つららの戯言

つららの戯言

見てみたら2004上半期


作・演出:いのうえひでのり
出演:古田新太/阿部サダヲ/馬渕英里何/入江雅人/池田成志/高田聖子/橋本じゅん/粟根まこと/他

 感想 

 あ~動ける主役っていいよねぇ。アツヒロの動けるは「動いている」っていう感じなんだけれど、サダヲはちゃんと周りの流れを見ながら「動く」という感じなんだよ。あれだけ歌って踊って、殺陣もできちゃうなって驚くべき発見。もういらない、アツヒロなんて(爆)
 古ちゃんのどす黒いエロエロパワーとサダちゃんのなんだかさっぱりしたエロエロ具合にいいコントラストだなぁと思い、こういうエロエロさはジャニーズには無理よねぇと思う次第。

 今回はすごく昔っぽい、懐かしい感じの舞台。私が見始めた頃の「劇団☆新感線」っていう感じ。エッチ路線バリバリで、有名どころの歌を上手い具合にパクッて決めるところは決めるぜ!って感じの。
 でもそれじゃもう満足できない体になっているんだよねぇ。もっと面白くできるんじゃん!みたいな。成志や入江だってもっと面白いはずだしさ。

 古ちゃんと高田さんにはもう王者の貫禄すら漂う。それぞれマペット付きでその声もやっていたりして、それとの掛け合いだけで十分客を沸かせられるのだから、他の若手は立つ瀬なしだ。

 最後の決めシーン。古ちゃんvsじゅん&サダ&入江。狭いサンシャインの舞台上では派手に立ち回ることは出来ないけれど、そこは腕の見せ所、刀さばきばっちりで古ちゃん格好いい! 最近とんと刀を振り回す役がなかったから忘れていたけれどやっぱりこの人は、甲冑着て刀を振り回したら日本一の舞台俳優!ちょっと惚れ直した。久しぶりの歌声も堪能したしさ。安い場末のホストクラブのオーナーみたいな(?!)歌声にクラクラしちゃった。まだまだいけるね、安心したわ。天魔王様が待ち遠しい。この色気が染五郎に出せるはずがないのだ!!

 馬鹿100%にこれだけ金をかけるのはここぐらいのものだけれども、なかなかお馬鹿系じゃないと劇団員の純度の高い芝居が見れないのは寂しいなぁ。今度の髑髏は上手い具合に劇団員はバラけてしまっているし。いのうえ歌舞伎小さい版を是非この面子で。


 点数  5点(10点満点)中だるみ~もっと面白くなるはずなのにな



作品名 ロードオブザリング3~王の帰還~

感想

 とうとう完結したという感じ。「3」をみると「1」は人物紹介、「2」は状況説明と予告編といった趣。すべてはこの「3」の為に存在する。

 でもねぇ。すっごくはっしょっているんじゃないかなぁと思うのよ。きっとDVDで発売されるコレクターズエディションだったら1時間ぐらい長くなっているのではないかと想像されるほど。
 登場人物への思い入れができる余裕がないほどの展開に置いてけぼりにされている感じ。

 <以下ネタばれ>



 なんで最後にフロドが村をでなくてはいけないかということが理解できず。なぜフロドだけなのか?サムは家族という守るべき物ができたから村を出ることができないからなのか?旦那は「最初に出てきた、『一度冒険を味わったものは元の生活に戻ることは出来ない』ということなんじゃないの?」といいます。まぁそうなんだろうけれど・・・。
 副題が「王の帰還」という意味がよくわかった。これは指輪を捨てにいく物語と平行して、アラゴランという人間の成長の物語なのね。だから『帰還』なんだ。

 なんか最後が怒涛の展開だったためになんだかいまいち乗り切れないでいる私。
もっとうぉ~っという感動に打ちひしがれるんじゃないだろうかと思っていたのに。1,2ともに3へと続くというトキメキがあったからだろうか?完結してしまったから気持ちが乗らないのかなぁ。

 点数 5点 /10点満点中 DVDを待つことにします。

 3部作トータルで考えると8点ぐらいかなぁ。凄いもの、やっぱり。



作品名:透明人間の蒸気(ゆげ)
作・演出:野田秀樹
出演:宮沢りえ/阿部サダヲ/野田秀樹/高橋由美子/手塚とおる
   有薗芳記/大沢健/秋山奈津子/篠崎はるく/六平直政
感想:
 初演91年、夢の遊眠社での上演を野田秀樹本人の演出で再演です。野田芝居は野田本人の演出&出演でない限りは見ない主義なので、筧ちゃん&小西真奈美が一昨年に上演したものはカウント外。
 私が18歳の時の公演。悲しくも間に合わなかったあの頃。第三舞台も遊眠社も爆発的な人気を博していたころだ。群馬の田舎の高校生には遠かった東京。

 前作の「オイル」の時に野田さんは死ぬんじゃないかと思った。死期が迫っていていつもの言葉遊びでカモフラージュしている余裕がないのではないかと感じさせるような舞台だった。

 その『オイル』やその前の『パンドラの鐘』に繋がるような今回の「透明人間の蒸気」 天皇制や昭和という時代、古代の神々、そして『神』という存在 そういったものを2時間という短時間のごった煮のように詰め込んだ。
 盲目の少女と透明人間にされた詐欺師の恋 そんな簡単なあらすじでは表現できないぐらいの内容。

 宮沢りえの第一声を聞いて「あ~この声野田さん好みの声だ」と思う。小室哲也と同じで野田さんにも好きな女優の声というのがあるという話は「オイル」の時にも書いたと思うが、宮沢りえもその特徴そのものだった。幼い少女のような高い声とそれでいて安らかな涼やかな気持ちにさせる声。「声キチガイ」という深津や毬谷に比べればまだまだだけれども。なんとも耳障りのよい声。演技はいつも一緒にいる相手役が野田秀樹なので不安なく見れる。というか野田の好き勝手演技をよく受けているなぁと思うが(笑)
 サダちゃん、オバカ爆裂の新感線から180度以上真反対の野田芝居。しかも稽古期間は短かっただろうに頑張っている。少し大きい舞台を背負いきれていない感がなかったわけでもないが、きっと終わりに近づけば形になるのだはないかなぁ
 それにつけても野田秀樹。今回はよくもまぁ~というぐらいに動きまくる。今までは演出家としての役割重視なのか重要配役ではなかったのに今回は台詞も多いし重要ポスト。少し声のとおりが悪い感があったけれど最後の台詞は卑怯もの。

