りらっくママの日々

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2009年06月26日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記1

今日の日記2 ( 「BOSS(最終回)」の感想☆)


「アイツとボク51」



赤木くんから携帯に電話がかかってきた。
病院を移ったらしい。

「何か、今のとこより腕がいい医者がいるとかで、
そっちで手術することになってさ。」

「ふ~ん。そっか。
んじゃ、また顔見に行くよ。」

「いいよ~。オマエ子供のめんどう見なきゃいけないだろ?」

「大丈夫だって。
休みの少しの時間や、会社の帰りに少し寄るくらいはさ。」

「はは。でも、そう言ってくれると、ちょっと嬉しかったりして。」

「だろ?」

ボクはカリナに赤木くんのことを話すと、カリナが心配そうに言った。

「この前より長引いてるね。
大丈夫なのかしら?」

「うん、多分。とりあえず、どこの病院か見てくるよ。
様子も見たいし。
こないだ、出来物取ったとかで、痛がってたから。」

「うん、そうね。
あ!写真持って行ってあげるのは?マナの。」

「ボクもそう思ってた。」

ボクらの娘はマナと名づけた。
二人でいろいろ考えた末だ。
画数なんかこだわる気は無かったのに、
ネットで見たら、苦労する…とか出ると、
いいと思っていた名前が何となくつけられなくなってしまった。


週末、ようやく見舞いに行けた。
ボクがマナの写真を見せると、
赤木くんは喜んで、その写真を眺めた。
赤木くんのお母さんもいっしょになって見る。

「アオヤンに子供なんて、変な感じだな~」
と、赤木くんは言った。

「今度焼き増しして持ってくるよ。」

「いいよ、急がないで。実物退院したら、見に行くし~!」

赤木くんは嬉しそうに言った。
会社の人がローテーションで毎日来るから、
ちょっと仕事が気になってしょうがない…と言うようなことを言っていた。

あんまり毎日だと疲れちゃうかもな。
まあ、ボクはほどほどに来るから、
とボクが言うと、
それで充分だよ。
と、赤木くんは軽く笑った。

次に赤木くんの見舞いに行ったのは会社の帰りだった。
その日、赤木くんがポツリと言った。

「昨日さ、夢を見たんだよ。
家に帰れる夢。
でも、目が覚めたらベッドに寝てるんだよ。
やんなっちまった。」

ボクは何て言ったらいいかわからなくて、
言葉を探した。
何か元気づけられる言葉は無いかと…。

「でもさ、良かったじゃん。
夢の中だけでも、家に帰れて。」

するとアイツは本当に、
本当にムキになって言った。

「何言ってんだよ?
目が覚めたら、家じゃないんだぜ?!
病院なんだよ!
ベッドで動けないんだよ!
イイわけないじゃん!」

ボクは絶句してしまった。

その様子を見て、赤木くんが言った。

「もう寝るから、帰れよ。」

この態度にボクはムカついてしまい、
でも、きっと、
ボクが気に触るようなことを言ってしまったんだと思うと、
何も言えなかった。

「わかった。お大事に…。」

来てすぐにそんな態度を取られて、
ボクは何のためにココに来たのかわからなくなってしまった。

生まれたばかりの子供を風呂に入れなきゃいけないのに。
すぐに帰ってやりたいのに。
でもアイツのことが心配だから来てるのに。
でも、何もできないどころか怒らせて…

ボクは何しにココに来てるんだ?

そう思ったら、ちょっと悲しくなってきた。
ボクが病室を出ると、赤木くんのお母さんがいて、
「あら、もう帰るの?」
と声をかけてくれた。

「あ、はい。また来ます。」

ボクはちょっと涙目だったのかもしれない。
おばさんは、ちょっと心配そうな顔をしていた。

たまたまイグチくんから、
赤木くんの新しい病院に行ったか?と電話が夜にかかってきたので、
アイツは今は何だか人が変わっちゃったみたいで変なんだ、
と答えた。
いつものアイツじゃないみたいなんだよ…と。

イグチくんは、じゃあ自分も見舞いに行って様子見てくる。
と言っていた。


それで、ボクは仕事もあったし、
家のこともあったので、
何となく見舞いに行かなかった。

でも、あんなケンカみたいな気まずい別れ方をしたのが気になって、
小包をアイツの実家に送った。

アイツのライブのテープをダビングしたものと、
アイツの好きな曲のCD。


  こないだはゴメン。
  なかなか顔見に行けないけど、
  こんなもんしか送れなくてごめんな。


そんなことを書いて送った。

しばらくして、イグチくんから夜電話がかかってきた。
夕飯を食べたすぐ後だった。

「よう。行ってみた?どうだった?」

ボクは、気になっていたので、イグチくんに赤木くんのことを聞く。

「ああ。うん。
あのさ…。見てきたぞ。
でさ…」

風の音なんだろうか…
雑音がザ、ザザーと聞こえる。

「何?どうした?」

イグチくんはようやく口を開いた。
小さな声がボソボソと聞こえた。

「ガン…。
ガンなんだって…」

「え?」

ボクは聞こえたけど、何かイグチくんが冗談を言ってるんだと思っていた。
だから、笑おうとした。
とびきりの冗談なんだと思った。

カリナがボクの様子がおかしいと思ったらしく、
こっちを見ていて、目が合った。

でも、受話器の向こうで、イグチくんの嗚咽が聞こえる。
それで、ボクは冗談じゃないんだとわかる。
わかってるんだけど、
まるで恐竜みたいに頭になかなか伝わってこなくて、
納得ができない。

自分の表情が、笑い顔じゃなくなるのを感じた。

「何…え…ウソ…」

「ホントだ。
あ、悪性腫瘍だって…。
ガンって言わないけど、ガンみたいなやつだって…」

受話器の向こう側でイグチくんは泣いていた。
ボクは呆然とする。

我に返って、ボクはイグチくんに言う。

「明日、病院に行くよ…。」

「オレも行くから…」

「うん…。」

電話を切る。
涙が出てきて、顔を覆う。

「どしたの…?」

眠っているマナを抱いて、カリナが言った。
カリナは何となく、電話の会話から何か察していたらしい。
無言で、ボクの側に寄った。
ボクの肩に手を置く。

「赤木くんが…
ガンだって…」


ボクは、カリナとマナを抱き締めた。


  「青春映画は友達が必ず死ぬんだよ。
  それがセオリーだから。
  死ぬことで感動を呼ばないと。」


赤木くんがそんなことを言っていたのを思い出す。

でも、ボクはそんなことで感動なんかしたくないんだよ。

できるワケないじゃないか?

冗談じゃないよ。
なんだよ、これは一体?

自分に起こったことが受け入れられない。
感覚が麻痺した状態のままだった。


ボクは…、
アイツが帰れると思ってたんだ。
夢だけじゃなく、必ず。

必ず治るって信じてたんだよ。





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最終更新日  2010年03月27日 17時38分09秒
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