七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

三吉の密かなストレス発散 その1



まずは学校の宿題と時間割がちゃんとできるようになるまで、2週間監視下に置きました。

ついていて見ていると、本当にささいなことで、意識が他に行ってしまい自分のすることに集中できないことがわかりました。

神妙に宿題を始めても、ちょっと兄が私に話しかけるとそれに気が行き、話に参加しようとして、手が止まります。

そしてストップをかけないと、そのまま話が終わったらノートを閉じて終わってしまいそうになるのです。

「おいおい、君は今何してたっけ?」

「あ...。」

これが何度も繰り返されます。

気が散らない状況でも、集中力が持続しないので、自分で余計なことをはさみます。

折れていないのに鉛筆を削りだしてみたり、消しゴムをちぎってみたり、自分から急に話しかけて休けいに持っていこうとするのです。

ドリル1ページやるのにそりゃ1時間かかるわ...てな感じでした。

そのほか宿題をやるだんになって泣き出すので、何かと聞いたら、「ドリルに直接書くか、ノートに書くか学校で聞いてなかった~」
黒板に書いたことを写して来ても、先生が言われたことを聴きのがしているのです。

クラスメートに電話して尋ねさせるとすぐ教えてもらえるのですが、これが何度か続きました。

こういうことは、今まで聞かれる立場だったのです。それが尋ねる方に回った情けなさは、本人も痛感したようで、「僕、狂ってしまってるんやなぁ」と嘆いていました。

時間割も黙って見ていると、最初は明日の曜日も確認せずに机にあるものをそのまま放り込みました。

やり直しをさせると、次は教科書も、ノートもバラバラに入れて忘れ物だらけ。

こりゃ時間割のやり方を忘れてるな、と思いましたので、もう一度入学時の説明のように「1時間目国語やったら教科書とノートとドリルを揃えて、次2時間目のをまた揃えて、みんな揃えたらランドセルに入れるんやで」

1年生の終わり頃になって、こんなことからやり直すことになるとは、と思いましたが本当にできなくなっていたので、改めて習慣にして体で覚えさせるようにしました。

2週間後、やっと監視をやめて、報告制に切り替えました。

5時になったら犬の散歩して、帰ってきたら勉強する。終わったら必ずお母さんにできた宿題と連絡帳を見せて、OKをもらうこと。

今でもそれは続けてチェックしています。

書いている文字の様子で、気持ちの落ち着き具合がわかるからです。

イライラしていると書き殴るような文字に、落ち着いてくると、だんだんきちんと書けるようになってくるもので、子供はいろんなところに心のサインを残してくれるのだなと思いました。


しかし、家でこうして夕方のひとときで、集中力を取り戻そうとしても、半日はいる学校では残念ながら状況は全く変わっていないのです。

でもこの時は、まだいやとも言わずに朝になると普通に登校していました。

ただ、小さなことですが、おかしな現象が起こっていました。

時間割を一緒にしていると、毎日筆箱の鉛筆が2本なくなっているのです。

「なんで毎日きれいに削って持っていくのに2本もなくなるの?」

「わからへん...」しつこく聞いても言いません。


誰かに取られるのか、落としてなくすのか、半信半疑でいると、ある日24本入りの色鉛筆がなくなったと空箱で持って帰ってきました。

箱の中を開けてみると、わずか2本だけ明らかにボキッと折った色鉛筆の切れ端が残っていました。

それを見て、三吉が学校で何をしていたのかピーンときました。

「三吉、もしかして自分で色鉛筆折ってた?」

「...うん。」

「筆箱の鉛筆も自分で折ってた?」

「うん..。」

「なんでそんなことしてたの?」

「あんな、先生のいうこときかへんお友達いたり、痛いことしてくるお友達いても、やり返ししたり、なんにもでけへんやろ。でも悔しいし腹立つから、そんなときに鉛筆ボキッって折ってちょっとすっきりしててん。」

なんと、24色のクーピー色鉛筆と筆箱から毎日消えていた鉛筆は、三吉のストレス発散に使われていたのでした。

でも、見つけてしまった限り、それを奨励するわけにはいかず、早速新しい色鉛筆を買ってきて、「次からは大事に使おうね」と持たせました。

鉛筆ならいざしらず、あの芯ばかりでできているクーピーペンシルを1ケース折りまくるとは、よっぽど学校でむかつくことが多いのね..と驚きましたが、担任の先生にしつこく追い掛け回すお友達に注意したと聞いたのもあったので様子をみることにしました。

しかし、自分で鉛筆を折っていたことがバレた上に、新しい色鉛筆を買ってもらって、さすがにそれを折ることができなくなった三吉が、どうやってストレスを発散するかは予測がつきませんでした。

1週間後、ドヒャーとびっくりする事件が起こりました。

<つづく>


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