 2時間の内1時間半以上は言葉遊びに頭を使い、ラスト目の前に切っ先が突きつけられる幕切れ。分かりやすさなんかこれっぽちもない。「オイル」とは真反対。

 座席が悪かった。新国立劇場中ホールはボルトみたいな劇場で、舞台の奥行きがとても広く、座席は扇状というスタイル。今回はその扇の広げた一番端っこの一番後ろ。なので舞台の奥のほうでやられたら死角が生じる。ラスト駆け出してくるサダちゃんは見れなかった(泣) それでもS席かよ、主催者!

 なので、もう一度見に行きます。昨日無事定価でオークションを落とせましたので。センターブロックなので死角なしです。もう一度頭を使ってまいります。

 点数 6点(10点満点) 


作品名:ワンピース 呪われた聖剣

感想:

 広告に偽りありだよ。「ルフィーVSゾロ」って書いてあったよね。闘ったか?
 主役グループが増えつづけ現状7人。今回はその中のゾロを中心とした話にしたのだけれども、その他の6人の扱いが人数が増えてきてしまったためにとても雑。
 敵キャラも主とするもの以外はあっけなく、余計に主役グループの影が薄くなる。

 それに毎度の事ながらゲスト声優って必要なのか?今回は敵主役キャラに中村獅童、敵サブキャラにNEWSの子(名前言ってもわかんないし(笑))、ストーリーテラーとして久本が出ていたんだけれども、どれもこれも声優不適応。獅童なんかひどい有様。そんな声じゃ強くないし、哀れでもなんともないわい!アニメの声優さんの凄さを感じつつ、そんなヤツに頼まなくたって客は来るだろうと製作会社に言いたい。NEWSの子なんて、キャラの存在自体がよくわかんないよ。彼が悪いわけじゃないとは思うけれどさ。とってつけたような・・・。

 子供たち面白くなかっただろうなぁ~ と心配する。最後の勝負もなんだかよくわかんないしさぁ~ かといってオタクさん(まぁ私もその部類に入るのかもしれない)が昂揚するようなことがあるわけでもなし。なんかどっちつかづで宙ぶらりん。

 だんだん面白くなくなっていくワンピース映画版。アニメ版をながらみぐらいにしかみてないのだけれども、そっちの方は大丈夫なのだろうか?

 点数 2点/10点満点 好きなゾロの主役だけに残念でなりません。


作品名:LYNX
出演:佐藤アツヒロ 橋本さとし 伊藤ヨタロウ 佐藤誓 鈴木浩介

懐かしさにあふれた舞台。まさにスズカツ、ZAZOUSワールド炸裂。

サイバーネット、ドラック、アナザーワールド、精神世界、自己逃避・・・
そんな世界が彼が作り出す風景。

アツヒロも悪くなかった。普通の、今時の男の人を普通に演じている。
不安定なまなざしや、すべてを拒むような言葉、スズカツの世界をきちんと構築している。

さとしは・・・。ちょっと微妙。立ち姿はかっこいい。男の格好よさを演出させたら右に出るものはいないスズカツとしては、あのガタイのよさはおめがねにかなうものなんだろう。
ただねぇ。陰と陽の使いわけが、切換が甘い。その切換、エッジが効いていた芝居としては緊張感が増してよいのに。若い古ちゃんや成志でみたかった。あの2人は・・・ねぇ、やばいから(笑)

ヨタロウさんとかは、もう存在自体がスズカツワールド。彼が歩くだけで空気がよどみ、不安が増す。なくてはならない存在。お元気で何よりだ(笑)

設定に時代が追いつき、追い越してしまったんだなぁと。
昔、私が20代前半だった10年前。日本が少しずつ壊れ始めた、ほころび始めた頃の芝居。まだこんなにも不安な時代じゃなかったから、スズカツの作る「アンダーワールド」は自分とはあまり接点のない世界の景色だった。
でも今では「もしかしたらお隣さんがそうかもしれない」という環境に変わってきた。その中で見る芝居はなんだか、独特のキリキリと痛む感じやいたたまれない不安感は薄らいで、なんだか薄っぺらに感じる。

今にあう「スズカツワールド」見てみたものだ

 点数 4点/10点満点 さとしがなぁ~ 


作品名:髑髏城の七人
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり 
出演:古田新太 水野美紀 佐藤仁美/坂井真紀/橋本じゅん 
佐藤正宏/ 山本亨/ 梶原善 ほか

公演日数は少ないけれど、劇場4箇所を転々とし公演期間は1ヶ月半にも及ぶ、
今回の「髑髏城の七人」古田ヴァージョン。ファンは不安と期待を大きく膨らませて待っていました。

 7年の月日というのは残酷なもので、最初に登場した捨之助@古田新太を見たときには「あ~やっぱり 7年前のまま封印しておくべきだったのではないだろうか?」と本心、思いました。当時でも「白ムチ」と言われていた古田新太がハードな稽古の為に10kg近くの減量をしたとはいえ、やはりあのデカさ・・・。大丈夫なのかと心底心配になりました。でもそんな観客たちの不安を弾き飛ばすかのような、殺陣の連続、身軽な立ち振る舞い。
古田新太という役者を馬鹿にしておりました。あの人はどんなにつまらない舞台でも、古田新太だけみていたら絶対に面白いのです。他のシーンがダメダメだもあの人が出ていればなんとかなるのです。それが数多くの演出家に呼ばれる所以。心配なんかしたら失礼というもの。

