、彼女はやめる気はなさそうだ。

ケイがこの役をやりたがっていることを彼女は知らない。

この役をやるためにがんばってきたケイは
そのことを知ってもテリーを責めるでもなく、
絶望して自殺してしまった。

自殺の理由を知らないテリーであった.
彼女にしてみれば、未知の世界への挑戦だけであって、
ケイの羨望していた役を取り上げるつもりなど
毛頭無かった。

しかし、シーンはこれが許せなかった。

事情を知った、テリーは到底、舞台に立てないと
泣き崩れた。

しかし、演出家に促され、舞台に立つ。
そのセリフは亡くなったケイに語りかけていた。

稽古のときの大根とは違ったテリーがそこ、舞台に、いた..

迫真の演技であった。

それを客席から見るシーンは涙を浮かべて、
ケイへの最高の贈り物だと思い、ランダルの女優としての
スタートが成功したことを認め、心から拍手を送るのであった。

ヘプバーンとロジャースの絡みがハイライトであるが、
アン.ミラー、ルシール.ポールなど、まだ若かった彼女らの
助演も良い味を出している。

ルシール.ポール...ご存知かしら?
1960年ごろ、テレビの”ルーシーショー”という
人気喜劇番組があって、夫婦で出演していたんです。
毎週、欠かさずに観ていました。

さて、この作品のフアッションで気に入ったのは、
素敵な帽子がいっぱい登場。

キャサリン.ヘプバーンはもう、この当時からあの
叩き込むようなセリフが格好良いんですよね。

正義感、真っ正直、思いやり、ストレートな切り口。
大女優の兆しがしっかりと見えます。

いつもお茶目なダンスのうまいジンジャーが
したたかそうに見えて、孤独と、闘いながら意地を張り、
真の友情を見つける繊細な役を見事に演じています。

1937年度作品です。




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: