なりぽん@厭離庵

なりぽん@厭離庵

青い壁


青い壁


今年の春の優しさは
要するに自分が壁に塗り込められているのではなく
自ら壁を築きあげたことにある
時には揺れ動くこともあるが
結局自分が続けているのは
青い壁

沼沢尽きない古代から
ピテカントロプスの非人称的存在の
復活だ

今年の春の淋しさは
要するに自分が壁に塗り込められることなく
自ら壁を築きあげざる得なかったことにある

天井だけが妙に高いその部屋で
一人蒼い顔をしている男の胸部を
切開してみると
腐乱した自由の潰瘍

俺は自由を見捨てよう
転移する前に見放そう
極大から極小へ
死装束を着て
未文化な自由の定義には
訣別しよう



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