 私が見たのが、アカドクロの初日。新感線の初日は見れたものではないというのが定説。ゲネプロ並みの仕上がりというのが当初の予想。
 役者に硬さは見られました。古ちゃんでさえ台詞をすっ飛ばしちゃいましたし(笑)でも、たたき台としてはいい仕上がりになっていると思います。舞台なんてそんなもの。お客さんの前に出し変わること何って当たり前なんです。それが面白さなんだから。

 男性陣(古田 橋本 山本 佐藤 梶原)の出来はすごくよかった。それぞれ個性的で魅力的で面白い。特に梶原、舞台久しぶりとは思えない、水得た魚っぷり。古ちゃんとの掛け合いはおかしいし、凸凹のいいコンビだ。佐藤さんのハラグロ家康もいい。笑っていても目が笑っていない感じがいい。
 古ちゃんもじゅんさんもなんだか演技が若い。そりゃ2人とも7年の歳月を経いているので上手くはなっているんだけれども、なんていうか若々しいの。

 それに引き換え女性陣(水野、坂井、佐藤)がいまいち伸びがない。
 設定的に一番面白いはずの水野がそのおいしさを生かしてない。前回のアテルイと同じレベル。色気なんだよね。女を捨てて、男として生きているが故の底に流れる『女』みたいなところが欲しい。
 坂井はその他大勢のいろまちの女に埋没しております。あれじゃあじゅんさんは惚れない。
 佐藤はなぁ・・・悪くはないんだけれど・・・華がないのよ・・・・

 いつもより殺陣の量が半端じゃなくて、見ごたえ十分。やればやるほど、きっとどんどんいい舞台になっていくような気がする。

 11月に市川染五郎で同じものが上演されます。当初私は「古ちゃん以外の捨之助は認めません!だから見ない!」と憤慨していたけれど、なんか古ちゃんの見たら「やってみれば~ 見てやってもいいよ」となんだか余裕のスタンス(笑) だってあれだけ古チャンの捨之助がよいのであれば、目くじら立てる必要もないというもの(笑) ま、私が惚れるような捨之助を作ってくださいな(爆)

 あえて今回は点数はつけません。だってこれから変わっていくだろうから。
 信じて待ちます。



髑髏城の七人 新国立劇場ヴァージョン

 2階センター最前、右、右隅、左、左隅、2列目、ほぼ中央 と いろいろな角度から見つづけた今回の「髑髏城の七人」新国立ヴァージョン
 見るたびによくなりつづける芝居を見ならがらも思い悩む日々。

 舞台全体として今回素晴らしかったのは、音響、照明、セット。
まずは音響。いつもならハードロック基調の新感線。今回は和太鼓を用いてより重厚で『和の響き』を重点においている。しかも「アカドクロ」という1曲を様々なアレンジでいろんな場面で多様している。いつものような派手さはないが、ストーリー重視の今回の芝居にはとても合っていたように思われる。

 そして照明。これは2階席の時に堪能。髑髏城内部のステンドグラスのような文様や、関東、イギリス地図の床照明。そして無界屋の門の上に浮かび上がる髑髏の月と、今回はホントに美しい照明ばかりだった。天魔王にあたる髑髏のスポット。かっこいいぃい
 そしてセット。これはたぶんびわ湖、新国立という独特の長い奥行きを持った劇場だからこそのセット。演出のいのうえさんは「(髑髏の前に上演していた)透明人間の蒸気に負けないような、奥行きを生かした演出をしたい」と話していた。
 髑髏の浮かぶ月夜の中、蘭兵衛が髑髏城に向かう場面、そして長煙管をもって現れる場面はとても美しい。奥行き&遠近法を用いて見えない無界の里の風景がみえるようだ。最後に捨之助、沙霧が去っていく場面もあの長い奥行きがあるからこそ、見せることができるわけで。

 そして役者たち

 まずは梶原善。これほど新感線に馴染むとは正直驚いた。それにまだまだ動けていることも。百人切りの場面、捨之助が敵をなぎ倒している間、刀を磨ぎならが捨之助の動きを確認し、適切なところに刀を差し出す。殺陣は動きがきまっているがやっているのはロボットじゃなくて人間。捨之助が毎回同じ場所に使っていた刀を出すわけじゃない。微妙に違うそれを受け取りながら新しい刀を差し出す。捨之助は贋鉄斎のことなど見もせずに刀を回すから、受けるほうは大変だ。
百人切りの凄さは善ちゃんの努力があってこそ。
 山本さん。残虐非道な声は相変わらず。いのししトークでかわいいさアピールでその裏側の残虐さが鮮やかになる。
 佐藤さん。逆上する家康になると台詞のとおりが悪い。雰囲気は伝わるけれどね。狸オヤジの腹黒さは相変わらず。
 仁美さん。最初よりより可愛くて、愛すべき沙霧になりました。どこかのHPで沙霧と捨之助の関係は「紅の豚」のようだと書いている人がいました。お互いに尊敬し合い、助けあい、認め合いほのかに恋心なんぞも抱いている関係。私もそう感じました。「花がない」なんて書いたびわ湖での感想でしたが、演技もより表情が豊かになり感情たっぷりです。私は好きなのは彼女が涙を腕でぐっしっと拭うところ。潔くて可愛くて捨之助が命をかけても守りたいと思う女性。最後に捨之助にじゃれつきながら去っていく姿は新感線のラストとしては1、2を争う演出だと思います。
 水野さん。前から2列目だから見れた彼女の表情。天魔王の手に堕ちた後、捨之助を切り捨てる場面。刀を抱きながら、亡き大殿に思いをはせる彼女は寂しそうな色っぽい表情。声もそのときばかりは女に戻っている。ただそれはテレビサイズの演技。果たして2階まである新国立劇場で伝わることができるのか。
 坂井さん。声大丈夫か??大阪までには元に戻るんだろうね。色気の欠片もない太夫にがっかり。太夫の時の色気とりんどうに戻ったときの男気の差が面白いだろうに。どちらも中途半端でもったいない。
 サンゴがなんだか可愛いよねぇ。7年前はなんとも思わなかったのに。最後には1人でちゃんと敵も倒せたし。

 そして古田新太

 GW中、ずっと考えていた。「勢いが落ちた」っていうこと。29日の立ち回り、演技を見ていると明らかに役者として技量が落ちていると認めざるを得なかった。びわ湖でみたときは「捨之助」を演じている彼を見ているだけで幸せだった。でも落ち着いてみてみると彼の衰えが目に付いて、モヤモヤという気持ちになり
ああいう日記を書いたのだ。
 でも、でもね、4.5日の彼は全然違うものだった。なんだったんだ??29日はと思うほど。今度の捨之助は7年前のものとはまったく別物。7年前の捨之助はスーパーマン。優しくて、強くて、モテモテで、「超人」なんだ。でも今回の捨之助は違う。彼の優しさは、自分の傷ついた過去から滲み出くるもので、彼の強さは、過去を乗り越えようとふんばっている強さ。
 昔みたいな流れるような殺陣ができないのは仕方ない。だって捨之助じゃないけれどあれから7年も経っているのだから。でもね、今回の捨之助は負けそうだけれども、辛そうだけれども、天魔王という過去の怨霊と闘うの。そうじゃないと自分は前に進めないから。「浮世の義理を三途の川に捨之助」というために。

 今回は殺陣のシーンが多いのだが、天魔王と捨之助の殺陣は明らかに違うことがわかる。

 捨之助は「地」の信長荒々しく、感情的で、動きに無駄もある。そして一緒に闘うヤツのことをよく見ている。それは天が落ちた後の彼の8年間を感じさせる。生きていくために闘ってきた彼の8年間を。いつもの古田の殺陣だと、ターンが多い。流れや見た目を重視した感じの。でも今度の捨之助場合は飛び上がったり、体全体で敵をなぎ払う場面が多い。ほんとに珍しいこと。
 それに反して天魔王は上に立つ、武将の殺陣。冷静で、無駄がなく、甘さがない。コンパクトに腕と体の回転だけでなぎ払い、切り捨てていく。
 蘭兵衛もそう。ただ蘭兵衛が哀れなのは、必ず天魔王の半歩前に立ち、いつでも攻撃態勢でいること。天魔王とともに戦い、天下を望まんとする姿勢。なのに天魔王はそんな蘭兵衛を裏切る。大殿と共に死ねなかった悲しみ、そしてまた裏切られた悲しみ・・・。なんともいたたまれない蘭丸の人生。
 それを同時に演じている古田新太という役者を「勢いが落ちた」なんていったら怒られますよね。

 まだまだ変わっていくんだろうなぁ。大阪、そして東京と・・・・。

 古ちゃんの太ももにふらふらしている場合じゃないよね。ちゃんと見ないと。見つづけないと。

 得点 6.5点/10点満点 (まだまだこんなもんじゃないよね?)


花組芝居「いろは四谷怪談」

 10年間の封印を説いての公演。 超有名「忠臣蔵」の裏物語、怪談「四谷怪談」
 大幅に演出を変えての上演。
 しかし、幸か不幸かまたまたの最前列。全然、セットとか照明とか分かりません。開演前なのに客電が当たらないほどの舞台の近さ。袖のなか丸見え(笑)
 もう少し後ろの席にしてください。S席って「そば」ってことですか(爆)

 10年前はヨワヨワ、フラフラの伊右衛門様。お岩を裏切るのも、仕方がなかったんだよ~と幽霊のお岩様に甘えちゃうぐらいの愛しいダメ男。しかし今回はまったく正反対。自らの立身出世、私利私欲の為に俺は上っていくんだよ!という伊右衛門様。ちょっとびっくり。
 舞台はよ~くできていたと思うんです。面白くないというわけではない。ただねぇ~
 カーテンコールの時に座長は「ここからが花組芝居第二期の幕開けです」って言っていたのだけれどもホントにそうなのかという感じ。
 新しくなった荒々しい伊右衛門は、花組芝居で本家歌舞伎でいうと「荒事」という男らしい、荒々しい立ち役になると必ず使われる水下さん。確かにばっちりはまっているし、座長(加納さん)と並んだときの見栄えは他の役者なんかじゃ太刀打ちできないほどだけれど、『またですか?』だ。
たくさんの白無垢を着たお岩様の霊の中であらがう伊右衛門は迫力十分、貫禄十分だ。でもさ~
 私はてっきり脚本を大幅に書き直した、演出も変えたというから、若手を起用するんだと思っていた。なのに蓋を開けてみれば配役は10年前と大幅に変わっているが、使っている役者はほぼ同じ。置き場所を変えただけ。
 座長(加納)がお岩様をやるのは仕方ない。というかそれが花組芝居だから
でもさ、もっと違う起用方法はないのかと、今後のためにも定番中の定番の「いろは四谷怪談」を選んだのならばもっと冒険をしてもいいのではないのかと。私はそう思うのよ。
 八代の大石はすごくよかったと思うのよ、嫌味で派手で、本懐遂げてくるりと振り返ると座長のお岩様という演出も八代と加納だから美しいのは分かるのさ。でも予想の範囲なんだよ。『八代ならそうだよね』って

 後はね、歌。声を大にしていいたいんだけれど、「座長が思っているほど、劇団員の歌は上手くないし、歌詞が全然聞き取れませんから」 歌舞伎調の、文語調の歌詞をちゃんと聞き取れる客がどれほどいるか。
それに前の外部公演の「OINARI」の時にも書いたかもしれないが、結構ひどいよ~団員の歌。音程うんぬんじゃなくて歌詞をちゃんと伝えられるかって別問題でしょ。15人ぐらいのキャストで3,4人しかちゃんと聞こえませんよ。
 まったく歌詞を聞き取れなくたって芝居には支障がない(?!)新感線でさえ、ちゃんとチラシを配る時に歌詞の紙がついてくるというのに、なんでパンフレットを買わないと歌詞が分からないのよ。それっておかしくない?花組さんはその歌詞が分からないと芝居が分からなくなったりするじゃない。役の心情とか、立場とかそういうのを歌っているのだからさ。配役表と歌詞は配るべきだと私は思う。

