今日も良いネタ入ってるよ!

実話調査編第九話





時間が時間なので周囲に怪しまれないよう手短に防犯カメラを確認する。流石にこの防犯カメラはこのマンションの物の可能性が高いのでバラす訳にはいかず、結局動作をしているかどうかの判定のみで終わってしまった。万一マンションの物だとバツが悪いのでカメラの死角になるよう真下に身を置き、裏の配線を確認する。天井に伸びるコードの本数、設置の具合からしてどうやら見た目的には無線の物ではないようだった。数日中にあやさんに相談をしてこのマンションの管理人に聞く事にし、今日は引き上げる事にした。

正面の通りに出るとカツヤが車を隠すように先の路地に止まっていた。カツヤの車に向かいながらあけみに電話を入れてみる。

「もしもし。」

静かに出たあけみの声で、まだ一緒にいる事が分かった。

「彼女、どうだ?」

「ご苦労様です。大分落ち着いたみたいです。代わりましょうか?」

今さっき勇気を振り絞ったばかりのあやさんには、僕が今、目にしたものはとても酷だと思い、報告は書類にして明日する事にした。

「いや、落ち着いているのなら今はそのままが良い。彼女を部屋まで案内したら直ぐに戻ってきてくれ。家でカツヤと待ってるよ。」

「分かりました。何かあったら電話します。あっ、カツヤにいつもの約束忘れるなって伝えてもらえますか?それで分かると思いますので。よろしくお願いします。」

そう言ってあけみは電話を切った。

カツヤの車に着き助手席へと体を滑らせる。

「どうでしたか?」

カツヤが眉をしかめて問いかける。

「判断しきれんな ・ ・ ・ マンションの物の可能性が高いよ。」

「そうですか。今回の仕事は大分重いですね。」

そう言ってカツヤは車を走らせた。


僕とカツヤは数分間口を利かなかった。多分僕と同じでカツヤも何か考えていたに違いない。それが何なのか考えてみようかと思ったが、そんな気力もおきない程にひたすら疲れていた。

テンション上げなきゃな ・ ・ ・

そんな事を思いながらカツヤの方を振り向いたら、、思い出した。

「そうだ、あけみから伝言があったよ。」

そう言っただけなのにカツヤは、

「どうせいつもの約束忘れるな!って甲高い声上げてたんじゃないですか~?」

・ ・ ・ いつも思うがこいつはエスパーか ・ ・ ・


「ハハ、その通り。肝臓でも壊して酒でも規制されてるのか?」

自分と照らし合わせ、そう言ってみると、カツヤは目を見開いて

「えぇ~!隼人さん超能力者かなんかですか~?」って。

そういうどうしようもない事は当たるらしい ・ ・ ・

久しぶりに再開したカツヤとしょうも無い事で笑えるのが、なんだかとても嬉しかった。





家について1時間くらい経っただろうか。あけみも戻り3人で会うのは本当に久しぶりだ。明日以降の段取りを僕が纏めておく事にして打ち合わせを済ませ、久しぶりに3人で少し飲む事にした。カツヤが持参したブランデーを傾けながら僕が師に教わった葉巻と一緒に香りを楽しむ。たばこ好きと酒好きの両方を一緒に持ち合わせてなければ、到底分からない至福の時間だ。あけみに「飲みすぎだ~!」と怒鳴られながらイチャつく二人を見ていたら

・ ・ ・どんどん ・ ・どん ・ どん ・ ・ ・・・・

僕は寝てしまった。


つづく


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