七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

太吉、再び納得できず




年中組では、どうやら担任の先生が、とても気に入ったらしく、とても楽しく幼稚園に通うようになりました。

今度の担任の先生は、太吉の話にちゃんと耳を傾けてくれて、納得のいく解決をしてくれるようなのです。

それで太吉は、すっかり先生を信頼し、安心して行くようになりました。

太吉は楽しいときは、楽しい、いやなときは、いやな雰囲気を出す、わかりやすい性格なので、顔つきもすっかり変わって、情緒も安定している様子がよくわかりました。

私も、2年目になると、こんなに落ち着いてくるんだなぁ、と喜んでいたのです。


ところがどっこい、年長組になった途端、またまた雲行きがあやしくなりました。

どうやら担任の先生が、太吉にとっては年中組の先生ほど、頼りにはできないらしく、また愚痴が多くなってきました。

「レンジャーごっこしてて、Tくんがめっちゃ痛くけってくるから、いやや言うても全然やめてくれへんし、先生に言うても、いっつも『後で聞くね』って言うて忘れてんねん」

「それで、Tくんと喧嘩になったら、先生、僕の話も聞かんと、いきなり怒るねんもん」

またまた、うちに帰って来れば、抗議の連続です。

その時の私は、太吉の愚痴を、そうかそうか、と同調して、発散したり、浄化してやれば、随分気持ちがすっきりするのだと言うことを知りませんでした。

それどころか、反対に、口が達者な太吉に合わせて、理屈で納得させようとしてばかりいました。

それが、教育的配慮だと思っていたのです。

たとえば、さっきの話を太吉がしても、

「先生もたくさん組には子供がいてはるから、大変やろ。せやから大人でも忘れてしまうこともあるんやで。誰でも忘れることはあるんやから、許してあげような。」とか、

「先生が怒らはったんは、そら、太吉も手ぇ出したんやから、喧嘩両成敗や。喧嘩したら理由はどうでも、どっちも悪いっていうことやで。」

など、子供にとっては、ちっとも気持ちがすっきりしないことを、わかってほしいと言わんばかりに、一生懸命話していたのです。

今なら、一緒になって、

「なんじゃそりゃ~。それはあかんやろ~!そりゃ、むかつくよな~」

と、ちょっとお下品でも、同じレベルで怒ってやるところなんですがね・・・。

そうすると、結構、いやな気分が、吐き出せるもんなのです。

大人だって、いやな事があると、友達と長電話して愚痴ったり、お酒飲んで憂さはらしたり、やっぱりなんらかの形でいやな思いを吐き出せば、次の日、また頑張ろうと思えるはずです。

子供だって、同じです。

親がしっかり話を聞いて、一緒になって腹立てて、気持ちわかるってことを伝えてあげれば、たとえ答えを出さなくても、心が楽になると思うのです。

でも、私がそうしなかったせいで、理不尽な思いを抱えてままの太吉は、とんでもない方法で登園拒否をするのでした。

<つづく>


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