 水下さんの配役に関して違う面で思うのは、「座長の趣味はわかったけれど、それじゃダメだろう~」ってこと。花組芝居は頻繁に研究生という形で新しい座員を入れている。その傾向を見ると、桂系統のナヨっとしつつも色気のある立ち役系と潤系統の可愛らしい女形系、それと横道系統のなんでもできるお笑い系の3種類だけ。加納の代わりができるような色っぽい女形系や水下さんのような荒々しい男系の新入りがいない。選ぶ座長の趣味なのか、それともそういう人が来ないのか。新たな血を入れているのになんだか代わりばえがしないのは残念なこと。
 新感線は新しい団員は増やさないとあちらの座長は言っている。育てることよりも手っ取り早く別のところから借りてきて、新しい風を吹き込むことを選んだようだ。でもより歌舞伎色の強い花組では一朝一夕にどっかから借りてくるっていうわけにはいかない。「第二期花組芝居」を目指すのだったらやっぱり色々な種を入れるべきだと思うのだが。

 それと・・・ここのところずっと思っているのだけれども、座長はあそこに感化されすぎ、意識しすぎなのでは?劇中の歌が増えたことも、劇中の音楽のボリュームが大きくなったことも、オープニングの緞帳に浮かび上がる演目の文字も、果ては伊右衛門の衣装も・・・
あそこの影響なんじゃないかと私は思ってしまいますよ。 私がどちらも好きだから、余計にそう思うのかもしれないけれど。

 点数 5点/10点満点中 面白くないわけじゃないのよ、実際に。


作品名:名探偵コナン「銀翼の奇術師」

 さすが新社屋が出来上がったばかりの日本テレビ。最初の舞台はその新社屋のある汐留エリア。「踊る~」がお台場を舞台にするのと同じことか??

 今回は推理&謎解きものというよりは、飛行機パニック映画の様相が強い。台風、操作ミス、無線不能、等々ありがちなアクシデントを越えつつ無事に生還というパターンは王道中の王道。
 殺人事件解決に関しては「それってすげ~憶測でもの言ってないかい?」という突っ込みどころ満載だけれども(笑)

 ただそこに描かれる人間関係はわかりやすくて、奥深い。探偵と怪盗の不思議な友情や新一を待ちつづける蘭ちゃんの寂しさや、それを支える園子の友情や、寂しさを分かっていながらもホントのことが言えないコナンの辛さ。そういうものがきっちりと出ているので見ていて清々しい。
 前回は平次ちゃん、今回はキッドとそれぞれ固定ファンがいる脇キャストを上手く主キャストと絡ませて、ある水準まできっちりと作り上げているスタッフワークは素晴らしい。「いいんだよ、アニメなんて。キャラクターが出てればさ!」って思ってるかどうか分からないが、前のワンピースの脚本、絵の粗雑さに比べたら、
つっこみどころはあるにしろ、ちゃんと原作の持つ力や思いをちゃんと映画にしている感がある。
 それに「ワンピース」の映画の時に最悪だった、芸能人のお方のゲスト声優なるものがいらっしゃらないのが凄くありがたい。唯一戸田恵子さんぐらいなものだ。まぁ彼女の場合、アンパンマンだし(笑)全然問題ありましぇん。

 出来としては前のクロスロードの方が謎解き要素も面白く、画面も躍動的でよかったと思う。どうしてもキッドのハングライダーとコナンの○○の場面は緩やかすぎて。周りは暗いしねぇ。前半だるいのはそのせいかもしれない。

 得点 6点/10点満点中 結構面白かった。子どもだけに見せるのはもったいない



「髑髏城の七人」 大阪厚生年金
  2004年5月22日(土) 昼・夜の部

1輪の蘭
 それが亡き大殿、信長との縁の現れ。

 1人は共に死ぬことも出来ず、ただ自らの殻の中に閉じこもっていた女
 1人は自分の力足らずと思い、今までの過去を全て消し去ろうともがく男
 そしてもう1人は、自らが信長となり天下を取らんとする男

 その3人の思いが重なりあい、絡みあい、もつれあった物語
 それが大阪厚生年金で見た、新しい「髑髏城の七人」

 たった1つの小道具、たった一輪の蘭の花で、こんなに舞台のイメージが変わるとは。

 蘭兵衛が登場する最初のシーンから彼女の帯の根付のように、その花は登場します。クリーム色の着物ではあまり目立たないそれですが、男物の着物姿なのでそれだけで女性だという印象が強くなります。
 蘭兵衛と捨之助がツライ昔話を話すところ、蘭兵衛はその花を帯から抜き、見つめながら語りだします。まるでその花ごしに信長がいるかのように、とても寂しく、悲しい声で。
 そして天魔王に寝返った、蘭兵衛はその蘭を切り捨てた捨之助に向かって投げ捨てます。「もう私には、新しい大殿とならんとする天魔王がいる。だから大殿の思い出は必要ない」という気持ちからなのでしょうか?

