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2009年11月09日
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 朝、千尋が真っ赤な顔をして起きてくるから、風早は少々慌てた。

「熱を測ってください、千尋。」

 手渡された体温計を、千尋は素直に脇に挟んだ。正直、階段を下りてくるのも辛かった。足元がふわふわして地に着いた気がしない。視界はぼうっと霞んで、まばたきをしようものなら瞼を引き上げるのに容易ならぬ力がいる。

 体温計がピピッと鳴った。

 表示された温度を見て、千尋は気が遠くなるようだった。力無い声で、朝食の準備をしている風早を呼んだ。体温計の数字を見て、風早の顔も緊張した。

「やはりね。今日は学校を休んでください、千尋。」
「風早は?」
「俺も休みます。あなたを病院に連れて行かなければならないし……そんな体では昼食にも困るでしょう?」

 食べられるならちゃんと食べて、体力をつけておかないとと、風早は台所からスープを持ってきた。



 スープを、千尋はゆっくりと口に運んだ。風早が言うから飲んでいるけれど、さっぱり味がしない。
 風早が高校に、千尋の欠席と自分の欠勤の連絡をしている声が聞こえた。那岐がぶうっとふくれて登校した。くらっとしたと思ったら、大急ぎで寄ってきた風早に抱きとめられ、ベッドに運ばれた。

「俺の布団で寝ていてください。その方が目が届くから。」

 うんと頷いて、千尋は目を閉じた。頭に氷枕があてがわれた。ひんやりとした心地よさに、千尋は深い眠りに落ちていった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 千尋の病はインフルエンザだった。
 噂の、思春期には要注意な薬を処方されたので、風早はかなり不安だった。

(俺の姫に間違いはないと思うけれど。)

 飲ませれば確実に効くと評判の薬。しかし、異常な行動をとる子どももいて、目を離してくれるなと注意書きが出るような例の薬。
 風早はしばし考えて、でも、やはり飲ませることにした。
 キッチンの隣の自分の部屋で、つきっきりで居れば大丈夫。

 そして、おそるおそる、その薬を飲ませた。
 食べながらもうとうととする千尋をそっと抱き上げ、寝衣に着替えさせてベッドに入れた。
 穏やかな寝息が聞こえてくるのを確かめて、風早はベッド下にちゃぶ台を広げた。そこで仕事をするつもりだった。パソコンを広げ、何やら打ち始めた。時折目を上げて千尋の様子をうかがい、氷枕を確かめ、また、仕事を続けた。



「ただいま。」

 那岐が帰ってきた。


「眠ってます。」
「ふん。」

 預かってきたと、風早が出した課題プリントの束と千尋の友達からの見舞いの手紙をどんとテーブルに置いた。眉を顰める風早を後目にとんとんと階段を上り、ややあってまたどんどんと下りてきた。がらがらと玄関を開ける音がするから、風早は立ち上がって那岐を咎めた。

「どこへ行くんです。」
「どこでもいいだろ。あんただけにさせとくわけにはいかないんだ。」
「何をです。」
「千尋。」

 ぶっきらぼうな言い方の中に、那岐の真意を読み取って、風早は矛先を引っ込めた。
何か、口当たりのいいものでも探してこようと言うのだろう。帰りの荷物が予想外に増えて重かったから、一度荷物を置きに来たのに違いない。

「すみませんね。」

 労う言葉に、那岐は不機嫌そうな顔で応えた。ふふっと笑って風早は戸を閉めた。大急ぎで千尋の傍に戻った。
 千尋は変わらず、風早の布団でぐっすり眠っている。風早はほうっと安堵の息を吐いた。





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最終更新日  2009年11月09日 19時45分53秒
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