月の迷宮

月の迷宮

必然・偶然


親友であった筈のカイルと
恋人であったはずのアルディラが。

まさか恋仲であったとは思ってもいなかった。

数日前の夜、
満月の綺麗な夜だった。

レックスは眠れずに、散歩に出た。
剣「ウィスタリアス」はいつでも用意できている

何も考えることなく
そう、まさかあのような光景を目にするとは思ってもいなかった…。

アルディラの姿を見つけ、かけよろうとしたその時。

横には親友がいた。

しかも接吻も。



その時、レックスは初めて自分がキレるのを感じた。


その日から、彼は周りを見る目が変わった。

笑顔は生徒だけに、感謝は同期の戦友にのみ、
楽しみは心許せる者とのみ。

カイルとは戦闘の詳細のみ
アルディラとは関係を断ち、もう数日。

そろそろ周囲もおかしいと感じ始めた。
「ネェ~センセ。」スカーレルだ。
「ん?どうした?」
「最近センセ、アルディラと話してないじゃない?」

彼には(?)信頼が出来ると思い、赤髪の孤独な青年は全てを話した。


「誰にも話してはいけない」そう締めくくったが、
スカーレルは全てを話した。
船長に、その妹に、彼に救われた少女の霊に、
召還師に、鬼の姫に、全ての人に。
勿論、アルディラにも。


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