 そして全ての戦いを終えた、捨之助の帯にその蘭がありました。
七人の仲間が新たな道に進むそのときに、捨之助もその蘭の花を投げ捨てます。「やっと俺も縁を断ち切れそうだ」という風に。そして捨之助は沙霧に背を向けて歩き出します。
 一人残され、捨之助を追いかけようとする沙霧は、ふとその蘭に目をとめる。彼女は気が付いたのだろうか?それがいつも蘭兵衛が身に付けていた花だということに。沙霧はその蘭の花を、天魔王の仮面に供えます。その仮面は亡き大殿の骨。
 私は思った。これで蘭兵衛はやっと大殿のところにいけると。本能寺で一緒に死ぬことが出来なかった。それから彼女はずっと死に場所を探していたのかもしれない。その心の隙間を利用したのが天魔王。そしてその新たな主人に裏切られ、死んでいった蘭兵衛。一緒に生きてきた仲間を裏切り、外道と自らを蔑みながら死んだ彼女。けれど沙霧のこの行動で、蘭兵衛は蘭丸として愛する大殿のそばにいけた。私はそう感じた。
 東京新国立のままだと蘭兵衛は救われることなく死んでいく。愛する男と一緒に死ぬこともできず、信じた男に裏切られたままで。

 女の蘭兵衛だからできる演出なのだと感じました。主君第一という男の蘭兵衛ではなく、愛する男のためという女の蘭兵衛だから見せることのできる演技。水野さんの表情もいいんだ、蘭を見つめるところ。
 それにしてもなんでこれを新国立でやらないのだよ。仕方がないから脳内で新国立ヴァージョンのラストと大阪厚生年金のラストを融合する私。長い奥行きを歩き出す捨之助。それにじゃれ付くように一緒にあるく沙霧。きっと捨之助は笑っているんだろうな。そして残された舞台上には天魔王の仮面、というよりも大殿の骨に添えられた蘭丸の花。最高じゃない。
 いのうえさんとしては長い奥行きがない舞台で、新国立とは違うラストにするにはどうしたらいいのかと考えた上の苦肉の策かもしれないが、もうちょっと早くにその演出を考え出してくれてれば(泣)
ビデオ撮影は新国立で終わっているので、映像としては残らないのじゃないだろうか・・・非常にもったいない。

 それにしても、役者たちの演技もそうとうヒートアップです。
 古田新太という役者のでかさに隠れて見落としがちですが、橋本じゅんさんも今回非常にいいですよ。7年前に比べて見劣りしない動きのよさにプラスして、今回男気パワーアップです。優しくて逞しくてまっすぐで。馬鹿だけれど、一本筋の通ったいい男なんです。まぁいつものように余裕がでてきたのかお遊びタイムが炸裂し始めましたけれども。まぁそれがじゅんさんの面白さ。
 坂井はね、もう私としては・・・どうなんでしょうか。諦めました。じゅんさんに守られる太夫なのね。って感じです。聖子さんを求めた私が馬鹿でした。

 それにしても古田は凄いなぁと。また少し痩せたみたいです。殺陣の切れは相変わらずよいです。殺陣になれたのか最後の怒涛の3連発の時の表情もとてもいいです。天魔王までの2つは鬼の形相。「俺の前に立ちはだかるヤツはたたっきる!」という感じ。怒り頂点に達しという顔です。相手にしてないんです、敵を。自分の前にくるやつをなぎ倒すという粗荒しさが顔にでていて怖いぐらい。

 私が一番好きなシーンは蘭兵衛を従えて無界屋に火を放つシーン。轟音と共に赤く燃え上がる無界の里。それに照らされながら不敵に笑みをたたえる天魔王。鳥肌が立つほど見入ってしまう。悪役古田新太好きとしてはもう真骨頂です。

 舞台が狭くなったお陰で、無界の里の奥行きがなくなったのは凄く残念でならない。髑髏城に向かう蘭兵衛がみれないのがもったいない。その代わり焼け落ちた無界の里ができました。

 得点 7点/10点満点 水野さんの演技に、じゅんさんの男らしさに そして小道具班のインディーさんに



「髑髏城の七人」 東京厚生年金会館

「所詮この世は夢幻 だったら面白い夢を見たほうが勝ちだ」

 捨乃助はそういって背中を向けます。帯につけた蘭の花を捨て、肩の上で手のひらをはためかせ、沙霧に背を向けて歩き出します。
 取り残されたのは、私だ。沙霧は家康からせしめた千両箱と大きな仕込傘を抱えて捨乃助の後をついていけるのだもの。
 私は25日間の儚くも、楽しい夢をみせてもらっていた。7年前に終わったはずの、幻を。

 大阪公演からの新演出のお陰で、蘭兵衛の女としての業が色濃くなりました。言葉の端々に、果ては振り下ろす刀の先にさえ、天と地の二人の信長登場で揺れ動く、女心が伝わります。
 自分のことを新しい名前で呼ぶ男、懐かしい人の顔で昔の名で呼ぶ男。傷ついた心のまま、殻に閉じこもっていた女は「俺が帰るまで動くな」という言葉より「私ともに天を目指そう」と強く導かれることを心のどこかで待っていたのではなかったのかと思います。あの大殿のように、力強く、己が力で切り進むそんな言葉を。
 東京公演から加わった、最後の天魔王の仮面と白い1輪の蘭の花にあたる赤々と燃え上がる炎の照明。確か、大阪ではただの白いピンスポだったはず(記憶違いならごめんなさい)
 3日の日、初めてその照明を見たときには、とても違和感がありました。
「やっと一緒になれたのだから、そんな燃え上がる炎じゃなくてもいいのではないか」と。それぞれの戦いが終わり、あちら側でゆっくりと二人だけの時間が過ごしているのだろうから。
 でも私は舞台を見ていて気づきました。天魔に見入られ無界の女や関八を殺している蘭丸はうっすら笑みを浮かべています。戦場が自分の生きる場所であるかのように。「夢見酒」に酔わされているだけの所業ではないかのように。
 仮面と蘭にあたる燃え上がる炎。戦乱の世に、女を捨ててまで愛する男のそばにいたいと思った女、戦うことでしか、その存在を示すことができなかった女ならば、その照明は間違いはないのです。
 きっと地獄で大殿とめぐり合い、天魔王でもぶん殴りにいっているでしょうよ。それが彼女の幸せ。それゆえのあの炎。

 そしてわが愛しの捨乃助(笑) 1幕と2幕では顔つきが違います。1幕の無界屋では、飄々とツライ縁でさえも笑顔で隠し、蘭兵衛との再会を楽しんでいます。そして2幕目はその笑顔さえもかき消してしまうほどの、怒りと哀しみに胸が締め付けられる。
 蘭兵衛の業が強く、鮮やかになったお陰で、天魔王の強欲、冷酷さがはっきりと浮き上がります。大殿亡霊と言い放つ自信に溢れた顔と「夢見酒」で墜ちた蘭丸に冷たい笑みを浮かべたその顔、己が欲のためならば人の血が流れようと構わない。そういったまなざし。
 天魔王が蘭丸を欲した理由、それは大殿の仮面を欲したのと同じではないのか。蘭丸の腕や知恵そういったものではなく、ただ、大殿寵愛を一身に受け、片時もあの方から離れなかった蘭丸という存在を自分のそばに置くことでより、大殿に近づける、いや織田信長になれると思ったのではないか。

 極楽に撃たれ、玉座の前に死に絶える蘭兵衛。そこに駆け寄る、捨之助。あの時と同じ。本能寺の大殿の時と。「いつも俺は遅すぎる」そうつぶやく捨之助。女が苦しむ顔、悲しむ顔は見たくない、例え女を捨てた蘭兵衛さえ守って、助けてやりたいと思っていたのに。捨之助の怒りは頂点です。
 玉座の壇上で振り向く捨之助は鬼の顔。無界屋の女たちに笑いかけていた顔とはまったく違うその顔。
 同じ役者が演じているのに、その鬼の形相はまったく違います。天魔王での冷酷無比の鬼と捨之助の赤い炎が見える鬼の顔。同じ役者が同時に悪と善を演じ分ける面白さ、それが「髑髏城の七人」の面白さに繋がります。エッジの効いた二つの違いを見せることが要。その点でいったら7年前よりも今回の方が断然上のような気がします。

 水野さんの突然の成長に影響されてか、極楽太夫の坂井さんもとても愛らしく見えます。
 蘭兵衛のように自分の気持ちに素直になることもできず、愛する人に守り、守られることさえできずにいる不自由な女と対照的に、感情を縛ることなく奔放に、命を懸けて守り守られる相手にたどり着いた太夫。少し「守られる」という度合いが強いように感じますが、でもそこらへんが今回の太夫の愛らしさ。そう感じれるようになりました。

 東京厚生年金を見ていて感じたのは、仮面の天魔王の声の演技が断然よくなったこと。演劇なので仮面をはずしたときの天魔王は二役の古ちゃんが演じていますが、仮面をして捨乃助と対峙する場面では勿論誰かが代役として天魔王を演じているわけです。川原正嗣というアクションクラブの方が演じているらしいですが、
その声の演技が格段によくなっています。新国立の時には「古ちゃんの声にエフェクトかけて録音しておけばいいんじゃない?」と思うような、天魔王の古田とのギャップがありありとしていました。しかし東京に帰ってきて見た仮面の天魔王の声に私は驚きました。声だけで感情の起伏、他を寄せ付けないような高圧的な力を感じることができます。ちょっとエフェクトの状態によって聞き取りにくいということもありましたが、それでも今回の仮面の天魔王の声の演技には魅入られるものがあります。

 殺陣はどんどんやせていく古ちゃんの体格と反比例するかのようにスピードが上がっていきます。百人切りから始まる怒涛の3連発 私は、百人切りは心配で不安で実際あまり楽しめないので好きではありません(笑)毎回呼吸困難になりそうになりながら見ているので。どちらかというと2発目の巍岩との一騎打ちの方が楽しめる。最近気づいた、自分の長物好き(笑)怒り心頭の捨乃助にとっては巍岩など目の前を飛び交うただのハエ同然。一本目の刀を巍岩の左わき腹に刺し、疎ましそうにつばを吐く。腹を刺され、感情の赴くままに振り回す鉾を虫をよけるかのように簡単に裁くその姿。「てめえなんて相手にしてる暇はねえ!」といった風。好きです、好きすぎです(笑)
 そうそう百人切りの最後の刀投げ。ちゃんとみねじゃないほうに刀を回して切っているんだよね。そんなの舞台なんだからよっぽど目を凝らしている客じゃなかったらどっちだったかなんてわからないのに。そこまでの配慮に頭が下がる。

 なんだか書けば書くほど、脳裏に書きたいシーンが蘇り、なんだか文章が収集つかなくなってくる。
 それは印象的な、愛すべき場面が多くなっていったという証拠か。

 涙こらえて、無界の女たちの遺髪に声をかけるリンドウの姿
 男気守るため、切られてもなお立ち上がろうとする関八4人の心意気
 牢から出てきた捨之助に飛びつく沙霧の愛らしさ
 「死に場所ぐれえ自分で決めら!」とやさしい笑みで振り返った兵庫
 自分で敵を倒せた嬉しそうな三五の顔
 切り捨てられて巍岩に「はい、さよおなら」と手のひら、ひらひらと小憎たらしい贋鉄斎
 敵討ちに向かおうとする沙霧を止める、蘭兵衛、兵庫のそれぞれの思い
 かまいたちを避けるため、捨之助をかばう蘭兵衛
 髑髏党のはじめての襲来にも軽口叩き合う、兵庫と捨之助
 その間を割って入る蘭兵衛 と三人三様の構える姿

 そして・・・
 「浮世の義理も昔の縁も 三途の川に捨之助だ!」と大傘構え、見栄を切る 捨之助の愛しい顔

 「この天魔王がつくる関東地獄絵図、じっくりと味わうがいい」と刀振り上げ、無界屋を火にかける極悪非道は天魔王の顔

 もう二度とこの二つの顔に会うことはできないだろうけれど、それでも私は幸せだ。また巡り合えたこと、見届けられたこと。感謝の言葉しか出てこない。

 本当に、ほんとうに幸せものだ。 この劇団の、この役者のファンで本当によかった。

 また作ってくださいね、こういうの。私がいても立ってもいられないような、そんな芝居を。いっくらでも待ってますから。

  得点 10点満点です。そりゃそうでしょ。それ以外ないです。



作品名:リリパットアーミー2 ちゃちゃちゃ~ある洋服職人の物語~
(スカイパーフェクTVにて)
作:演出 わかぎゑふ
出演:コング桑田・生田朗子・及川直紀・朝深大介・野田晋市・桂憲一 他

あらすじ

時は幕末、慶応元年。日本はすでに開国に向けて着実に歩んでいた。大阪の職人長屋を舞台に、幕末、明治と懸命に生きていく日本の職人の物語。

感想 

 昔見た、東京サンシャインボーイズの「彦馬がゆく」を思い出した。あちらは江戸の写真家、こちらは大阪の洋服の仕立て屋の物語。
 お芝居だから、坂本竜馬がやってきたり、土方歳三が五稜郭に行く前にきたりとどちらもありがちな幕末、明治の物語だけれどもそれを歴史には残らない、市井の職人の目を通すことで面白みを出している。
 半暗転にすることで、時間の流れを作り、場面転換をすることなくひとつのセットの中で30年が過ぎていくという構成。それにあわせて舞台の隅っこで実際にシャツを仕立てている。なんだかこういうの久しぶりに見たなぁと思う。
昔、自転車キンクリートとかってこんなんだったよな。というか映像ではあるけれど久しぶりに本多劇場のサイズをみた。懐かしくて、「でかいっていうのはいいこともあるけれど、そればかりじゃないよなぁ」と。小さい劇場って
「悪所通い」って雰囲気があるんだよね。役者の色気や毒気に当てられやすいからかしら。この限られた狭いスペースにいる人間だけが生で楽しめる、刹那の場所みたいな。まぁ大きくなってしまったあちらにはあちらの良さがあるにせよね。

 リリパはほとんど役者さんを存じ上げないので純粋に一役者として楽しめる。朝深さんの力強い目、心意気が気持ちよい。まぁそういう役ではあるんだけれど二本差しに対して喧嘩を売る姿にちょっとウットリ。
私はこういう役者好きみたいです、最初に見たときの三上さんみたいでした。
ああ、あれも時代ものだったなぁ~。
 花組からの客演の桂はここでも相変わらずの役どころ。柳腰の若旦那風のお兄ちゃん。でもね、派遣された場所でちゃんと自分のやらなければいけないことはわかっているようできっちり仕事をしています。花組というちょっと普通じゃない劇団に所属しているとなかなか呼ばれることはないのかもしれないが、ご自身のためにもどんどん出ていただきたい。そう思うと植本潤はほんとに奇跡的なんだな。

 初めて映像ではあるけれど、リリパをはじめてみさせていただいて「うぉ~生で見たかったなぁ」と思いました。派手ではないけれど、好きな雰囲気を持つ。最後にちくわを投げるのが恒例だそうで、ぜひ頂きに行きたい。それとコングさんと千田訓子のメインテーマ曲のジャズ風なやつ、かなり気に入りました。千田訓子の演技もとても感じよく見れたけれど、歌声もなかなか。

 そうそう、この回のゲストは新感線の粟根さん。
 徳川慶喜として登場!ま、登場だけ徳川将軍で後は普通の粟根さん(笑)
将軍のときに一応目つきが悪いのがなお可笑しいのだけれど、普段着でその目つきは違反です(爆) いつものチョッキに楽屋にあるほかの役者の私物を入れて普通に説明しているあなたに爆笑です。そしてジーパンを短パンに切られて、足首に切られたものを普通に履いたままきちんと退場するあなたに卒倒です。もうなにか悲しいことつらいことがあったらこのDVDを見ます。

 次にリリパがあったら見に行こうかなぁ。懐かしい「悪所通い」を思い出す感じで。

 得点 5点(10点満点) 映像だからよく見てるのかもしれないので低め



作品名:「ドナインシタイン博士のひみつ学会」-動物のひみつ-
出演 :川下大洋、粟根まこと、腹筋善之介、kinx's、平田敦子・カリカ
   【映像出演】後藤ひろひと、板尾創路、三上市朗、山内圭哉


 出演者それぞれが動物のひみつをそれぞれの表現方法で発表する。それが今回のひみつ学会の主旨。

 腹筋さんのパントマイム、超久々。まだこの人はこのままなんだ~と。昔は蔵ちゃんもこれだったのになぁと懐かしむ。どうぶつのひみつもピスタチオっぽくって可笑しい。
 川下&平田ペアーの発表。最後のパンダの落としでパンダ好き急上昇。いや~どこまでが芝居でどこからかそうじゃないのか分からないこの「ドナイン~」らしい2人
 カリカ・・・微妙・・・面白いのかそうじゃないのか・・・
 kinx'sはどうなんだろう。面白いんだけれど、客との距離なが~って感じ
 映像4人衆はそれぞれ可笑しい。三上さんは自分ちの愛犬2匹の自慢だし。ただの親ばか爆発だ。うぉ~あの犬ころになりたい。

 で、粟根さんだ。
 FFのTシャツに、横二本線のジャージに白衣ってそりゃ理科系の大学院生そのままだよ!といういでたち。似合いすぎて笑えない(笑)
 しかも研究発表の内容が「ゲーム動物のひみつ」

スライム


所謂、上のようなモンスターだったり、ゲーム登場する動物だったりの発表。
立て板に水、水を得た魚とはこのことかという勢いで喋り捲る。若干観客置き去りだけれど、それはそれで面白い。嬉々としてしゃべりつづける姿に「嗚呼やっぱり旦那を連れてくればよかった。旦那とさぞやいい友達になれるだろうに」なんてことを考える。私はその様子を見ていた(爆)
 鉄拳顔負け&パクリのイラストで独自の世界を1人爆走。そんな発表でした
でも一番面白かったのは、彼だと私は思う。イラストレーター、ゲーム評論家、PCオタクは伊達じゃない。

 得点 4点(10点満点中) 三上さんの犬とパンダと粟根さんのトロちゅーに


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